Frieden

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11/18/2024, 9:50:08 AM

「冬になったら」

今日は肌寒い。昨日まではそこそこ暖かかったのに、もう随分と冬めいてきたもんだ。風邪をひかないように気をつけないと。
体のためにも(?)寒いところにはなるべく行きたくないな。

「ねー、ねね!ニンゲンしゃん!」「どうした?」
「ふゆ て なに?」「これから来る寒い季節のことだよ。」
「しゃむいのー?」「そうだな。」

「寒いと多くの草花が枯れたり、雪が降ったりと、この星に暮らす生き物にとってはかなり厳しい季節なんだ。」「……ん。」
「ね、ニンゲンしゃん。」

「ニンゲンしゃん、ちなない?」
「寒さくらい平気だよ……っくしゅん。」
「ほんとにだいじょぶなの?!ねー!」

「だいじょぶだって。風邪ひいてなくてもくしゃみくらいするから、な?」「ほんと……?」「大丈夫だよ。」
心配そうな瞳で見つめられるとなんだかドキドキする。

「だって、ボクね、びょーきでいらないされちゃったから、とってもこわいの。びょーき、やだやだなの!」

「そうだな。でも、自分は風邪引いても死なないし、お兄ちゃんにはすごい弟もいるだろ?だから大丈夫だ。」
「よかったー!」

「でも、冬は子どもの喜ぶイベントもあるんだよ。」「なあに?」「クリスマス、って言ってな、いい子にしてたらサンタクロースからプレゼントが貰えるんだ。」「ぷれぜんと?!」

「ボクもぷれぜんともらえる?」「きっとな。」
「そういや、お兄ちゃんは何が欲しいの?」
「えとねー、んー……。」

「欲しいもの、ないのか?」「んーん。いぱーいある。」
「ボクはねー、もういっかい、おとーしゃんにぎゅーってちてもらいたいの。」「……そっか。」

「でもねー、ボクね、ニンゲンしゃんといっちょだからいいの!だって、ニンゲンしゃんはいつもぎゅーちてくれるでちょ?ボク、ニンゲンしゃんがいるの、しあわちぇ!だいしゅき!」

「そうかそうか〜。よしよし。」「えへ、なでなでもちてくれるのー!ボクもぎゅーとなでなで!おかえち!」
いいこいいこ。……自分もこんな風にされたかったな。

「ね!ふゆになったら、なにしゅるの?」
「他には……雪遊びとか、初詣とか、あとバレンタイン?……あんまり縁ないけど……。」

「ふゆ!たのちみ!ニンゲンしゃんといぱーいあしょぶ!」
「よし、これからちょっとずつ冬に向けて準備しようか。」「ん?」

「冬といえば、まだあった。」「こたつを出そう。」
「こたちゅ?」「そう、こたつ。」
「今から組み立てるよ。」「おてちゅだい!」

小さい子にこたつの組み立ては難しいだろうから、とりあえずこたつ用布団を持っていてもらった。
「よーし、完成。」「わー!」

「これがこたつ。」「てーぶるにおふとんついてるのー!」
「ここに入るとな……。」「んー?」「出られなくなるんだ。」
「えっ……?」「とりあえず入ってみて?」「や!こわいのー。」

「怖くはないから安心して。」「えー!」
怖がりながらこたつに入る。
「あ!あったかい!ふわふわ!」

嬉しそうに寝転がりながら遊んでいる。
そのうち眠くなったようで、いつのまにかそのまま眠ってしまった。遊びながら寝るなんて、子どもらしいな。

そんなことを考えているうちに、気づけば夕暮れになっていた。

冬になったら、何をしようかな。


「前回までのあらすじ」───────────────

ボクこと公認宇宙管理士:コードネーム「マッドサイエンティスト」はある日、自分の管轄下の宇宙が不自然に縮小している事を発見したので、急遽助手であるニンゲンくんの協力を得て原因を探り始めた!お菓子を食べたりお花を見たりしながら、楽しく研究していたワケだ!

調査の結果、本来であればアーカイブとして専用の部署内に格納されているはずの旧型宇宙管理士が、その身に宇宙を吸収していることが判明した!聞けば、宇宙管理に便利だと思って作った特殊空間内に何故かいた、構造色の髪を持つ少年に会いたくて宇宙ごと自分のものにしたくてそんな事をしたというじゃないか!
それを受けて、直感的に少年を保護・隔離した上で旧型管理士を「眠らせる」ことにした!

