水月凜絃(みなつきりお)

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9/27/2022, 6:43:44 PM

『通り雨』


中学生の頃、ある日の
友達と歩いた部活からの帰り道

曇天だった。


けれど、ふと空を見上げると、衝撃的だった。

まるで世界が真っ二つに分断されたかのように

太陽がキラキラ輝く空と、
今にも雨が降り出しそうで、
威圧し、脅してくるような灰色の空が、
見えない境界線を隔てて、同じ空に広がっていた。

友達と、
「なにこれ〜!」「なんて、ロマンチックなんだ〜」
と、大いに盛り上がっていた。


そのとき、太陽が眩しく輝く光の中で、
より一層、キラキラと輝く雫が降りてきた。

ほんの僅かな、傘を必要としないほどの
通り雨だった。


真っ二つに割れた世界の下で
輝く光に照らされて、
やさしい通り雨を浴びながら
テンション高く、友達と2人で歩いた。

私たちは、吹奏楽部で
ちょうど、その時に取り組んでいた
コンクールの自由曲が、
今まさに、自分たちが見ている天気と景色の
イメージにぴったり合うねと、
興奮しながら話していた。


あれから、20年程経った今でも、
似たような通り雨に出会うと
この時のことを、鮮明に思い出す。


青春時代の、私の心に映った、
ロマンチックで、劇的な通り雨は、
まるで記憶の引き出しのようなもので

引き出しを開けると、

吹奏楽や音楽に注いだ情熱や、
友達との他愛もない会話から伝わってくる
温かい心の交わり、
何か一つのことに直向きになるという感覚、
そして、音楽や自然に触れた時の感動など、
今では、ほとんどなかなか味わうことができない、
懐かしくて、切なくて、あたたかくて、
そっと励ましてくれるような、
そんな不思議な何かが、胸にあふれてきて

過去の自分から今の自分までを、全力で肯定して、
その先の未来の自分まで、大丈夫!って
背中を力強く押してくれている。


あの時の、劇的な通り雨に、負けないくらい
今の私に、劇的に力をくれている
わたしの、通り雨の思い出なのでした。


9/26/2022, 5:47:38 PM

『秋🍁』


澄んだ空気と高い空

心も和む 穏やかな季節

暑い夏と寒い冬を 繋いでくれる架け橋

冬に向けて 体を少しずつ 準備運動のように
馴染ませてくれているんだね 

まるで 私たちの体を慮ってくれているみたい

やさしい秋 



そして、秋の夕暮れの 
沈みゆく、燃え盛る太陽は

人生の幾多もの荒波を乗り越えて来た
晩年の輝きを彷彿とさせる


なんて、美しいのだろうと 
ため息が 漏れてくる

なんて、荘厳なのだろうと 
胸に何かが 込み上げてくる

そして、生きとし生けるものへの
尊敬と感謝の念が 溢れてくる


人生の総仕上げも
この季節の 夕暮れ時の 太陽のようでありたい


9/25/2022, 12:55:55 PM

『形の無いもの』


部屋を見渡してみる。

たくさんの 生活を 彩り 
便利に 豊かにしてくれる
形の有るものたちが
所狭しと並び あふれかえっている。


便利さを 豊かさを 追い求めれば
追い求めるほど 形の有るものたちは
無尽に増えていく


でも いつだって 心を芯から 満たしてくれるのは
形の無いものでした



9/24/2022, 5:28:51 AM

『ジャングルジム』


右に行こうか

いや 左に行こうか

それとも 上に行こうか

はたまた 下に行こうか


どこに行くのも あなた次第
どこにだって 行けるんだ


進んだ先から ほら、新たな選択肢が続いてく

あなたの 可能性が広がっていく



人生は ジャングルジム



9/23/2022, 4:33:40 AM

『声が聞こえる』


存在が消えてなくなってしまったかのように

聞こえなくなったかと思えば、

突然、大きな声で叫んだり、

はたまた、まるで、神のお告げのように

悟ったかのような 低く落ち着いた声



日々、瞬間瞬間 様変わりする

私の 心の声色



死んだ魚のような目をして

スマホを見つめながら

私の砂時計を 消費している時、

私の心の声は 沈黙している



知らない人の  

神様を否定するような不幸の知らせに 触れた時、

私の心は 鬱蒼とした 夜の森になる

姿の見えない野獣の遠吠えが響いている



国境を越えた 子どもたちの 涙を目にした時、

その涙は 慈雨となり、

乾いた砂漠の大地を 潤し、

正気の声を取り戻す



さまざまな縁に触れて

色や形を変えては、立ち現れる

心の声




あなたは、今

どんな声色が

聞こえていますか



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