「君を探して」「心のざわめき」(3/14、15)
物心ついた頃からそばにいた君。
ずっとずっと好きだった。
ある日。
君がいなくなった。
太陽のような君が、優しい君が。
いなくなった。
僕は君を探した。
いろんなところを探した。
小さい時よく遊んだ公園。一緒に通った学校。
秘密基地を作った河原。山の上の展望台。
そして、僕と君だけの秘密の場所。
君のいそうな場所なら、どこにでも行った。
でも、どこにもいなかった。
心の中がチリチリと騒めく。
怖い、こわい。君はどこに行ったの?
星の光に誘われて天国へ?
影に引き込まれて地獄へ?
それとも、もっとすごい場所へ?
君は、どこへ行ったの?
もっと探さないと。もっと、もっとだ。
僕は、どこへだって行くよ。
「透明」
透明は、うつくしい。
波も、プリズムも、雨粒も。
あなたの瞳も、全てがうつくしい。
透明は、世界を彩る。
水の反映、ひかり、虹。
透明に呼応した世界は、やがて自分の色を持つ。
色を持つあなたはうつくしい。
黒い髪。青い瞳。陶器のような肌。
透明によって照らされた世界も、やがて自身を彩る。
色を持たない私は、透明のまま。
光と影が、からだを渦巻く。
色が遠ざかっていく。
それでも私は構わない。
私が私の世界を彩ればいいのだから。
うつくしい透明で、うつくしい世界を描く。
色がなくても、大丈夫。
透明な世界の中で、透明に生きる。
なんと素敵なことでしょう。
「終わり、また始まる。」
夢を見ていた。長い長い、夢を見ていた。
体は水底に沈み、あたりも暗くなっていく。
光は遠ざかって、闇が体を包む。
なんだか心地よい。
私はどこまでも、どこまでも沈んでいく。
どこまでいくのだろうか。
真っ暗闇まで、行けるのだろうか。
黒い静けさに身を委ねていたら、突然光に引き戻された。
今度は、自分の足で立って、行き先も自分で決めろと、そう言われた気がした。
闇の時間は終わり、そして、光に満ちた夢が始まる。
今度はどこまで行けるかな。
「星」
わたし なれたよ あなたのための星に
もう そばにはいられないけれど 見上げたら そこにいるの
わたしが 星が
ねむれないとき 孤独なとき じぶんのきもちに ふたをせず
みあげてほしい こっちをみてほしい
わたしを みてほしい
廻るわたしは いつかチカラをもって
あなたにキセキを あなたにアイを 永遠に
どうかあなたも 私のための 星でいてね
「願いが1つ叶うならば」
「ニンゲンしゃん!」「?」「ボク、よーしぇーしゃんになりましゅ!」「いきなり何があった」「あのねー、えほんにねー、おねがいかなえてくれるよーしぇーしゃんがいてねー!」
嬉しそうに話してる。自分は横でうんうん頷く。
「だからねー!ボク、ニンゲンしゃんのおねがいかなえるの!」
「ありがとう。」「おねがいかなえてからありがとっていって!」
「はいはい。じゃあ、妖精さんはどんなお願いを叶えてくれるのかな?」「えとねー。」
「どんなおねがいあるのー?」
「何もせずダラダラしたい。」
「えー?!だらだらがおねがい?」「うん。」
「わかった!いっちょにだらだらちよっか!」
「だらだら〜」「……。」
「これ、たのちい?」「楽しいとかっていうよりも、気持ちいい、かな。」「へー。」
「何もしない」っていうのは、意外と開放感があっていい。
ダラダラすることで疲れるわけじゃないし、何が減るわけでもないから、たまにはこういうのもいいな。
「妖精さん。」「はーい!」「妖精さんは、もし願いがひとつ叶うとしたら、どんなことを願うの?」「んー……。」
カーペットに寝転びながら考え中らしい。
「おちごと。」「?」「⬛︎⬛︎ちゃんと、おとーしゃんといっちょにおちごとちたかった。」「……仕事したかったんだ。」「ん。」
「だってねー、ボク、おちごとのために、うまれてきたんだよー?」「あちょねー、⬛︎⬛︎ちゃんもおとーしゃんも、おちごとたのちちょーなの!」「だから、おちごとちたい!」
「……大丈夫、いつかきっと叶うよ。」「ほんと?!」「自分はそう思う。」「んー!」嬉しそうに顔を埋めてきた。かわいい。
「ボク、みんなのためにいぱーいがんばるからね!」
純粋無垢な子どもの、とても優しい願い。
この願いが叶うのを、自分も見守れたらいいな。
そう思いながら、自分はこの子の頭を撫でた。