……と、一旦この事件が落ち着いたから、ボクはアーカイブを管理する部署に行って状況を確認することにした!そうしたらなんと!ボクが旧型管理士を盗み出したことになっていることが発覚したうえ、アーカイブ化されたボクのきょうだいまでいなくなっていることがわかった!そんなある日、ボクのきょうだいが発見されたと事件を捜査している部署から連絡が入った!ボクらはその場所へと向かうが、なんとそこが旧型管理士の作ったあの空間の内部であることがわかって驚きを隠せない!

……ひとまずなんとか兄を落ち着かせたが、色々と大ダメージを喰らったよ!ボクの右腕は吹き飛んだし、ニンゲンくんにも怪我を負わせてしまった!きょうだいについても、「倫理」を忘れてしまうくらいのデータ削除に苦しめられていたことがわかった。

その時、ニンゲンくんにはボクが生命体ではなく機械であることを正直に話したんだ。「機械だから」って気味悪がられたけれど、ボクがキミを……キミ達宇宙を大切に思っているのは本当だよ?

それからボクは弁護人として、裁判で兄と旧型管理士の命を守ることができた。だが、きょうだいが公認宇宙管理士の資格を再取得できるようになるまであと50年。その間の兄の居場所は宇宙管理機構にはない。だから、ニンゲンくんに、もう一度一緒に暮らそうと伝えた。そして、優しいキミに受け入れてもらえた。

小さな兄を迎えて、改めて日常を送ることになったボク達。しばらくのほほんと暮らしていたが、そんなある日、きょうだいが何やら気になることを言い出したよ?なんでも、父の声を聞いて目覚めたらしい。だが父は10,000年前には亡くなっているから名前を呼ぶはずなどない。一体何が起こっているんだ……?

もしかしたら専用の特殊空間に閉じ込めた構造色の髪の少年なら何かわかるかと思ったが、彼自身もかなり不思議なところがあるものだから真相は不明!

というわけで、ボクはどうにかこうにか兄が目を覚ました原因を知りに彼岸管理部へと「ご案内〜⭐︎」され、彼岸へと進む。
そしてついにボク達の父なる元公認宇宙管理士と再会できたんだ!
……やっぱり家族みんなが揃うと、すごく幸せだね。

そして、構造色の少年の名前と正体が分かったよ。なんと彼は、父が考えた「理想の宇宙管理士」の概念だった。概念を作った本人が亡くなったことと、ボク以外の生きた存在に知られていないことで、彼の性質が不安定だった原因も分かった。

ボクが概念を立派なものに書き換えることで、おそらく彼は長生きするだろうということだ。というわけで、ボクも立派に成長を続けるぞ!

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11/17/2024, 8:57:54 AM

「はなればなれ」

ニンゲンくん。いや、〇〇くん。
ボクに居場所をくれてありがとう。
仲間こそいるものの、ボクは天涯孤独だった。

キミが居場所をくれたおかげで、ボクは宇宙を救うことができた。また兄に会えた。お父さんにすら会えたんだ。
はなればなれだったボク達を、引き合わせてくれた。

どれだけお礼を言ったとしても言い尽くせないよ。

ひとりぼっちになってしまったボクを助けてくれたんだから。

小さな兄の居場所にもなってくれたんだから。

ボク達は幸せ者だね!

だから、キミが困った時には、必ず助ける。
だから、キミも助けを求めてね?

「前回までのあらすじ」───────────────

ボクこと公認宇宙管理士:コードネーム「マッドサイエンティスト」はある日、自分の管轄下の宇宙が不自然に縮小している事を発見したので、急遽助手であるニンゲンくんの協力を得て原因を探り始めた!お菓子を食べたりお花を見たりしながら、楽しく研究していたワケだ!

調査の結果、本来であればアーカイブとして専用の部署内に格納されているはずの旧型宇宙管理士が、その身に宇宙を吸収していることが判明した!聞けば、宇宙管理に便利だと思って作った特殊空間内に何故かいた、構造色の髪を持つ少年に会いたくて宇宙ごと自分のものにしたくてそんな事をしたというじゃないか!
それを受けて、直感的に少年を保護・隔離した上で旧型管理士を「眠らせる」ことにした!

……と、一旦この事件が落ち着いたから、ボクはアーカイブを管理する部署に行って状況を確認することにした!そうしたらなんと!ボクが旧型管理士を盗み出したことになっていることが発覚したうえ、アーカイブ化されたボクのきょうだいまでいなくなっていることがわかった!そんなある日、ボクのきょうだいが発見されたと事件を捜査している部署から連絡が入った!ボクらはその場所へと向かうが、なんとそこが旧型管理士の作ったあの空間の内部であることがわかって驚きを隠せない!

