NoName

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6/20/2024, 2:29:14 PM

「あなたがいたから」

―はじめまして―
右も左もわからなかった。
突然隣に現れたから。
朝も晩もずっと一緒。
なんで隣にいるのか、そんな状況が、ずっと不思議だった。
思ったよりも大変だった。
そりゃそうだ。生きてるんだもの。
泣いて笑って寝て怒って、全ての感情むき出しで、私を頼ってくる。
でも、意外と簡単だった。
優しく包みこんであげれば、安心していた。
手はかかったけど、ほんとにほんとにかわいかった。
全力で私のことを好いてくれた。
その小さな身体で―

今は私よりも大きくなって、もう包みこめないけど、
ずっと見守っていくの。
あなたのおかげで、私は母親になれたから。
人生最大のプレゼントをもらえたから。
ほんと、ありがとう。

6/20/2024, 8:51:07 AM

“相合傘”

憧れの先輩に告白。
晴れてお付き合いすることに!!!
これから梅雨の季節。
相合傘が待ち遠しい。

6/18/2024, 1:23:50 PM

“落下”

落ちる―――
目の前でマグカップが傾く。
ジャンプしてきたキジトラのマーロの後ろ足が当たった。
マーロも気づき、すまなそうに俺を見る。

―ダメなんだ、それは―

彼女がどこか旅行に行った時に買ってきてくれた。素焼きの一点物らしい。

―マグカップぐらいは大切にしてね―と、いい加減な俺にわざと嫌味混じりに言った。

これは大事にするんだと決めたんだ。
俺の身体は宙を舞った。
次の瞬間、凄まじい音とともに、積み上げた本やガラクタが崩れ落ちる…そして、俺も床に打ち付けられた。
マーロは慌てて隣の部屋へ逃げていったらしい。
俺は…仰向けになったまま、天井を見つめホッと胸をなでおろす。

こんな時に、野球部で培われた瞬発力が急に発動された。
―間に合った…―

6/17/2024, 2:54:19 PM

“未来”

―未来に希望を持って生きよう―
なんて綺麗事だ

希望を持つだけ馬鹿をみる
だって、現実は容赦無い

いくら頑張っても、いくら我慢しても、
だからいい結果になるとは限らないから
私はそっちの部類の人間だ

でも、そんな言葉を投げかける人は悪い結果になったことがない部類なのだろう
あるいは、考え方がポジティブすぎるのか…

その類いの人は気の持ちようだという
でも、違うんだよ
ちがうんだ
気持ちだけじゃどうにもならない事があるんだ
それを、わかってほしい

な!

6/16/2024, 8:30:40 PM

“1年前”

ちょうど1年前の今頃、私は一般的に言う宇宙人に会った。
多分誰も信じてはくれないだろうと思って、誰にも話してはいなかった。

彼は、私にかなり先の地球の話をしてくれた。
私たちが言う宇宙人とは、未来人の事らしい。人類が進化し彼らになったのだ。

時間も空間も、私たちのいる場所は、
あるときの流れの中の一つにすぎない。
終わってもまた繰り返されているというが、よく理解はできなかった。
彼はそこから来ている、いわゆる研究者の様だ。

よくわからないが、とにかく人類は滅亡はしないということだ。
地球は幾多の困難にさらされるが、どうにか人々は生き繋いでいく。
それだけで、何となく、この先の漠然とした不安は消えた。

彼は何も言わず消えた。
何をしに来ていたのか…私になぜそんな話をしていったのか…今どこにいるのか…。

それがちょうど1年前の話―。





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