翼が折れてからどれくらいでしょうか。
喉に住むロマンシズムは、今にも歌い出しそうです。
失望なのか?そんなものでは無かったです。
飛べたら、なんて夢を見る余裕も無かったのですから。
ただ、目線は地平線に倒れ、足は忙しなく歩いていた。
それだけです。それが突然、潜めていた幸せが喉をつつき出して
慣れない姿勢になって、
空を見上げた。
喉から出たのは溜め込んでいた少量の空気。
水の中の気泡がぽくぽくと、宙へ上がる。
此処にいたくない。
空の奥には、藍色の瞳孔。
惑わされているのを知ってる。私の翼をどうか呑み込んでください。
波紋の円が私を上へ上へと昇らせる。
砂漠の砂が私の足を引っ張るから、ほら早く行って。
スピードに乗って飛んでゆく。
何処へ向かう、下は見ないと約束して。
優しくて、爽快な音がするんです。
強欲だって手を引いてくれたって良いんです。
私の今は此処にあるんです。
ここでない此処に。
濁らない風に当たりましょう。
ここでない何処かに行きましょう。
折れちゃった翼に嫌気が差したなら、取ってしまって、
空の奥があなたを頭から呑み込んで。
すべて私が悪いんです、そう言って私が手を引きます。
最後になるかもしれなくても、
歌を歌って、返しのない問を風に投げかけたなら、
風に溺れたなら、たどり着きます。
ここでない此処に。
【ここではないどこか】
色かな、
匂いかな、
景色とか。
君のことを思い出すと、そんな洒落たことも言えないくらい
無
涙とか、透明じゃなくて。
赤ん坊の時の毛布をすんと吸った時
夕焼けの光を遮断するカーテンと、少しくらい部屋
そんな感じ
笑うな
何を言いたいかだなんて僕は小説家じゃないんだ
君のことを綺麗に記憶なんてできないんだよ。
止めた僕の哀れな言葉繕いを、
君に見てほしかった。
君君君、君を記憶する物なんて本当は無くて。
僕が見ていたのは君だけだったんだ、
君の姿は、頭の中にとってはものすごく鮮明で、
僕の周りのすべてを君が吸収してしまったみたいだよ。
集めていた 点 をつつくと君と引き換えに
全部を返してくれた。
僕の生きていた場所。
そんなもの…君には気にしないでほしかった。
ただ、引っ掻きましただけじゃないか
そう言ってもっと君の記憶を大きくてさ、唯一のものにしたかったんだけど
あまりにもキレイなんだよ、掃除して埃一つもないみたい。
何一つ君は、僕の、君への最後の捉え方を考えてないんだろう
あんなに騒いでいた僕たちはどこに消えたんだろう。
愛の最後は、君が消えた瞬間君が消えただけ。
何も見ていなかった外界から、陽を浴びた時、
良かったって、思いもせず呟いてしまった。
今まで依存してたって、それだけ。
分かりきっていたはずのことに頷いて
君はさ、何にも悪くないんだよ
僕は 君の瞳の色は覚えてるよ。
【君と最後に会った日】
泣きわめくことになる。ついには罪を犯して、どうしようもなくなってしまう。
周りからは非難され、理解できないと、人でないと蔑まれる。
それが繊細というもの。
こんなことで辛かったよ、こんなことが私にとっては苦悩で苦痛で、
死にたいほどのことなの。
そう言って、それに耐えられなくなって、実行に移したとき。
あなたはそれを繊細だからと許してくれるの?
繊細で可愛い小さかった女の子は、今では宇宙程の膨大な苦悩と不満を背負っている。
そうしていられるうちが華ね。
そうしていられるうちは人はまだ精神科でお話してくれる。
助けてよ。ねぇ、見捨てないで。ねぇ、怖かったの。嫌で嫌でたまらなかったの。
罪を犯した。
今でも謝れていない。
1ミリのズレ、感覚の違いを起こす。
不快だと感じて、この体には大きすぎる不安を生み出す。はみ出す。
どうしろっていうの?あなた達とは違うんだから。
消せないこの症状は、繊細って名前の症状は、障害だと思う。
普通の人間と分けてくれない?
施設にでも入れてくれない?
劣らされるために生きてるの?
男、女、そうでないもの、そうやって分けるくらいなら分けてよ。
繊細の芽が実となった時、刑務所に入れるくせに。
変なこと考えちゃう。考えすぎておかしくなるんだよ。
それでも生きている。不幸にも。お母さんでも誰でも、
迷惑かけられていない人は繊細だと笑ってくれる。
でも繊細が障害だと気付いたその時には、手を放すの。
花は水を与えられて育つ、そしていつか枯れるでしょ。
でも、繊細な花は途中で毒に気付かれて、置いてかれるの。
一人で毒に苦しんだら、棘を出して暴れるの。最期はね自分が毒で死ぬ。
だって、棘で傷付けた者たちは怒って花を責めるから。
誰も味方してくれないから、心の中に気付いてくれないから。
私は繊細。大きな荷物を持っている。
もうね、棘を出しちゃったの。
自分の恐ろしさを知っているの。怖い。
どうやって生きようか
【繊細な花】
真っ平らで伸びているの。
毎日が気持ちよすぎるほどに伸びきっていて。
暑いからか火照ってるからなのか一寸先の未来に怯えながらも
だらんとほのかにわらってる。
毎日が夏みたい、いつ死んでも分かんないくらいベッドといっしょ。
怖いんだよ、未来が。明日が。
制御できない自分を、気持ち悪い汗を流して隠してる。
制御できない自分に怯えている。
何にもしないからだろ?自分で自分に言っても
毎日思うの。
ああ、自分は一人だけだった。
慰めるのも叱るのも自分なの。
怖いよ。
笑いながら心で泣いてる怯えてる自分を見てたら。
何が何でどうしたらいいのか分からない。
1年後なんて言わないでよ。張り出されているカレンダーみたいに。
何もせず1年生きたら、残念なんでしょう?
存分に1年後を夢みさせては、また今に戻らされる。
伸び切った平らを、硬い金属の平らを下からコツコツ叩かなきゃいけないの。
動きを作っていかなきゃいけないの。ベッドからただ起き上がるのから始めて。
夢みては、現実と向き合って。辛くなって、期待に応えたくて夢みては
またベッドに籠もるの。あったかくてきもちいい。
あと3分で行かなきゃ。また汗流して隠すの。
やめて。もうやだ。私今どこにいるの?
ぐちゃぐちゃしてて見えない。
【1年後】