【梅雨】
曇りや雨の日が続く
空気が湿気を含み吸う息さえ重かった
肺の中が重くなる
気持ちも沈みがちだ
雨上がりを美しいと言う人もいるが
自分はそうは思えなかった
そこかしこで雨に濡れてベッタリとゴミや植物の葉がへばり付き、なんなら腐ってきている
それを見ていると腐敗が自分に伝染してくるようで吐き気がした
私は曇りや雨が続く季節に生まれたが
この季節が一番嫌いだ
今も死について考えることはないが
この煩わしい季節は私をいつも引きずり込む
【無垢】
ホコリの被ったブラインドからオレンジ色の光が差し込んでいた。
部屋は静まり返り、ホコリが西日でキラキラと舞っていた。
そこへ二人の男が話しながら入ってきた。
黒い革ジャンの男と、金髪の男は紙袋を抱えていた
「遅いぞ」
奥のソファから長身の男が声をかけた
「悪い、買い物に手間取った」
革ジャンが答える
「だってさー限定のチョコバーがあったんだよ買うっきゃねーって」
「わかったから」
金髪が捲し立てるのを革ジャンが止めた
長身の男は苛立ちながら言った。
「いいか、時間厳守だ、守れないようならこの計画から降りて貰うからな」
金髪は慌てて話を変えようとした
「あ、わるかったよー、時間厳守ね、わかってるって、それよりさーいっこ質問があるんだけと、無垢ってどういう意味?」
「煩悩から離れるとか、清らかで汚れのないものとか、かな?無垢なる乙女とか言わないか?」
「あーなんか聞いたことあるかも!うぶな女の子ってことかー、いいよなー女の子の純潔って!」
「お前は煩悩だらけだな」
革ジャンが笑った
「いいじゃん煩悩!人間だからねー綺麗なものだけじゃ生きてけないって」
長身は立ち上がり口をひらいた
「そうだな綺麗事だけじゃ腹も膨れない、そろそろ時間だ、俺たちの無垢を迎えに行こうじゃないか、黄金色の無垢を」
「イエーイ待ってました、待っててねー俺の金無垢ちゃん」
【終わりなき旅】
行こうよ!
しかし私は差し伸ばされた手を振り払った
君は驚いた顔で尋ねる
なんで?
私は嫌だ、どこにも行きたくない、ここでいいんだ
その旅は君には素晴らしく、心踊るものなんだろう
でも私には残念ながらそうは思えないんだ
卑屈になっている訳じゃない
ただ嫌なんだ、心が動かない
わかって貰うのは難しいと思う
だけどこれが私の本心なんだ
たのむ、もう許してくれ
君は傷付いたような表情を浮かべ部屋から出ていった
すまないとは思いつつも、すぐに旅立ちの喜びに
私のことも忘れるだろうと思った
【ごめんね】
ごめんね
自分の体なのに優しくできなくてごめん
自分こと好きじゃないから
つい辛く当たってしまう
ほんとは優しくされたいよね
私もほんとは優しくしたい
何でだろう傷つけたくなんかないのに
どうしたら優しくできる?
いつか優しくできたなら
あなたは幸せになってくれるかな?
そしたら私も幸せになれるかな?
【書く練習】
気分の落ち込みが激しいので本日の書く練習はお休みします