Frieden

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10/20/2024, 11:01:55 AM

「始まりはいつも」

-???の後悔-(前日譚)

始まりはいつも幸せで、希望に満ち溢れていた。
いつだってそうだった。
みんないつも夢を見ているんだ。

あの実験が成功すれば、きっと我々も宇宙もずっと満たされると信じた。だが、実験は成功するどころか、大量の死傷者を出し、生き残ったひとりの少女でさえぼろぼろにしてしまった。

だから、生命体ではなく機械を使えばきっと誰も苦しまないと考え、私はあの小さな双子を創り上げた。とても可愛い、小さな双子を。

私がいなくなってもふたりで支えていけるように、ふたりの子どもを創ったはずだった。

なのに、片方には痛みを、もう片方には孤独を、そして別れを与えてしまった。

そして、彼らを置いて私はこの世を去った。

私は、どうして、どうしていつも誰かを苦しめてしまうのだろう。
罪のない彼らに、背負う必要のないものを背負わせる。

私はただ、彼らを自由に、幸せにしたかっただけなのに。

「前回までのあらすじ」───────────────

ボクこと公認宇宙管理士:コードネーム「マッドサイエンティスト」はある日、自分の管轄下の宇宙が不自然に縮小している事を発見したので、急遽助手であるニンゲンくんの協力を得て原因を探り始めた!お菓子を食べたりお花を見たりしながら、楽しく研究していたワケだ!

調査の結果、本来であればアーカイブとして専用の部署内に格納されているはずの旧型宇宙管理士が、その身に宇宙を吸収していることが判明した!聞けば、宇宙管理に便利だと思って作った特殊空間内に何故かいた、構造色の髪を持つ少年に会いたくて宇宙ごと自分のものにしたくてそんな事をしたというじゃないか!
それを受けて、直感的に少年を保護・隔離した上で旧型管理士を「眠らせる」ことにした!

……と、一旦この事件が落ち着いたから、ボクはアーカイブを管理する部署に行って状況を確認することにした!そうしたらなんと!ボクが旧型管理士を盗み出したことになっていることが発覚したうえ、アーカイブ化されたボクのきょうだいまでいなくなっていることがわかった!そんなある日、ボクのきょうだいが発見されたと事件を捜査している部署から連絡が入った!ボクらはその場所へと向かうが、なんとそこが旧型管理士の作ったあの空間の内部であることがわかって驚きを隠せない!

……ひとまずなんとか兄を落ち着かせたが、色々と大ダメージを喰らったよ!ボクの右腕は吹き飛んだし、ニンゲンくんにも怪我を負わせてしまった!きょうだいについても、「倫理」を忘れてしまうくらいのデータ削除に苦しめられていたことがわかった。

その時、ニンゲンくんにはボクが生命体ではなく機械であることを正直に話したんだ。「機械だから」って気味悪がられたけれど、ボクがキミを……キミ達宇宙を大切に思っているのは本当だよ?

それからボクは弁護人として、裁判で兄と旧型管理士の命を守ることができた。だが、きょうだいが公認宇宙管理士の資格を再取得できるようになるまであと50年。その間の兄の居場所は宇宙管理機構にはない。だから、ニンゲンくんに、もう一度一緒に暮らそうと伝えた。そして、優しいキミに受け入れてもらえた。

小さな兄を迎えて、改めて日常を送ることになったボク達。しばらくのほほんと暮らしていたが、そんなある日、きょうだいが何やら気になることを言い出したよ?なんでも、父の声を聞いて目覚めたらしい。だが父は10,000年前には亡くなっているから名前を呼ぶはずなどない。一体何が起こっているんだ……?

もしかしたら専用の特殊空間に閉じ込めた構造色の髪の少年なら何かわかるかと思ったが、彼自身もかなり不思議なところがあるものだから真相は不明!