……ひとまずなんとか兄を落ち着かせたが、色々と大ダメージを喰らったよ!ボクの右腕は吹き飛んだし、ニンゲンくんにも怪我を負わせてしまった!きょうだいについても、「倫理」を忘れてしまうくらいのデータ削除に苦しめられていたことがわかった。

その時、ニンゲンくんにはボクが生命体ではなく機械であることを正直に話したんだ。「機械だから」って気味悪がられたけれど、ボクがキミを……キミ達宇宙を大切に思っているのは本当だよ?

それからボクは弁護人として、裁判で兄と旧型管理士の命を守ることができた。だが、きょうだいが公認宇宙管理士の資格を再取得できるようになるまであと50年。その間の兄の居場所は宇宙管理機構にはない。だから、ニンゲンくんに、もう一度一緒に暮らそうと伝えた。そして、優しいキミに受け入れてもらえた。

小さな兄を迎えて、改めて日常を送ることになったボク達。しばらくのほほんと暮らしていたが、そんなある日、きょうだいが何やら気になることを言い出したよ?なんでも、父の声を聞いて目覚めたらしい。だが父は10,000年前には亡くなっているから名前を呼ぶはずなどない。一体何が起こっているんだ……?

もしかしたら専用の特殊空間に閉じ込めた構造色の髪の少年なら何かわかるかと思ったが、彼自身もかなり不思議なところがあるものだから真相は不明!

というわけで、ボクはどうにかこうにか兄が目を覚ました原因を知りに彼岸管理部へと「ご案内〜⭐︎」され、彼岸へと進む。
そしてついにボク達の父なる元公認宇宙管理士と再会できたんだ!
……やっぱり家族みんなが揃うと、すごく幸せだね。

そして、構造色の少年の名前と正体が分かったよ。なんと彼は、父が考えた「理想の宇宙管理士」の概念だった。概念を作った本人が亡くなったことと、ボク以外の生きた存在に知られていないことで、彼の性質が不安定だった原因も分かった。

ボクが概念を立派なものに書き換えることで、おそらく彼は長生きするだろうということだ。というわけで、ボクも立派に成長を続けるぞ!

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11/16/2024, 8:27:47 AM

「子猫」

「ニンゲンしゃん!おはよ!」
「あー……まだ4時だぞー……?もうちょっと寝よう?」
「ねんねもいいけど、おしゃんぽ!ちよ?」

「あと3時間……待って……。」「ぎゅーされちゃった。」
こうするとよく寝るから助かる。
温かくするとよく寝るのはみんな同じなのか。

しかし、この子は頭のてっぺんから足のつま先まで柔らかい。
よく寝てくれるところも含めてまるで子猫だ。
さて、自分も寝直すかな。

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……今何時だ?7時半か。ちょっと寝過ぎたか?
おちび怒ってるかな……と思ったがまだ腕の中で眠っていた。
ちょっとほっとした。

「んにゃ……ニンゲンしゃ……?」
「朝ごはん食べようかー。」「んー。」

朝食には簡単なものを作る。
昨日のゆで卵とマヨネーズを和えてパンに挟む。
これだけでそれなりに美味しい。

「おいちいね!ちあわちぇ だね!」
「幸せかー。よかったよかった。」「ん!」
「ごちちょーしゃま でちた!」

「じゃ!おしゃんぽ!いく!」「はいはい。」

にしても、この子やたら外が好きだよな。
何か理由があるんだろうか。
そういやもう片方の方もそうだったっけか。

双子揃ってアウトドア派か。元気でよろしい。

「ニンゲンしゃーん!きょ、どこいく?」
「今日は公園に行ってみるか。」「ん!」
「こーえん!しゅき!」

怪我しないようになー、と声をかけたらベンチに座る。
いや、この子は小さいんだった。急いで滑り台に向かう。
「気をつけてな。」「ん?んー!」

小さい子は滑り台とか好きだよな。
自分はどうだったっけ。
あまり、覚えていないや。

とにかく。
子どもを遊ばせるのって変に気力と体力を使うな……。

「ニンゲンしゃん」「ん?」「ちかれたの?」「え?いや。」
「んー。」「でも、なんで?」「わかんない!」
「もっとあしょびたいけど、もうかえる。」

……子どもに気を遣われてしまった。これは良くない……。
どうにかしないと……「ふわふわ!」
「へ?」「ふわふわのこ!いる!」「あ、あれは。」

まごうことなき子猫。
よちよち歩きのまだ小さな白い子猫。
ひとで例えたら……ちょうどこのおちびくらいか?

