【夜の海】
鳴り止まない波の音がする
耳を澄ませてはいけない
合間に聞こえるものを聴こうとしてはいけない
その囁きに耳を傾けてはいけない
ほら、背中に波の音が打ち着ける
波間から手がのびて
やさしい掌がうなじを撫でて、口を塞ぐ
ほら、そこは海の中
黒い水に囲まれて沈んでく
発する言葉は大きな泡となり上へとのぼる
海面に着くとパチンと弾けて波に紛れる
その波の音を聴いてはいけない
【自転車に乗って】
どこまでも、どこまでも
遠くに行きたいとペダルをこいだ
5分と経たず、もも肉に痛みが走る
どんだけ弱っているんだ我が足は
【心の健康】
失った時に初めて気づく
大切なもの
普段、気にかけないで雑に扱ってしまい、
壊してから後悔をするもの
乱暴にしないで下さい
傷が付きます
優しく扱って下さい
壊れ物です
貴方だけのものです
どうか大切にして下さい
あなたにしか出来ないことです
【君の奏でる音楽】
蒸し風呂のような暑い日
エアコンなしではとても生活ができなくなっている
僕は空調が完璧に整えられた部屋で机に向かっている
よく冷えたアイスコーヒーの氷がカランと音を立てる
静かな部屋にはエアコンの音が静かに響いていた
不意にペンを置いて席を立つ
窓際に立ち、時計を見る
僕は思いきり窓を開け放つ
もわーっした熱のか溜まりが部屋に侵入してきた
思わず顔を背けるが窓は開け放ったまま
そろそろかな…
耳を澄ます
熱気を切り裂くように甲高い音が聞こえる
僕は目を閉じて音に耳を傾ける
浮かぶのは、いつもの場所で金色に輝くトランペットを吹く君の姿
真夏の暑さに立ち向かうような気迫のこもった演奏をきくと僕の心はにわかに沸き立つ
玉の汗が額に吹き出し拭うこともせず、一心不乱吹き続ける君
夏の午後、
いつもの時間、
君の演奏を聴きたくて窓を開ける
部屋のなかではエアコンが唸りを上げていた
【書く練習】
暑すぎて何にも思い浮かんで来ない…
不調だ
体調がいいと書きたいことが浮かばないのは
ちょっと、困る