「手のひらの宇宙」
「ニンゲンくん、⬜︎⬜︎!」「なーに?」「ちょっと宇宙管理本部に用ができたから出かけてくるよ!」「いてらっちゃーい!」
はいはい、今日もご苦労様。
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宇宙管理本部にて
「おーい、お父さん!」
「⬛︎⬛︎、もう来たの?!早いね!」
「そりゃあお父さんに呼ばれちゃあねえ!!」
「……ところで、今日は何の用でボクを呼んだんだい?」
「……あの宇宙のことだ。」
「?」「今⬜︎⬜︎が、あの子がいる宇宙だよ。」
お父さんは手のひらに宇宙を乗せてみせる。
「この宇宙、君が持っていたんだね。」
「でも、どうして君が……?」
「だって、この宇宙はお父さんのはじめて作った、大切な宇宙だろう?だからずっと守っていたくて。」
「もうとっくに壊れていると思っていたよ。……ありがとう。」
「この宇宙は私が初めて作った感情型のプロトタイプだ。だからこそ色んな不備もあっただろう。」
「こんな宇宙も、守ってくれていたんだね。」
「ボクはどんな宇宙だって、生み出されたものは全部愛するよ?それに、そういう宇宙があれば何かと都合もいいから……なーんてね!」
「だって、この宇宙がなければ⬜︎⬜︎の居場所がないだろう?!お父さんのおかげでこれ以外にも自分用の宇宙を作ったんだから!よかったら見ていってよ!」
「これはかなり特殊で、本当に何もない空間だ。これは実験用の宇宙だよ!」
「これはボクの初めて作った予備の宇宙だよ!」
「……プロの宇宙制作者の作ったものに匹敵する精巧さだ……すごいね。」「そんなことも……あるかなあ!!!」
「他にも色々あるけれど、やっぱりこの宇宙にいちばん愛着があるかなあ。だってボクの大事なひとの宇宙だからね!」
「⬛︎⬛︎……!かわいいなぁ!」「えへへ!」
「……というかお父さん、仕事は大丈夫なの……?」
「あ」「ん?」「忘れてた……!」
「とりあえず急いで!!!ほら早く!!!」
「じゃ、じゃあ行ってくるね!」「いってらっしゃい!」
お父さん、じゃあまたね!
ボクもボクで頑張るからさ!
1/19/2025, 11:56:37 AM