二つの編み棒と、青色の毛糸を用意して。
少しづつ、編み進めていく。
編み棒を上手く動かして、少しづつ、少しづつ。
これを渡す、君の顔を思い浮かべながら。
嬉しいって笑ってくれるかな?
ありがとうって抱きしめてくれるかな?
...そんな事を考えながら、編んでいく。
静寂に包まれた真冬の部屋で、暖かい気持ちと共に。
---二作目---
あいつが編んでくれたセーター。
灰色がベースで、胸元に青色の星のワンポイントが付いてる、シンプルなセーター。
...寒がりな俺の為に編んでくれた、特別なセーター。
それが何より嬉しくて、何より嬉しくて...
「...どうだ?少しは寒くなくなったか?」
「...あぁ、すげぇあったけぇ...」
「フッ、それなら良かったよ」
心の底から、暖かくなったんだ。
#セーター
128作目
暗い暗い海の底へと
無抵抗に。
普通なら息が出来なくて苦しいはずなのに
何故だか息が苦しくなくて
寧ろ暖かくて、心地良くて、優しい安心感に包まれる。
あぁ...このまま...
深い深い眠りへと、僕を導いて---
---二作目---
...何時からだろうか、僕が底なし沼へと落ち始めたのは。
もう地上なんて見えなくて、太陽の光さえも届かない沼の中に、今も尚落ち続けている。
でも、全く嫌な気持ちにはならなかった。
寧ろ、この落ちていく感覚そのものが心地よくて、ずっとこの沼の中に居てしまいたいとさえ思う。
...でも、もうそろそろ、潮時だ。
俺はこの沼から抜け出さないといけない。
ここにいたら、邪魔になるから。
この沼...あいつの邪魔に。
こんな俺が何時までもここに居たら、あいつにそれだけ迷惑が掛かる。
だから抜け出す、抜け出せるかは分からないけれど...
...この不毛なあいつへの恋心から、早く抜け出してしまわないと。
そうでないと、俺はまたあいつと言う存在に堕ちていくから。
#落ちていく
127作目
(もっと読みたい1200突破ありがとうございました!!)
どんなに想いがすれ違ったって
赤い糸がなくたって
私はあなたを愛してる
どんなに貧しかったって
離れていたって
僕は君を愛してる
...だから、今日僕/私達は
記念すべきこの日に
赤いインクのハンコを押して
未来を誓い合うんだ。
---二作目---
ただの何気ない会話。
朝の「おはよう」から始まって
夜の「おやすみ」で終わる。
「おはよう」と言ったら「おはよう」って返ってきて
「いってきます」と言ったら「いってらっしゃい」と帰ってくる。
それで「ただいま」と言ったら「おかえり」と帰ってくる。
そんな、何の変哲もない、代わり映えのない言葉。
でも、俺にとっては大好きな言葉。
待ってくれてる人がいる、返事を返してくれる人がいる。
そう思うだけで、心の底から満たされるような、嬉しい気持ちになる。
嗚呼、今日も...
「幸せだな...」
#夫婦
126作目
この満たされない感覚から
この無駄な承認欲求から
この苦しい気持ちから
この痛くて、辛い気持ちから
この劣等感から
この...死にたいという気持ちから
どうやったら...解放されますか?
---二作目---
日に日に積もっていく、この想い。
最初は、何気無い行動から
あいつの事を意識し始めて。
笑った顔、嬉しそうな顔、悲しそうな顔、怒った顔、呆れた顔。
鉄仮面でも被っているのかと初めは思ったが、よくよく見てみると
結構感情が顔に出やすいタイプで。
あいつのそんな、知らなかった表情を知る度に、勝手にドキっとして。
気づいた頃には、心の器に溢れ出しそうな程想いが溜まっていて。
ちょっとした行動、動き、表情筋、仕草。
何もかも意識し始めたらキリがなくて。
目が離せなくなって、いつもあいつの事を考えてしまって。
まるで女子の様だなと、恋する乙女と言うやつか?俺は。
と自分に苦笑してしまう。
...でも----
「...あぁ...好きだな...」
...あいつも、可哀想なこったなと思う。
こんな俺なんかみたいなやつに好かれてしまったのだから。
...嗚呼、俺は...
この持て余すほどに溢れかえった想いを...どうすればいいのだろうか...?
#どうすればいいの?
125作目
小さな小さな箱の中。
二年前に貰った、
大事な大事な、貴方からの贈り物。
...離れた今でも、ずっと大切に保管しています。
だってこれは、貴方の気持ちが詰まった結晶だから。
...でもね、本当は。
この結晶よりも、もっともっと大切で、もっともっと大事な
貴方がそばに居てくれたら、それが一番嬉しいんだよ。
---二作目---
大事なもの程、無くなりやすい。
大切だったもの程、失いやすい。
だから、あまり大切なものを、大事なものをつくらないようにした。
嫌だから、
悲しいから
...怖いから。
失うのも、砂のように、手の小さい隙間から簡単に零れ落ちて、無くなってしまう事も。
...でも、君は、俺の手をしっかりと掴んでいてくれるから
『居なくならない、だから大丈夫だよ』と
そう言い聞かせる様に、優しく手を握ってくれるから。
俺はもう一度、自分だけの宝物を見つけたいと思ったんだ。
...だから、その手を離さいでくれよ?
俺の大切で、一番大事な宝物。
#宝物
124作目