彼が悩みを抱えてる時。
苦しさに涙を零している時。
闇に飲まれて、底なしの沼に引きずり込まれそうになっている時。
そんな彼を救い、照らせるような存在に、私はなりたいと思ったんだ。
#太陽
今日もまた、鐘の音が鳴り響いた。
まるで、誰かにこの音を届けるかのように、優しくし。
真夜中の星空に響くように。
そしてきれいな音色が街を包み込むかのように、鐘の音は広がっていった。
つまらないことでも、君となら楽しかった。
こんななんの面白みもない世界でも、
君の存在があったらから、毎日が楽しくて、幸せだった。
だから…君がもし居なくなったら、また僕の世界はつまらないものになってしまうじゃないか…。
だからさ…僕のために……、早く目を覚ましてよ。
目が覚めるまでに
君と遊園地に行きたいな。
行ったことないって行ってたよね。
メリーゴーランドとか観覧車とか楽しい乗り物が沢山あるから、一緒に乗りたいな。
君はおばけとか怖いのが苦手だから、あえてお化け屋敷にも連れて行って怖がる姿が見たいなぁ。
あとは、お泊り会もしたいな。
僕友達を家に呼んだことないからさ、僕の家にお泊まりに来て欲しいかな。
他愛もない方を喋って、僕のおすすめの映画を見よう。
ファンタジー系の映画なんだけどね、魔法で無双しながら世界を救う物語で、王道だけどとっても面白いんだよ。
それで、ポカポカの温かい布団に入って、一緒に寝るんだ。
それで、あとは、あとはーー
「…ねぇ…僕まだ、君とやりたいこと、沢山あるんだよ?…だから、だからさッ!早く…目を覚ましてよ…」
君の目が覚めるまでに、君とやりたいこと、全部言い終わっちゃうからさ。
静寂した部屋の中で、僕は窓越しに星空を眺めていた。
本当はもう眠らなければならない時間だけれど、僕はいつも夜ふかししてでも、この景色を眺めていた。
ここから出られない僕の、唯一の楽しみだから。
ー俺、ここよりももーっと綺麗に星が見える場所知ってるんだ!ー
向かい側に居た彼が、口にしていた言葉。
彼が来てから、一緒に夜ふかししながら見るようになった景色。
ーいつか二人で外に出て、この星空を眺めに行こうな!ー
そういう彼は、今は星のもとに居る。
星を見る度に思い出される彼の姿は、一番星より眩しい彼の笑顔は、もうここにはない。
数週間前まであった彼の温もりは、もうすっかり夜の空へと消えている。
僕にとって希望の星であった彼は、本当の意味で星になってしまった。
悲しいはずなのに、もう涙はもう出なかった。
僕ももうすぐで、彼と同じ星になれるから。
だから、涙は出なかった。
「大丈夫、僕もすぐに、おんなじ場所に行くからね」
微笑み星にそう呟きながら、真っ白な布団を被り、僕は目を閉じ眠りについた。
今度こそ、二人で同じ景色が見れるように、そう願いながら。
#病室