「好きな本」
このテーマを見て高校の時にあった素敵なことを思い出した。
中学生の頃、授業で「あなたの好きな本は何ですか?」と聞かれた。その時私は多分当時読んでいたミステリ小説の題名を挙げた気がする。
他の子は、「俺本とか興味ないし」とか、流行りのラノベばっかり挙げるとかで、あんまり個性がないというか、みんな本を読まないんだなぁと思って、ちょっとがっかりした。
そんなことも忘れて高校に入り、2年生になって初めて国語の授業を受けた。
その授業のはじめは、自分の名前と好きな本の題名を自己紹介代わりに言っていくところから始まった。
「私の好きな本は」この質問を聞いてその時やっとうっすら、中学生の頃のことを思い出した。
このクラスの彼らはどんな本が好きなんだろう。
いや、興味があるかも分からないのに、変に期待してもあんまり意味はないだろうか。
そんなことを思いながらも、同級生の発表を聞き始めた。
「僕は〇〇〇〇です。好きな本は───。」
「私の名前はXXXXです。私の好きな本は……。」
みんなが順番に発表していく中で気付いた。
今のところ、誰も好きな本が被っていない。
私も自己紹介代わりの発表をして、それからしばらくしたら全員が名前と好きな本の題名を挙げ終わった。
その時、私は思った。
すごい。40人くらいいるクラスなのに、誰も同じ本の題名を挙げなかった。みんな、たくさん本を読んでいるんだなぁ。
みんなに名前があるように、みんなに好きな本がある。
それに気付いて、とても嬉しくなった。
最近では忙しくなってしまって、以前ほど本に触れる時間が減ってしまったうえ、積ん読が増えるばかりだけれど、せっかくだからまた本を読んでみようかな。
「あいまいな空」
あー……もう4時か。色々考えているうちに夜明けが来てしまったよ!!!参ったなあ!!!ハハハ!!!
えー、いやー……しかし、どうしたものか……。
まさかボクの片割れまで消失しているなんてね……。
流石のボクでも予想できなかったよ。
はぁ……。朝焼けは綺麗だなぁ。
藤みたいな薄紫の、静かにあっという間に移り変わる空。
晴れるのか曇るのかも分からない、あいまいな空だ。
今はこんなに美しくても、少し後のことは分からない。
ほら、向こうから分厚い雲がやって来る。
……この空のように、これから状況が悪くならなければいいが。
いいや!!!ボクのくせにこんなところで弱気になってどうするんだ!!!今のボクに出来ることは!!!事件の真相を解明し!!!あわよくば片割れも見つける!!!
ただそれだけさ!!!
何もかも万事解決して!!!
ボクはキミとのんびり暮らしたり旅に出掛けたりするんだ!!!
だからせめて、これ以上大事にはならないでくれたまえよ!!!
「好き嫌い」「あじさい」6/12、6/13
入力した内容が消えてしまったから書き直したよ!!!
これ書くの何回目だろうね!!!泣きそう……( ᵕ̩̩ㅅᵕ̩̩ )
まあいっか!!!
+゚*。:゚+.゚*。:゚+.゚*。:゚+.゚*。:゚+.゚*。:゚+
最近、あいつの様子が変だ。
なんていうか、落ち着きがない……これはいつものことだな……とにかく不安そうというか。
何にも言わないが、おそらく何かあったに違いない。
こういう時、自分は何ができるんだろう。
……いや、迂闊に変なことすると心配してるのがバレそうか。
とりあえず、いつも通り振る舞おう。
「おはようニンゲンくん!!!朝なのに暑いね!!!」
あぁ、おはよう。
「今日はだし巻きサンドを作ってみたよ!!!」
そういや昨日テレビでやってたっけ。
いただきます───ジャリッ?!
うわっ、デカめの殻が入ってた!
作ってもらいながら文句は言いたくないけど……あんたがこんなミスするなんて珍しいな。
「……あ、あぁ、それねえ〜!!!キミちょっとカルシウムが足りてなさそうだったからタマゴの殻を入れてみたんだよ〜!!!」
……?
「好き嫌いはよくないよ!!!ちゃんと食べたまえよ〜!!!」
流石に無理があるだろ。
全く、最近どうしたんだよ?なんかずっと変だぞ?
