「Ring Ring...」
Ring Ring... 音が聞こえる
頭の中に数多の音が聞こえる
この音はなんの音だろう?
おばあちゃん家の古い黒電話?
話し声は聞こえない
沈黙だけが聞こえる
寒さに抵抗するコオロギの歌?
虫の声は聞こえない
冷たい風の音だけが聞こえる
季節外れのサンタクロース?
子どもの笑い声は聞こえない
黒いノイズだけが聞こえる
へたくそなリストのラ・カンパネラ?
ピアノの音は聞こえない
歯車が壊れる音だけが聞こえる
頭痛の音?
苦しむ声は聞こえない
いやに甲高い頭の悲鳴だけが聞こえる
この音はなんの音だろう?
もうとっくに答えがわかっているはずなのに、何度も何度も自分の頭に聞いてみる。
この音は冷たく固まった私の頭の中で、これまた冷たく縮んだ中身がたてる音。
助けを求めて出す、私の悲鳴。
どこにも届かない、私の悲鳴。
Ring Ring...
この音が聞こえたなら、どうか───
わたしをたすけて?
「追い風」
僕にとって君は、いつも背中を押してくれる温かい追い風みたいな存在だった。
不安な時、迷っている時、どんな時でも一緒にいてくれて、僕はとても、とても幸せだった。
君がいてくれるだけで、それだけでよかった。
でも、僕は君のことが好きな自分に夢中で、君の気持ちに気づかなかった。君が苦しんでいることに、気づけなかった。
あんなに好きだったのに。
君は僕の行けないところに行ってしまった。天国とか地獄なんて呼ばれているところに、行ってしまった。
最後に君が見せたのは、いつもと変わらない笑顔だった。
また明日って言ったのに。
もう二度と会えなくなってしまった。
今、僕の背中を押すのは、冷たい追い風。
君を追うための、冷たく強い追い風。
今まで、辛い思いをさせてごめん。
でも、安心して。
もうすぐ、そっちにいくからね。
「君と一緒に」
「ニンゲンくん!」……なんだよこんな寝る前に。
「おや、眠たかったかい?すまないね!」
「少しだけ、聞いてくれないかな?」
「ニンゲンくん、いつもありがとうね。」
な、なんだよ急に。
「ふふっ、お礼を言ってみたかっただけさ!」
「初めて会ってからしばらくは素っ気なかったけれど、一緒にいるうちに随分優しくなったよねぇ。」
優しく……なったんだろうか。全然自覚がないけど。
「ボクも、キミと一緒にいるうちになんだか心が柔らかくなっていくような、なんだか懐かしい気持ちが芽生えてきたんだよ。」
「キミのおかげで⬜︎⬜︎もずっとご機嫌なうえ、お父さんにまで会える場所が確保できた。嬉しいことこの上ないよ。」
「だから、これからも一緒にいてほしいな。」
「……いいかな?」
……好きにしたらいいよ。
こっちこそ、色々ありがとう。
これからも、よろしく。
「えへへっ!これからもよろしくね!」
「あっ、もう眠いんだったね!おやすみ。ゆっくり寝るんだよ!」
おやすみ。
これからも一緒にいたい、なんて言われたのは初めてだ。
……ちょっと嬉しい。
こちらこそ、これからもよろしく。
「幸せとは」「冬晴れ」(1/4、1/5)
ヷァ゙!゙!゙!゙!゙内゙容゙が゙消゙え゙でる゙!゙!゙!゙!゙!゙!゙
やってしもたーーーー!!!!!!結構頑張って書いたのにーーーー!!!!!
幸せとは……なんなんだろうね……˚‧º·(˚ ˃̣̣̥⌓˂̣̣̥ )‧º·˚
゚*。*⌒*。*゚*⌒*゚*。*⌒*。*゚*⌒*゚*。
今日はよく晴れている。でもとても寒い。
「いいおてんきだね、ニンゲンしゃん!」「うん、いい天気だ。」「ちあわちぇだねー!」「……そうだね。」
「ニンゲンしゃー!」「ん?」「だっこー!」「はいはい。」「んー!ありがと!ちあわちぇだねー!」「よかったよかった。」
「お兄ちゃん」「なーに?」「幸せって、なんだろうな。」
……小さな子どもになんてこと聞いてるんだ自分は。
「んー」ほら、困らせてる……。
「ニンゲンしゃんとー、⬛︎⬛︎ちゃんとー、おとーしゃんといっちょのとき!」「あとねー。」「だっこのとき!」「あとね、あとねー!」辿々しいながらもたくさん話してくれる。
……小さなこの子は、日常のちょっとしたことに幸せを感じているんだ。小ささゆえにいろんなことを新鮮に思えるからだろうから、自分には真似できないけれど。
「ニンゲンしゃー!」「ん?」「ボクといっちょ、ちあわちぇでちょー?」自慢げな笑顔を見せる。ほっぺたを触ってみると、羽二重餅みたいに柔らかかった。「幸せだよ。」「わー!」
……本当に嬉しそうに笑うね。こっちまで嬉しくなってきた。
「おやおや!!!ふたりとも楽しそうだねえ!!!ボクとお父さんも混ぜてくれないかい?!!」「私までいいんですかー?」……デカい声と呑気な声が聞こえる。
「もちろんです。……でも、何もしてませんよ?」
「それじゃあ、せっかくの冬晴れです。散歩でもどうですか?」「いいねー!」「おしゃんぽ、おしゃんぽー!」
……こういう、なんともない時間を幸せって言うんだろうな。なんて思いながら、自分も彼らと一緒に光る冬の街へと出かけた。
「日の出」
「明けない夜はない」と皆口を揃えて言うけれど、私の心はずっと夜だ。今までもこれからも、ずっと夜のまま。
静かで、寒くて、誰もいない。それが私の心。
かつては日の出を見ることを願って、空虚な嘘で心を満たしたこともあった。でも、やはり意味なんてなくて、ただ夢が夢で終わっただけで。とても疲れた。
やはり私は、このまま永遠の宵闇に身を置くのがお似合いのよう。だからこれからも、夢は見ない。
そう思っていたある日、どこかでこんな言葉を見かけた。
「夜の中に美しさを見出せばいい」
そうだった。私は無理をして夢を見なくてもいい。光を浴びなくてもいいんだ。
分厚い雲がたちこめたこの心の静寂も、冷たさも、孤独も。
全て私だけのもの。
そう思えば、心が温かくなった。
これからも、私は永遠の夜と共にあり続ける。