「ニャー」「どちたの?」「ニャー!」「ん!」「ニャー、ニャ!」「わかったー!」「ちょっと待って」「「?」」
「なんで会話できてんの」「えー?ニンゲンしゃんできないの?」

そりゃ、違う生き物だから。
ひと同士ですら話が出来ないこともあるのに。

「ふわふわちゃんもおうちかえるって!」「え」「ニャー」
「だって、いってたもん!おうちー、て。」
「ねこ……その子はきっと家族に会いたいんじゃないかな。」

「きょうからボクとニンゲンしゃんが かじょく!」
「いや、でもいきなり連れて帰るのは難しいというか……。」
「や!このこと やくしょく ちたもん!」「ニャ。」

ぎゅっと子猫を抱きしめる。子猫もまんざらでもなさそうだ。
全く。
うちがペットの飼える場所でよかった。

「ただーま!」「……ただいま。」
「ねこちゃ、ここがボクのおうち!」「ニャー!」
「これからよろちくおねがいしまーしゅ!」「ニャ!」

「おなまえ なんていうの?」「ボクの名前かい、⬜︎⬜︎。よく知っているはずだが……。」「え」「んー?わかんない!」
「なにたべるのー?」「桜餅かなー?」「へー?」

「ねこちゃ、なでなで!」「へへへ〜!」
「ねこちゃ、おちゃべりできたのねー!ひとみちり だったのー?」「ニャー」「にゃー!」

「ニンゲンしゃんのほうにいっちゃった。」
「なあ、チビ猫。」「ニャー?」「お前だろ、マッドサイエンティスト。」「よく分かったねー!」「わかるわ!」

「いやー、今ちょっと呼び出され中なんだが、退屈でねー。それで、キミ達の様子でも見ようかと思ってさ!」「そしたら仲良しにしていて羨ましくてさあ!」「……。」

「しょうなのー。ねこちゃ は ⬛︎⬛︎ちゃんだったのー。」
「あ、⬜︎⬜︎。」「ぎゅー!かわいい!」
よく見たら、この猫の目の色、ミントグリーン……。

「おい、マッドサイエンティスト。」「なんだい?今こねこねされるのに忙しいのだが〜?」

「変な心配させんな!」「ボクの心配を?」「ちゃうわ!」
「お前のせいで危うく10万のキャットタワーと猫の保険に入るとこだったわ!!」「悪かったって!ほら、この通りだ!!」

うるうるの目つきで足元を転がってみせる。
全く。
子猫は可愛いな。

「前回までのあらすじ」───────────────

ボクこと公認宇宙管理士:コードネーム「マッドサイエンティスト」はある日、自分の管轄下の宇宙が不自然に縮小している事を発見したので、急遽助手であるニンゲンくんの協力を得て原因を探り始めた!お菓子を食べたりお花を見たりしながら、楽しく研究していたワケだ!

調査の結果、本来であればアーカイブとして専用の部署内に格納されているはずの旧型宇宙管理士が、その身に宇宙を吸収していることが判明した!聞けば、宇宙管理に便利だと思って作った特殊空間内に何故かいた、構造色の髪を持つ少年に会いたくて宇宙ごと自分のものにしたくてそんな事をしたというじゃないか!
それを受けて、直感的に少年を保護・隔離した上で旧型管理士を「眠らせる」ことにした!

……と、一旦この事件が落ち着いたから、ボクはアーカイブを管理する部署に行って状況を確認することにした!そうしたらなんと!ボクが旧型管理士を盗み出したことになっていることが発覚したうえ、アーカイブ化されたボクのきょうだいまでいなくなっていることがわかった!そんなある日、ボクのきょうだいが発見されたと事件を捜査している部署から連絡が入った!ボクらはその場所へと向かうが、なんとそこが旧型管理士の作ったあの空間の内部であることがわかって驚きを隠せない!