「ん???……ぁ、いや〜?!!なんでもないが?!!」
……隠し事が下手すぎる。
「それはそうと!!!ちょっと前に雑誌で見たコレ!!!ボクも食べてみたいのだよ!!!お家で作れる『あじさいパフェ』!!!材料は揃っているからキミもどうだい?!!」
……完全にはぐらかされた。
まあでもこいつの気分転換になればいいかな。
「わーい!!!」
「作り方はカンタン!!!バタフライピー、それからぶどうジュースをゼラチンに混ぜて!!!固まるまで待つ!!!」
「そして固まったものがこちらでございます!!!」
「それから!!!固まったゼリーを細かく刻んで!!!」
「あとは好きに盛り付けてくれたまえ!!!」
急にこっちに投げるな。
「ほら!!!色々取り揃えているよ!!!氷を削ってかき氷にもできるし!!!ソーダを加えればあじさいポンチも作れる!!!」
なるほど。色々作りようがあるってことか。
「その通り!!!好きなものを試すといい!!!」
それじゃあ……最近何があったんだ?
「そうそう!!!……うわあ唐突にフェイントかけてくるね。」
「機密事項に触れることだからね……。信頼しているとはいえ助手のキミにもちょっとお話はできないなぁ……。」
……相当動揺してるな。少し前逮捕状が出されてからなにかあったってことは分かったが、話せないほどの事が起こったとは思ってもみなかった。
でも、だからと言ってだな。
「ん???」
流石に紙皿を食うのはやめろ。
「これはあああれだよ『肉食らえば皿まで』みたいなさあ!!!アレだよ!!!ボクもやってみたくなってね!!!」
おい!ちょっと落ち着けって!!
……これはもはや生活に支障をきたすレベルだ。
どうにかして落ち着かせないと。
何かいい方法はないのか……?
「街」
「やあ!!!来たよ!!!」
「……なんでお前がここにいるんだ?」
「こんにちはぁ!数日ぶりなのですぅ!」
ここは宇宙管理本部アーカイブ管理室。
アーカイブ管理室では過去に使用されたものやデータが大量に保存されており、それを管理する者が───
「そう!!!彼らというわけだ!!!」
……。
「でも、確かにどうしてここに来られたのですぅ?」
「そりゃあ用があるからだよ!!!」
「それくらい分かる。」
「というかどうやって勝手に入ってきた?!ただでもここに不正アクセスして物を盗んだ容疑が晴れていないのに!どうしてこんなにややこしい時に来るんだ!証拠隠滅か?」
「色々とちがうよ〜!!!ボクはちゃ〜んとアーカイブ管理士の資格も持ってるし!!!入室許可も得てから来た!!!それから!!!ボクはなんにもしていない!!!」
「わたしも付き添いますので、きっと大丈夫なのですぅ!」
「キミは話が分かるねぇ〜!!!素晴らしい!!!」
「えっへんなのですぅ!」
「それじゃあ、後輩くん!!!よろしく頼む!!!」
「はーい!!!」
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「ところで、キミが倉庫に入るのは初めてなんだよね???」
「はいぃ。ちょっと暗くて怖いのですぅ……。」
「ここにあるものは凍結保管されているから大丈夫だよ。」
「この辺りには色んな宇宙のデータが……ほら、これ見て!」
「これは……かなり古い型ですねぇ。こっちは比較的新しいのですぅ……。」
「どこを見て分かったんだい?」
「データの大きさですぅ!」
「なるほど〜!昔のは今のよりだいぶ簡素だからねぇ!」
「それじゃ、あっちを見に行ってみようか!」
「こっちには都市の古いバックアップが格納されているのさ!」
「え、都市単位でバックアップがあるのですぅ?」
「いい質問だねえ!!!」
「これら全ての都市のバックアップをとったのはボクだよ!!!宇宙には色んな美しい街があるからね!!!」
「300年前の江戸から10万年前の漣ョ8 縺ソ縺2溘↑まで、よりどりみどり!!!今日も都市のデータを秒単位で取得して、キミたちのところに送っているのだよ!!!」
「……こんなに美しい街でも、いつなくなってしまうか分からないからね。いつでも見返せるようにアーカイブを取っておくのさ。」
「素敵なのですぅ!」
「しかし!!!しかしだよ!!!他の公認宇宙管理士は!!!これだけ美しい街の数々を!!!星の数々を!!!管理対象としか見ていない!!!なんと嘆かわしいこと!!!」
「ボクらと同じように、星も街も生きているのだぞ!!!そんなかけがえのない存在を!!!どうしてそんなぞんざいに扱えるのだろうか!!!」
「生きている……ですぅ?」
……だって、わたしたちは機械なのですよぉ?プログラムで動いているだけで、生きているわけじゃないのですぅ。
「ところで、マッドサイエンティストさんはどうしてここに来られたのですぅ?」
「お!ちょうどいいタイミングで聞いてくれたね!」
「ん〜、確かこの辺りだったはずだが……。」
「ここにはなにがあるのですぅ?」
「ここにはね、もう使われなくなった旧型の宇宙管理士がいるのさ。長い間放置してしまうと劣化して事故のリスクが高まるから、時々様子を見ておくといいよ。」
「ま、ボクはそのために来たわけじゃないけど!!!」
「そ、それでは、なんの目的でぇ……?」
「ボクの片割れに挨拶しようと思ってね。」
「片割れ……?」
「そう、片割れ。わかりやすく言えば、きょうだいみたいなものかな。」
「ごきょうだいがいらっしゃるのですぅ?」
「まあね。2分だけ年上のきょうだいがここで眠っているのさ。」
「……詳しいことはそのうち話すよ。」
……?ちょっと様子がヘンなのですぅ。
どうされたのでしょうかぁ?
