霧夜

Open App

貴方と笑いあった、あの日の記憶を

未練たらしく、何時までも忘れられないまま

--二作目--

「おい、なんでそんなものまだ持ってるんだ」

貴方がそう言いながら、僕のスマホに付けたキーホルダーを指さした
小さなクマが、紫色のハートを抱いているという物だ

指さされたそれを眺めながら、何故...も何も無いと思いますけど
っと言う意を込めて、小さく首を傾げた

「いや、分からないじゃないだろ」

肘を着きながら、貴方は溜息混じりにそう呟いた

「...だってこれは、貴方が初めてくれた物ですから。持ってて当然ですよ」

そう言いニコッと笑ってみせると、貴方は顔を真っ赤に染めて、恥ずかしいのかそっぽを向いてしまった

でも、僕は知っている

その時、僕が同じくあげた
小さな犬がピンク色のハートを抱いてるキーホルダーを
今も大切に持ってくれている事を

「お互い様でしょうに」

貴方には聞こえないような声で、小さく呟いた

#いつまでも捨てられないもの
390作目

8/17/2024, 11:07:00 AM