あなたの中にあるどんな衝動も、
どんなざわめきも、拒む必要はない。
それは不当なものじゃなく、乱れているのでもない。
それはただ、生きている感覚そのものだ。
責めなくていい。恥じなくていい。
否定する必要なんてどこにもない。
あなたはあなたのままでいていい。
その許しを与えるのは、ほかの誰かじゃなくて、
あなた自身の静かな声だ。
今はまだ染みついた禁令が、
薄い膜のように重なっている。
けれど、その自己否定をゆっくりほどいていく。
あなたの存在は、息づくに値する。
そしてその価値は、誰かの視線や善悪では決まらない。
あなたが生きていることそのものが証明になっている。
これは解放ではなく、回復だ。
「そこまで強く縛らなくていい」
「自分自身を傷つけない」
「私は、私を壊さない」
せめて、あなただけは、
あなた自身の心を脅かすのをやめてほしい。
あなたはもう自分に対して剣を向けるのをやめていい。
“自己許容”を持っていい。
その温かさを少し内側に染み込ませていこう。
ゆっくりでいい。
あなたの呼吸の速度でも、思考の速度でもなく、
“心の深呼吸”の速度で。
今はただ、あなたはあなたに命令しない。
圧迫しない。煽らない。
ただ存在をそのまま肯定する働きだけを持っていい。
いまのあなたは、
ただ「自分を否定しない状態」に帰ってきているだけ。
その状態を、怖がらなくていい。押し返さなくていい。
逃げなくていい。この“温かい薄膜”は、あなたが自分に害を与えないと知ったときにだけ生まれる、極めて安全で、誰にでもあるべき衣だ。
息を吸うたびに胸の奥が温かく広がる、吐くたびにふわっと緊張がほどけていく。
自分に厳しくする時間ばかりなんだから、深呼吸するのと同じように、心をほどく時間も作ってあげてください。
題 心の深呼吸
蒼穹の下、散らばる無数の糸。
選んだ覚えもないのに、
どこかの断面で君の糸と私の糸が擦れ、
ほぼ無音のまま絡みついた。
星光より細く、風の影より脆い糸。
触れれば千切れるはずなのに、
ほどけることなく、静かに絡まりを深めていく。
恐怖に気づいた時には遅く、
伸ばした指先よりも
時のほうが速かった。
拒む間にも、
離れたいと願う間にも、
絡まりの隙間では何かが増殖し、
鼓動の気配に似たものが立ち上がる。
望んでいなくても、
時間は容赦なく先へ進み、
絡んだ糸を「結果」へ押し込んでいく。
広くても、蒼くても、冷たくても、
逃れようとした軌跡さえ
糸の拘束に飲み込まれていく。
これは縁でも運命でもない。
ただ一度絡まったというだけで、
時が勝手に命を生やしてしまう
徹底して残酷な生成の現象だ。
そこに恋情も相互理解もない。
ただ強い香りに誘われ、
痛みの声を上げる。
あれは愛ではなく、
生存の連鎖をつなぐための、
純然たる本能の機構にすぎない。
題 時を繋ぐ糸
おちばのみち
ちいさなかぜ
ぜんまいのやま
まつぼっくり
りすのあしあと
とんぼのはね
ねむるきのこ
こもれびのそよぎ
ぎんいろのくも
もりのおく
くさのゆめ
めざめるあさ
さざめくおちば
バイオリンのおと
とおくからきこえ
えにしのように
にじむひかり
題 落ち葉の道
どこから入ったのかもわからないまま
気づけば、ひらけた風の通り道を探してる。
迷宮は出口を示すためのものではなく、
君が“誰にひらかれるべきか”を見つけるための回廊なんだ。
君の内部構造が自然にひらかれる先を目指して。
題 君が隠した鍵
私は未熟児として生まれ、重度の喘息のため入退院を繰り返し、義務教育をまともに受けてこなかった。
家庭はアルコール依存とモラハラ傾向のある父、
カサンドラ傾向のある母に支配され、情緒的・教育的なネグレクトが常態化していた。
両親の歪んだ倫理観から、漫画も本もテレビも、あらゆる遊びも禁止され、閉鎖的だった。
私に言葉を与えてくれたのは、酒に沈んだ父がギャンブルの景品で持ち帰るCDアルバムたちだった。繰り返し巻き戻しては歌詞カードを開いた。
今も私は語彙力がない。
私の話し方は独特なようで、どうしても、比喩・構造・抽象・ニュアンスの層で話してしまう。すると、しばしば周囲からは「回りくどい」「難しい言い方をやめろ」などと言われて衝突する。
ただ、自分の気持ちを正確に、精密に言い表さずにはいられない衝動だけに取り憑かれ、このアプリで思想文を書き続ける。
10代の頃、私はあの家を出て、ようやく適切な距離を取ることができた。
それは、長く握らされていた時間を手放し、本来の自分の尺度で呼吸できる空間を掴んだということ。
過去を捨てたのではなく、自分の未来を選んだということ。
影はしぶとく消えない。
“記憶の影”は誰の人生にも痕跡として残る。
私は影の支配権を奪い返し、背後に置いた。
「手放す」とは、消すことではなく、正しい場所に返すことだ。
私は、抑圧の継承を終わらせる。
題 手放した時間