というわけで、ボクはどうにかこうにか兄が目を覚ました原因を知りに彼岸管理部へと「ご案内〜⭐︎」され、彼岸へと進む。
そしてついにボク達の父なる元公認宇宙管理士と再会できたんだ!
……やっぱり家族みんなが揃うと、すごく幸せだね。

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10/19/2024, 1:11:56 PM

「すれ違い」

ここは魔法使いが全てを支配する世界。
彼らは神に近づこうとあるものを作りました。
それは───。

「ようやく完成したね!これで我々は飛躍的に天へと近づける!さすがは我ら魔法使い!」
「持つ者も持たざる者も、これでひとつになれる!」

「この魔法システム『Babel』を使えば、きっと皆幸せになれるだろう!」
 
魔法システム『Babel』は、魔法使いの善意によって創り上げられたものです。すべての人を繋ぎ、共有し、近づける。

そうすることによって、世界平和が実現できると彼らは信じ、『Babel』を世界に解き放ちました。

はじめはよかった。

興味を持った魔法使いと人々が、日常の些細なことを微笑ましく分かち合っていました。
それはそれは、幸せそうでした。

このまま皆で神になれる日もそう遠くないと思わせるほどに。

しかし現実は違いました。

人々はひとつになろうとすればするほど、ばらばらになっていく。美しい虹を架けるのではなく、混ざって醜い色の欠片を作る。

歪み合い、罵り合い、必要のない分断と苦しみを生み出す。
無限にある正しさをひとつにまとめようとして、歪んだ争いが生まれ続ける。落とし所のない、争いが。

魔法使い達はとても悲しみました。
平和だった世界が、平和のために作ったBabelのせいで壊れていく様子を、ただただ見つめることしかできませんでした。

こうなるのが分かっていたら、最初からこんなものを作らなかった、きっと彼らはそう思っていることでしょう。

ですが、これは神からの罰ではありません。
なぜなら、神たる私は何もしていないからです。

見なくてもいいものが見られるようになることは、果たして本当に幸せを運ぶのでしょうか?

私ですら、分かりません。

10/19/2024, 7:10:06 AM

「秋晴れ」

やわらかな日差し。あたたかな猫の微笑。
ふんわり浮かぶ羊雲。高らかな小鳥の朝。

ひんやりとした、金木犀の香るそよ風。
街を彩る秋桜。季節外れの曼珠沙華。

今日は秋晴れです。
だんだんと世界を淡い色に変えていく、秋の晴れた日です。

ほら、あれだけ鮮やかだった空も、今では幻です。
芽吹いた子ども達も、こんなに大きくなりました。

秋晴れは、今度何を運んでくるのでしょう。
穏やかな冬でしょうか。
それとも、全てを無に還す木枯らしでしょうか。

それは、秋晴れのみぞしる秘密です。

10/18/2024, 9:27:30 AM

「忘れたくても忘れられない」

後悔。罵声。喜び。悲鳴。
忘れたくても忘れられないものたち。

贖い。償い。贖罪。罰。
自分に課したものたち。

知識。温もり。希望。夢。
今を生きる彼らに託したものたち。

優しい彼を苦しめた過ち。
暖かく柔らかい、小さな手のひらとほっぺた餅。

彼女の尊い自己犠牲。
そして、奇跡と呼ぶべきこどもたちとの再会。

私には忘れられない、いや、忘れてはいけないものがたくさんある。だからこそ、私は私の全てを、彼らの苦しみを、犠牲を───背負わなければ。

「前回までのあらすじ」───────────────

ボクこと公認宇宙管理士:コードネーム「マッドサイエンティスト」はある日、自分の管轄下の宇宙が不自然に縮小している事を発見したので、急遽助手であるニンゲンくんの協力を得て原因を探り始めた!お菓子を食べたりお花を見たりしながら、楽しく研究していたワケだ!

調査の結果、本来であればアーカイブとして専用の部署内に格納されているはずの旧型宇宙管理士が、その身に宇宙を吸収していることが判明した!聞けば、宇宙管理に便利だと思って作った特殊空間内に何故かいた、構造色の髪を持つ少年に会いたくて宇宙ごと自分のものにしたくてそんな事をしたというじゃないか!
それを受けて、直感的に少年を保護・隔離した上で旧型管理士を「眠らせる」ことにした!

