「心」
掬ってほしい
このこぼれ落ちそうな気持ちを
包んでほしい
この溶け出してしまいそうな想いを
溢れ落ちる感情を
必死で掬いあげようとするけれど
それを止めることはできない
やがてその奔流は
飛沫となって悲鳴を上げ
涙の河となる
流れ着く先は
果てしなく広がる大海原
荒れ狂う感情は
穏やかな大海へ辿り着き
その愛に抱かれ
やがて混じり合い
心は静かに
凪いでいく
「星に願って」
星空を見上げる
あの遥か彼方遠く
宇宙で煌めく星のように
僕は蒼い星の片隅で
光を宿す小さな存在
あの遥か宇宙の彼方
静かに瞬く蒼い星
星空へと手を伸ばす影が
地平線へと滲んでいく
願いは全て
ゼロに集約される
握り締めた掌に
こぼれ落ちた願いの欠片が
微かな光を放ち
静かに時を待つ
やがて願いは
全て
星に帰る
「君の背中」
触れられない
触れることができない
ただそこにいるだけで
心が締め付けられる
抱きしめられない
抱きしめることができない
ただ思うだけで
心が切なくなる
僕はただ
時が止まった教室の隅から
君の背中を見つめることしか
出来ずにいる
君と僕の
果てなく続く距離の隙間で
報われぬ思いは
メビウスの輪の中を
ただ彷徨うだけ
「遠く…」
生きている
生き続ける意味を
死に向かう
死に抗う意味を
ぼんやりと考える
遠く思考の海から
波が止めどなく押し寄せる
考えても答えは見つからない
けれど押し寄せる波は
永遠に止まることはない
今日もまた
いつもと変わらぬ朝が訪れる
こんなはずじゃないと
心の水面に石を投げる
けれど押し寄せる波は
何事もなかったかのように
その石をさらっていく
ただ無気力に
遠く…
遠く…
「誰も知らない秘密」
密やかに交わす視線
微かに触れ合う指と指
誰も知らない
そっと揺れる
あなたと私の距離
声にすれば
あなたへの想いが
愛という狂想曲の旋律となって
静寂を引き裂く
やがてその前奏は
嵐の予感を孕み
砂の城となった愛は
そのまま荒波に流されて
脆く崩れ去る
奏でてはならない
誰も知らない
知られてはいけない
あなたと私だけの
秘密