……ひとまずなんとか兄を落ち着かせたが、色々と大ダメージを喰らったよ!ボクの右腕は吹き飛んだし、ニンゲンくんにも怪我を負わせてしまった!きょうだいについても、「倫理」を忘れてしまうくらいのデータ削除に苦しめられていたことがわかった。

その時、ニンゲンくんにはボクが生命体ではなく機械であることを正直に話したんだ。「機械だから」って気味悪がられたけれど、ボクがキミを……キミ達宇宙を大切に思っているのは本当だよ?

それからボクは弁護人として、裁判で兄と旧型管理士の命を守ることができた。だが、きょうだいが公認宇宙管理士の資格を再取得できるようになるまであと50年。その間の兄の居場所は宇宙管理機構にはない。だから、ニンゲンくんに、もう一度一緒に暮らそうと伝えた。そして、優しいキミに受け入れてもらえた。

小さな兄を迎えて、改めて日常を送ることになったボク達。しばらくのほほんと暮らしていたが、そんなある日、きょうだいが何やら気になることを言い出したよ?なんでも、父の声を聞いて目覚めたらしい。だが父は10,000年前には亡くなっているから名前を呼ぶはずなどない。一体何が起こっているんだ……?

もしかしたら専用の特殊空間に閉じ込めた構造色の髪の少年なら何かわかるかと思ったが、彼自身もかなり不思議なところがあるものだから真相は不明!

というわけで、ボクはどうにかこうにか兄が目を覚ました原因を知りに彼岸管理部へと「ご案内〜⭐︎」され、彼岸へと進む。
そしてついにボク達の父なる元公認宇宙管理士と再会できたんだ!
……やっぱり家族みんなが揃うと、すごく幸せだね。

そして、構造色の少年の名前と正体が分かったよ。なんと彼は、父が考えた「理想の宇宙管理士」の概念だった。概念を作った本人が亡くなったことと、ボク以外の生きた存在に知られていないことで、彼の性質が不安定だった原因も分かった。

ボクが概念を立派なものに書き換えることで、おそらく彼は長生きするだろうということだ。というわけで、ボクも立派に成長を続けるぞ!

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11/15/2024, 9:43:45 AM

「秋風」

最近、暑かったり寒かったり忙しない。
昨日はシャツ一枚でもよかったのに今日は羽織りものが必要だ。
……流石にちょっと堪えるな。

「ニンゲンしゃん!おしょと!いこー!」
それに比べてこの小さいのはずっと元気だ。
「お兄ちゃんはいつも元気だなー。」「ん!げんき!」

「お外はちょっと寒いから、狭くて悪いけどベランダでもいい?」「ちょーがないねー!べらんだ?いこー!」
ベランダか……洗濯物をついでに取り込むか。

「危ないからひとりで出ちゃ駄目だからな?」「ん!」
……分かっているのかいないのか。
「だ・め・だ・か・ら・な?」「はーい!」

「ちょっとの間、そっちで洗濯物畳んでて。」「ん。」
この子は優しいからか、随分と手伝いをしたがる。
でもまだ小さいから、あまりそうさせられない。

だからこの子でもできそうなことをついでに探した。
「ねー!じょーず?」「綺麗に畳めてるよ。ありがとう。」
「ほめられたー!うれちい!わー!」

「もっとボクたたむのがんばるー!」「うん。お願いするよ。」
頑張り屋なところは、きょうだい揃って同じみたいだ。
よし、これで洗濯物も取り込めたかな。

「お兄ちゃん、お仕事はもう終わったから、ベランダに出ようか。」「んー!」「その代わり」「んー?」「抱っこするから」
「わ!」「ちゃんとしがみついててな?」「やたー!」

窓の外の景色を見るには、少なくとも自分くらいの身長は必要だが、そうするとなると抱っこは必須。下手なことして事故に繋がったら洒落にならないからな。

「べらんだ!おしょと!」「そうだな、お外だな。」
「んー!かぜつよいー!」「でも、寒くない……というか部屋よりあったかいな。」「んー!」

楽しそうに景色を眺めている。本当に外が好きみたいだ。
「ニンゲンしゃ!」「ん?」「たのちいね!」「ふふっ、楽しいな。」「あ!わらったのー!」

秋風が街から熱を奪っていく。
ついでにこの子のふわっふわの髪の毛を乱していく。
たんぽぽの綿毛のようなのに、すぐに元に戻る。

不思議な髪の毛だ。すごく柔らかい。
「なでなで!なでなでなの!わー!」
「ニンゲンしゃん、だいしゅきー!ボクもなでなでしゅる!」

小さな子どもに頭を撫でられるのって、悪くないな。
……色々とくすぐったい。

「ニンゲンしゃん!おなかしゅいた!ごはん!」
「はいはい。」

もうそろそろ秋も終わりだ。何かもっと思い出作りができたら。
この子ももっと、笑うのだろうか。

「前回までのあらすじ」───────────────

ボクこと公認宇宙管理士:コードネーム「マッドサイエンティスト」はある日、自分の管轄下の宇宙が不自然に縮小している事を発見したので、急遽助手であるニンゲンくんの協力を得て原因を探り始めた!お菓子を食べたりお花を見たりしながら、楽しく研究していたワケだ!

