霧夜

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静寂した部屋の中で、僕は窓越しに星空を眺めていた。

本当はもう眠らなければならない時間だけれど、僕はいつも夜ふかししてでも、この景色を眺めていた。

ここから出られない僕の、唯一の楽しみだから。

ー俺、ここよりももーっと綺麗に星が見える場所知ってるんだ!ー

向かい側に居た彼が、口にしていた言葉。
彼が来てから、一緒に夜ふかししながら見るようになった景色。

ーいつか二人で外に出て、この星空を眺めに行こうな!ー

そういう彼は、今は星のもとに居る。

星を見る度に思い出される彼の姿は、一番星より眩しい彼の笑顔は、もうここにはない。

数週間前まであった彼の温もりは、もうすっかり夜の空へと消えている。

僕にとって希望の星であった彼は、本当の意味で星になってしまった。

悲しいはずなのに、もう涙はもう出なかった。

僕ももうすぐで、彼と同じ星になれるから。

だから、涙は出なかった。


「大丈夫、僕もすぐに、おんなじ場所に行くからね」

微笑み星にそう呟きながら、真っ白な布団を被り、僕は目を閉じ眠りについた。
今度こそ、二人で同じ景色が見れるように、そう願いながら。

#病室

8/2/2023, 11:00:47 AM