蓼 つづみ

Open App
12/23/2025, 11:28:24 AM

窓の向こうは白く霞む

明かりが揺れて
テーブルの上に
繭のような橙を落とし

焼き菓子の香りが
時間をゆるめる

子どもたちの声が
空気の中でそっと弾み

希望は
大きな言葉になる前のかたちで
この部屋に在る

静かなあたたかさが
満ちる夜

題 揺れるキャンドル

12/22/2025, 11:34:15 AM

こちらにも属しきれず
あちらにも閉じきれず
外に出ることも
中心に踏み込むことも、しないまま
ずっと、縁を保っている

世界の中にいる
けれど、世界そのものにはならない

感情を持つ
でも、感情に溺れない

兆しを見る
でも、その眩しさを信じすぎない

この、常に少し脇にいるという
自分を壊さずに在るために
獲得した位置

そこにある細い光は
誰かを照らすためのものではなく

ただ、
感謝と謝罪を
深く理解するために

内に持ち続けている

題 光の回廊

12/21/2025, 11:57:32 AM

…軋んで、壊れそうだ

碧く熾り続ける灰が、
保てる臨界点を超えて、
尚も、降り続いてしまう

その引力は、強すぎて
下手に、言葉をかけられない

言葉をかけた瞬間、
僕も君も、逃れられずに
引きずり込まれてしまうのが、
わかっているから

想いは深く、
胸へと、自然に落ちる

でも、口に出せば、
その境界は、溶けてしまう

だから、黙っていることが、
唯一の祈りであり、
抵抗なのだ

黙っているうちに、
何か大切なものが、
埋もれてしまわないか、
案じてしまう

題 降り積もる想い

12/21/2025, 9:58:47 AM

生を共にしようという申し出は
未来を結ぶようでいて
本当は
それまでの時間を
どう扱ってきたかが
滲み出る瞬間だ

噛み合わないまま
差し出された結び目

気持ちは
置き去りにされた

それでも
時間は角を落とし
その結び目を
ほどかず
裁かず
抱えたままにした

円満は
時間を丸く整えようとする
円滑は
今を滞らせずに流す

ふたりは
円満でなくていい
円滑であればいい
その流れの中に
温かみは
あとから
生まれる

題 時を結ぶリボン

12/19/2025, 11:25:02 PM

ひとがいっぱいいる。
風はつめたいけど
光があったかい。

おおきな手は、
見る前から出てる。

指はそろってない。
うまく掴めない。

触れたら、
あ、これ。
ぎゅってしない。
落ちないって知ってるから。

歩く。
足が早くても、
ひっぱられない。

つまずいたら、
上にいく。

上を見なくても、
連れていってくれる。

どこに行くかは、
まだわからない。

ざらざらな指
握ってみると
ぎゅっと返ってくる。

題 手のひらの贈り物

Next