調査の結果、本来であればアーカイブとして専用の部署内に格納されているはずの旧型宇宙管理士が、その身に宇宙を吸収していることが判明した!聞けば、宇宙管理に便利だと思って作った特殊空間内に何故かいた、構造色の髪を持つ少年に会いたくて宇宙ごと自分のものにしたくてそんな事をしたというじゃないか!
それを受けて、直感的に少年を保護・隔離した上で旧型管理士を「眠らせる」ことにした!

……と、一旦この事件が落ち着いたから、ボクはアーカイブを管理する部署に行って状況を確認することにした!そうしたらなんと!ボクが旧型管理士を盗み出したことになっていることが発覚したうえ、アーカイブ化されたボクのきょうだいまでいなくなっていることがわかった!そんなある日、ボクのきょうだいが発見されたと事件を捜査している部署から連絡が入った!ボクらはその場所へと向かうが、なんとそこが旧型管理士の作ったあの空間の内部であることがわかって驚きを隠せない!

……ひとまずなんとか兄を落ち着かせたが、色々と大ダメージを喰らったよ!ボクの右腕は吹き飛んだし、ニンゲンくんにも怪我を負わせてしまった!きょうだいについても、「倫理」を忘れてしまうくらいのデータ削除に苦しめられていたことがわかった。

その時、ニンゲンくんにはボクが生命体ではなく機械であることを正直に話したんだ。「機械だから」って気味悪がられたけれど、ボクがキミを……キミ達宇宙を大切に思っているのは本当だよ?

それからボクは弁護人として、裁判で兄と旧型管理士の命を守ることができた。だが、きょうだいが公認宇宙管理士の資格を再取得できるようになるまであと50年。その間の兄の居場所は宇宙管理機構にはない。だから、ニンゲンくんに、もう一度一緒に暮らそうと伝えた。そして、優しいキミに受け入れてもらえた。

小さな兄を迎えて、改めて日常を送ることになったボク達。しばらくのほほんと暮らしていたが、そんなある日、きょうだいが何やら気になることを言い出したよ?なんでも、父の声を聞いて目覚めたらしい。だが父は10,000年前には亡くなっているから名前を呼ぶはずなどない。一体何が起こっているんだ……?

もしかしたら専用の特殊空間に閉じ込めた構造色の髪の少年なら何かわかるかと思ったが、彼自身もかなり不思議なところがあるものだから真相は不明!

というわけで、ボクはどうにかこうにか兄が目を覚ました原因を知りに彼岸管理部へと「ご案内〜⭐︎」され、彼岸へと進む。
そしてついにボク達の父なる元公認宇宙管理士と再会できたんだ!
……やっぱり家族みんなが揃うと、すごく幸せだね。

そして、構造色の少年の名前と正体が分かったよ。なんと彼は、父が考えた「理想の宇宙管理士」の概念だった。概念を作った本人が亡くなったことと、ボク以外の生きた存在に知られていないことで、彼の性質が不安定だった原因も分かった。

ボクが概念を立派なものに書き換えることで、おそらく彼は長生きするだろうということだ。というわけで、ボクも立派に成長を続けるぞ!

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11/14/2024, 8:35:26 AM

「また会いましょう」

また会おうなんて言わなくても、会えるのが当たり前だと思っていた。「おやすみ」だけが一時の別れの挨拶だって思っていた。

それだけボクは満たされていたんだね。

いつものようにあなたに会いに行ったら、その時にはもう遅かった。何を試しても無駄だった。
あなたはボクを置いていった。

悲しかったよ。これ以上ないくらいに。
苦しかったよ。これ以上ないくらいに。
孤独だったよ。これ以上ないくらいに。

でも。会うことができた。幸せだったよ。
懐かしくて、あたたかくて。
すごく、嬉しかった。

ボクはもうもといた場所に戻ったけれど、また会いたいな。

今度はあなたが会いにきてね。
それじゃあ。また会いましょう。

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