私にとって、貴方だけでした
孤独に苦しむ、そんな私に気付き
優しく、寄り添ってくれたのは
--二作目--
唯一なんです
誰かにこんな想いを抱いた事も
無二なんです
貴方へ向ける、この想いは―――
#世界に一つだけ
409作目
心の音が、途絶えてしまうその時まで
貴方の隣に、居られたなら...
--二作目--
生きている
包帯が身体中に巻かれ
目を瞑ったままの彼
けれど、確かに
生きている
この胸元だけが、其れを証明してくれている
嗚呼
どうかお願いだから
嫌味ばかり言ってしまったのは謝るから
行きたいと言っていた場所に一緒に行くから
沢山沢山、甘やかすから
「起きてくれよ...莫迦...」
手を優しく包みながら、そう願わずにはいられなかった
#胸の鼓動
408作目
手を動かして、足を動かす
それは果たして、自らの意思なのか
今日も誰かが、誰かの手の上で舞い散るのです
--二作目--
貴方と舞って居たかった
広がる花畑の中で
笑い合いながら
貴方と居れたらどれだけ幸せだったか
それなのに
貴方は一人、彼岸花の地へ飛び立ってしまった
嗚呼
もう前の様には舞えないな
#踊るように
407作目
耳を着く、騒がしい目覚まし音
瞼を開けば、見慣れた天井
身体を起こせば、怠さを訴える身体
カーテンを開ければ、身体を包む眩ゆかな太陽
嗚呼、今日も一日が始まってしまったよ
--二作目--
本当は分かっていた筈なのだ
知っていた、理解していた筈なのだ
この恋が叶わない事も
何時か別れの時が来る事も
なのに、訳も分からず、涙が枯れるまで泣いてしまった
「さようなら」
いつもの声色で告げられた別れは
ボクを壊すには十分過ぎたんだ
#時を告げる
406作目
身体を揺すられる感覚が、した
重い瞼を無理やり開けば
何時も澄まし顔のアイツにしては珍しく
焦った様な顔をしていた
なんだその顔は、とか
お前でもそんな顔するんだな、とか
どうしたんだよ、とか
言いたい事は沢山あったのに
今は唯、アイツの身体を思いっ切り抱き締めていた
...肩口に埋めた顔を上げると、そこは薄ら色が濃くなっていた
耳を澄ませば、さざ波の音
脳裏に浮かぶは、凪いだ海岸
あの日、君とみた海は
何時までも、鮮明に
--二作目--
伝えられない
貴方への想い
綺麗な貝殻に
閉じ込めて
波にそっと攫わせた
海に攫われてしまった貴方に
届きますようにと
#貝殻
405作目