Frieden

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1/21/2025, 9:38:55 AM

「明日に向かって歩く、でも」

私はまいにち明日に向かって歩く。
休みなく、止まることもなく歩く。
歩く。あるく。

嬉しいことがあった日。
希望の光で照らされた日。

そんな日には、たくさん歩く。
とにかく歩く。
軽い足どりで、歩く。

そんな日ばかり続けばいい。

でも。

辛いことがあった日。
心の雨が止まない日。

そんな日には、ぜんぜん進めない。
とにかく歩こうとする。
重りがついたみたいに、鈍重に、歩く。

そんな日ばかりだ。

それでも。
雨が止むその日の虹が見たいから。
広がる青空が見たいから。

今日も歩く。私は歩く。

鈍重に、鈍重に。

光を求めて、虹を求めて。

ゆっくり、ゆっくり歩くんだ。

1/20/2025, 9:43:06 AM

「ただひとりの君へ」

ただひとりの君へ

僕が愛するたったひとりの君。
今はどうしているかな。

美味しいものを食べているかな。
綺麗な音楽を聴いているかな。楽しい本を読んでいるかな。
僕のことなんか忘れてしまえるくらい、いい人と出会えたかな。

僕の知らない誰かと、幸せに暮らしているかな。

そうだったらいいな。
……きっと君のことだから、とっくの昔に幸せを掴んでいるはずだよね。そうに決まってる。

そうじゃなきゃ、僕の命が報われない。

だからこれからもずっと。

幸せに生きて。

1/19/2025, 11:56:37 AM

「手のひらの宇宙」

「ニンゲンくん、⬜︎⬜︎!」「なーに?」「ちょっと宇宙管理本部に用ができたから出かけてくるよ!」「いてらっちゃーい!」
はいはい、今日もご苦労様。

†:.。.:+゚+:.。.:†:.。.:+゚+:.。.:†:.。.:+゚+:.。.:† 

宇宙管理本部にて

「おーい、お父さん!」
「⬛︎⬛︎、もう来たの?!早いね!」
「そりゃあお父さんに呼ばれちゃあねえ!!」

「……ところで、今日は何の用でボクを呼んだんだい?」
「……あの宇宙のことだ。」
「?」「今⬜︎⬜︎が、あの子がいる宇宙だよ。」

お父さんは手のひらに宇宙を乗せてみせる。
「この宇宙、君が持っていたんだね。」

「でも、どうして君が……?」
「だって、この宇宙はお父さんのはじめて作った、大切な宇宙だろう?だからずっと守っていたくて。」

「もうとっくに壊れていると思っていたよ。……ありがとう。」
「この宇宙は私が初めて作った感情型のプロトタイプだ。だからこそ色んな不備もあっただろう。」

「こんな宇宙も、守ってくれていたんだね。」

「ボクはどんな宇宙だって、生み出されたものは全部愛するよ?それに、そういう宇宙があれば何かと都合もいいから……なーんてね!」

「だって、この宇宙がなければ⬜︎⬜︎の居場所がないだろう?!お父さんのおかげでこれ以外にも自分用の宇宙を作ったんだから!よかったら見ていってよ!」

「これはかなり特殊で、本当に何もない空間だ。これは実験用の宇宙だよ!」

「これはボクの初めて作った予備の宇宙だよ!」
「……プロの宇宙制作者の作ったものに匹敵する精巧さだ……すごいね。」「そんなことも……あるかなあ!!!」

「他にも色々あるけれど、やっぱりこの宇宙にいちばん愛着があるかなあ。だってボクの大事なひとの宇宙だからね!」
「⬛︎⬛︎……!かわいいなぁ!」「えへへ!」

「……というかお父さん、仕事は大丈夫なの……?」
「あ」「ん?」「忘れてた……!」
「とりあえず急いで!!!ほら早く!!!」

「じゃ、じゃあ行ってくるね!」「いってらっしゃい!」

お父さん、じゃあまたね!
ボクもボクで頑張るからさ!

1/17/2025, 10:40:05 AM

「風のいたずら」

クラスでは全然目立たないあの子。
いつも端っこにいて、本ばかり読んでいるあの子。

放課後、木の下のベンチで本を読む君を見かけた。
何気なく君を見つめる。
君は僕に気付かない。

そんな時間がしばらく続いた。

さて、じろじろ見るのも悪いし帰ろう、そう思ったとき。

強い風が吹いた。

風は彼女の読む本のページを捲る。
そして、彼女の黒髪を輝かせた。

彼女の天の川のような髪を見たとき、僕は気づいた。
僕の心まで、彼女のもとに飛んでいってしまったことに。

いや、いくら髪が綺麗だからって、ただの内気な女の子だろ?
あんまり目立たない、ただのクラスメイトだ。

あの子にときめいたのは、きっと風のいたずらのせいだ。
そうに決まってる。

ぼけっと君を見ていると、ふと目が合った。
そして、こっちを見て静かに微笑んだ。
君はこんな顔で笑うんだね。

僕の鼓動は知らず知らずのうちに早まり、強まる。

これは恋じゃない。自分に言い聞かせる。
ただの風のいたずらだ。

ただの、風のいたずらのせいだ。

……なんて思ってたことが懐かしい。
君に出会えてよかった。

1/17/2025, 9:32:48 AM

「透明な涙」

遥か昔のその時代 星は涙を流します
星は時々流します 透明な涙流します

涙はやがて海になり 星のからだをうるおします
からだのあちらこちらには たくさん命宿ります

命がたくさん宿ります たくさんたくさん宿ります
賢い命も宿ります 優しい命も宿ります

賢い命は宿ります たくさんたくさん宿ります
賢い命汚します 透明な涙汚します

星はたくさん泣きました 黒い涙を流します
黒い涙は汚します 自分のからだを汚します

賢い命困ります 汚い涙に困ります
どうしてこんなになったのか 彼らは理解できません

星はまだまだ泣いています 黒い涙を流します
黒い涙は溢れます あちらこちらで溢れます

どうして星は泣くのでしょう 命は理解できません
どうして星は泣くのでしょう

どうして星は泣くのでしょう

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