……と、一旦この事件が落ち着いたから、ボクはアーカイブを管理する部署に行って状況を確認することにした!そうしたらなんと!ボクが旧型管理士を盗み出したことになっていることが発覚したうえ、アーカイブ化されたボクのきょうだいまでいなくなっていることがわかった!そんなある日、ボクのきょうだいが発見されたと事件を捜査している部署から連絡が入った!ボクらはその場所へと向かうが、なんとそこが旧型管理士の作ったあの空間の内部であることがわかって驚きを隠せない!

……ひとまずなんとか兄を落ち着かせたが、色々と大ダメージを喰らったよ!ボクの右腕は吹き飛んだし、ニンゲンくんにも怪我を負わせてしまった!きょうだいについても、「倫理」を忘れてしまうくらいのデータ削除に苦しめられていたことがわかった。

その時、ニンゲンくんにはボクが生命体ではなく機械であることを正直に話したんだ。「機械だから」って気味悪がられたけれど、ボクがキミを……キミ達宇宙を大切に思っているのは本当だよ?

それからボクは弁護人として、裁判で兄と旧型管理士の命を守ることができた。だが、きょうだいが公認宇宙管理士の資格を再取得できるようになるまであと50年。その間の兄の居場所は宇宙管理機構にはない。だから、ニンゲンくんに、もう一度一緒に暮らそうと伝えた。そして、優しいキミに受け入れてもらえた。

小さな兄を迎えて、改めて日常を送ることになったボク達。しばらくのほほんと暮らしていたが、そんなある日、きょうだいが何やら気になることを言い出したよ?なんでも、父の声を聞いて目覚めたらしい。だが父は10,000年前には亡くなっているから名前を呼ぶはずなどない。一体何が起こっているんだ……?

もしかしたら専用の特殊空間に閉じ込めた構造色の髪の少年なら何かわかるかと思ったが、彼自身もかなり不思議なところがあるものだから真相は不明!

というわけで、ボクはどうにかこうにか兄が目を覚ました原因を知りに彼岸管理部へと「ご案内〜⭐︎」され、彼岸へと進む。
そしてついにボク達の父なる元公認宇宙管理士と再会できたんだ!
……やっぱり家族みんなが揃うと、すごく幸せだね。

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゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚ ゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚ 

P.S.
明日コンサートに行きます!めちゃくちゃいい席です!
とても楽しみ!きっと忘れられない思い出に!!なる!!!
皆様も良い週末をお過ごしください♪

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10/17/2024, 10:04:15 AM

「やわらかな光」

「前回までのあらすじ」───────────────

ボクこと公認宇宙管理士:コードネーム「マッドサイエンティスト」はある日、自分の管轄下の宇宙が不自然に縮小している事を発見したので、急遽助手であるニンゲンくんの協力を得て原因を探り始めた!お菓子を食べたりお花を見たりしながら、楽しく研究していたワケだ!

調査の結果、本来であればアーカイブとして専用の部署内に格納されているはずの旧型宇宙管理士が、その身に宇宙を吸収していることが判明した!聞けば、宇宙管理に便利だと思って作った特殊空間内に何故かいた、構造色の髪を持つ少年に会いたくて宇宙ごと自分のものにしたくてそんな事をしたというじゃないか!
それを受けて、直感的に少年を保護・隔離した上で旧型管理士を「眠らせる」ことにした!

……と、一旦この事件が落ち着いたから、ボクはアーカイブを管理する部署に行って状況を確認することにした!そうしたらなんと!ボクが旧型管理士を盗み出したことになっていることが発覚したうえ、アーカイブ化されたボクのきょうだいまでいなくなっていることがわかった!そんなある日、ボクのきょうだいが発見されたと事件を捜査している部署から連絡が入った!ボクらはその場所へと向かうが、なんとそこが旧型管理士の作ったあの空間の内部であることがわかって驚きを隠せない!

