大きな翼を拡げ、飛んで行きたかった
けれど、世界という名の檻に囚われた僕達は
死という鍵でしか、青空に飛んで逝けないんだ
--二作目--
翼をもがれた僕は
もう一生、地を這う事しか出来ないと思っていた
「それなら、お前が行けない所にも、ボクが連れてってやろう」
そう言って、僕の手を引いた貴方が
僕には、何処までも広がる大空の様に見えたんです
#鳥のように
394作目
君の目の前で、「ずっとずっと好きでした」っと吐き捨てて
身を乗り出して、私は宙を舞った
優しい君はきっと、私の事が忘れられなくなったでしょう
--二作目--
サヨナラなんて、言わせない
お別れなんて、させる訳が無い
どれだけ拒絶されても
どれだけ言葉を並べられても
ボロボロと涙を流す貴方の手を離す気なんて
僕にはありませんから
#さよならを言う前に
393作目
晴のち曇、時々雷雨
気分次第で、移り変わる天候は
まるで、私の心を表しているみたいだった
--二作目--
空みたいな人だった
気分屋な所とか、特に
急に情緒不安定になる所とか、特に
でも、空と違って
貴方は雨を降らさない
雷だって落とすのに
太陽で周りを照らすのに
貴方は雨を降らそうとはしない
どうせならそこも似て下さいよ
って
だから決めたんです
貴方が雨を降らせても
僕は傘をささないって
全部全部、受け止めてやるんですよ
だから
我慢なんてせず
大雨を降らせてしまえばいい
#空模様
392作目
ニコニコと、笑顔を浮かべる私
けれど、左右非対称に映る私は
笑顔の抜けた、死んだ様な顔をしていた
--二作目--
人とは違う、変わった容姿
それが嫌いで、映される事を嫌った
記憶として、残される事を嫌った
「僕は好きですけどね、その髪も、目も
と言うか、僕は貴方自身が好きなんですから
全部マルっと好きに決まってるじゃないですか
...部屋は綺麗に片付けて欲しいですけど」
そう言ってくれたあいつの携帯には
ボクとのツーショットがある事を知っている
#鏡
391作目
貴方と笑いあった、あの日の記憶を
未練たらしく、何時までも忘れられないまま
--二作目--
「おい、なんでそんなものまだ持ってるんだ」
貴方がそう言いながら、僕のスマホに付けたキーホルダーを指さした
小さなクマが、紫色のハートを抱いているという物だ
指さされたそれを眺めながら、何故...も何も無いと思いますけど
っと言う意を込めて、小さく首を傾げた
「いや、分からないじゃないだろ」
肘を着きながら、貴方は溜息混じりにそう呟いた
「...だってこれは、貴方が初めてくれた物ですから。持ってて当然ですよ」
そう言いニコッと笑ってみせると、貴方は顔を真っ赤に染めて、恥ずかしいのかそっぽを向いてしまった
でも、僕は知っている
その時、僕が同じくあげた
小さな犬がピンク色のハートを抱いてるキーホルダーを
今も大切に持ってくれている事を
「お互い様でしょうに」
貴方には聞こえないような声で、小さく呟いた
#いつまでも捨てられないもの
390作目