あれ、手が震えて……?
「……おかしい、そんなはずはない……!!」
「ここに、確実にここにいたはずなのに……!!!」
「後輩くん!!!ボクのきょうだい……いや、アーカイブ番号722840-687533-927の管理士の履歴を調べてくれ!!!」
「は、はい!!」
「……該当するアーカイブ番号のデータが見つからないのですぅ。」
「本当かい?!まさか……、そんな……!!」
「……念のためにこのことを上に報告してくるよ。だからキミも、アーカイブ管理室ならびに関連部署に共有しておいてくれたまえ。……これはまずいことになった。」
「ひとまず、今日はありがとう!それじゃ、ボクはここで!」
「お、お気をつけてぇ……!」
一体何が起こったのですぅ……?!
マッドサイエンティストさんにはごきょうだいが……?!
アーカイブがまた消失した……?!!
何にも分からないのですぅ〜!
共有が終わったら、とりあえず……。
街のアーカイブをいっぱい見て心を整理するのですぅ。
「やりたいこと」
「おはようニンゲンくん!!!今日も精が出るねえ!!!」
おはよう。あんたはいつも元気だな。
「今日は昨日の残り物サンドだよ〜!!!コロッケとサラダを挟めば美味しくなるに違いないと思ってね!!!」
炭水化物に炭水化物……美味いのは美味いけどカロリーが。
「朝から元気をつけておきたくてね!!!」
今日もまたどこかに出かけるつもりなのか?
「まあね!!!ちょっとやりたいことがあるのさ!!!」
「ちょっくら本部まで出掛けるが、晩ご飯までには帰るつもりだよ!!!」
そうか。……そのことでずっと気になってたんだが。
「ん???」
なんで逮捕状を出されたあんたがこんな自由に動き回れるんだ?
「キミ、消されたいのかい?」
「……っていうのは冗談だよ〜!!!捜査に全力で協力しているのがちゃんと伝わって逮捕は取り消してもらえたのさ!!!」
「……まあ、けっこう色んな機能が制限されているわけだが!!!それでも全力を尽くすのがこのボクだ!!!とっとと解決して!!!真の自由を得ようではないか!!!」
「というわけで!!!行ってくる!!!」
あぁ、いってらっしゃい……。
朝から嵐が来たのかと思った。
やりたいこと……か。
あいつにはいっぱいあるんだろう。
……でも、自分には。
自分のしたいことなんて、正直あるのかないのかもわからない。
なんでだろうな。
そういえば。自分はちゃんと自分に向き合って来なかった。
自称マッドサイエンティストのあいつを見ているとすごくそんなことを思わされる。
やりたいこと。夢。自分。
何かと言い訳をして、そういうものに蓋をして目を向けなかった。
向けなくてもいいと思っていた。
どうせいくら欲しがったところで、なんにも手に入らない。
自分の求めるものどころか、当たり前のものすら手に入らない。
ずっとそう思っていたんだ。
人生なんて、いつかあっけなく終わるだけで。
でも、あんたと暮らす中で気付いた。
「なにが食べたい?」「やりたいことは?」
「一緒に行こうよ!」「助けたいんだ!」
明確な意思を持って、自分の求めるままに。
最初は面倒なやつだとため息ばかりついていたが、いつのまにか羨ましいと思う自分がいた。
やりたいこと。
……うん、すぐには出てこない。
でも、絵を描いてみたい、かな。
……前あいつに褒められたから。
部屋を探すと色鉛筆が出てきたので、これで描くことにしよう。
何を描こうか?
そうだな……試しにあいつを描いてみるかな。
ミントグリーンの綿飴みたいな髪。
虹色に光る瞳。
つきたての餅みたいなほっぺた。
……意外とうまく描けた。
まぁ、実物のほうが愛嬌はあるけど。
こういうのも、練習あるのみだよな。
あいつが帰ってくるまで、絵の練習でもするか。