……ひとまずなんとか兄を落ち着かせたが、色々と大ダメージを喰らったよ!ボクの右腕は吹き飛んだし、ニンゲンくんにも怪我を負わせてしまった!きょうだいについても、「倫理」を忘れてしまうくらいのデータ削除に苦しめられていたことがわかった。

その時、ニンゲンくんにはボクが生命体ではなく機械であることを正直に話したんだ。「機械だから」って気味悪がられたけれど、ボクがキミを……キミ達宇宙を大切に思っているのは本当だよ?

それからボクは弁護人として、裁判で兄と旧型管理士の命を守ることができた。だが、きょうだいが公認宇宙管理士の資格を再取得できるようになるまであと50年。その間の兄の居場所は宇宙管理機構にはない。だから、ニンゲンくんに、もう一度一緒に暮らそうと伝えた。そして、優しいキミに受け入れてもらえた。

小さな兄を迎えて、改めて日常を送ることになったボク達。しばらくのほほんと暮らしていたが、そんなある日、きょうだいが何やら気になることを言い出したよ?なんでも、父の声を聞いて目覚めたらしい。だが父は10,000年前には亡くなっているから名前を呼ぶはずなどない。一体何が起こっているんだ……?

もしかしたら専用の特殊空間に閉じ込めた構造色の髪の少年なら何かわかるかと思ったが、彼自身もかなり不思議なところがあるものだから真相は不明!
というわけで、ボクはどうにかこうにか兄が目を覚ました原因を知りに彼岸管理部へと「ご案内〜⭐︎」され、彼岸へと進む。
そしてついにボク達の父なる元公認宇宙管理士と再会できたんだ!
……やっぱり家族みんなが揃うと、すごく幸せだね。

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「やわらかな光」

……朝だ。朝が来た。
当たり前なのか、そうでないのかも分からないが、あの世にも朝って来るんだね。

「お父さん、おはよう。」……まだ寝ているのか。
「⬛︎⬛︎ちゃん、おはよ!」小さい子は早起きだね。
「おはよう、⬜︎⬜︎。」

「朝だねー。まさかここで一晩過ごすことになるとは。……あ、そういえばボク達の見張りの彼はどこに行ったんだろう?見かけないけれど。」

『ここですよ。』げっ、植物から声がする!
『特殊な空間からあなた達を見張っています。』
「全く、キミもボクみたいなことをするんだね!」

「ま、今のところ問題は起こしていないから安心してくれたまえよ。ボクにしては珍しく、大人しい振る舞いをしているだろう?」
『……そうですね。喧嘩は見逃しておりませんが。』

「ケンカなんて些細なことさ!第一、ボク自身はああいうの言われ慣れているからね。ただ、兄が心配になっただけで。」
「んー?」「ん?なんでもないよ?」「そかー!」

『何かあればまたご相談ください。』
「ばばーい!ちゃんとあしゃごはん、たべてね!」
「ありがとう!それじゃあ失礼!」

通話(?)はここで終わったみたいだ。

「……。ふたりとも早いね。まだ早朝だよ?もう少し寝ていてもいいと思うけど……。」「おとーしゃん!おはよ!」「起きなきゃダメかなぁ……?」「お!き!てー!」「……はい。」

「あしゃごはんだよー!」「……そうだね、作らなきゃだね。」
「ボクも手伝うよ!」「ボクも、おてちゅだい!するー!」
「ふたりともありがとう。」

昨日の鋭い眼差しとは打って変わって、父の目にはやわらかい光が灯っていた。

……懐かしいな。こんなに安心したのはいつぶりだろう。
思えば、兄がいなくなった後から父はずっと、どこか焦ったような、不安そうな顔ばかりしていた。

でも、ようやくこの顔が、安心したいつものお父さんが見られた。ボクは、いやボク達は幸せ者だね。

本当に、会えてよかったよ。

お父さん、ありがとう───「寝てる!!!」
「しかも⬜︎⬜︎まで二度寝を?!!」

仕方ない。朝ごはんはボクが作ろう。

……こういう親孝行も、いいよね?

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