「バイバイ」

誰もが平等に
与えられていること
遅かれ早かれ
必ず迎えること
避けることはできない
終わりのこと

次の世界で
また出会えるかなんて
誰にも分からないから

いま伝えられることを
静かに
心の中で呟く

この出会いに感謝と
愛を込めて
さようなら

バイバイ

「旅の途中」

幸せを探す旅に出て
どれくらいたっただろう
まだ幸せに辿り着かずにいる

地図のない道を歩きながら
今日もまた
幸せを探す旅を続けている

いつか
辿り着けるのだろうか
いったい
終わりはあるのだろうか

幸せは
すぐそこにあるのに
自分の足るを知らない
そんな旅人が迷い込んだ
足るを知らず歩き続ける
旅の途中

「まだ知らない君」

僕だけのものだと
そう思っていたのに
他の誰かの影に
脅かされる日が来るなんて
誰が想像しただろう

古ぼけた写真の中で
僕を見つめて微笑む君
机から落ちた
フォトフレームは
ガラスごと粉々に砕け散った

遠くで耳鳴りがする
静まり返った世界の中で
淡々と過ぎゆく時間は
僕だけを置き去りにする

僕の存在が君にとって
鏡の裏側に映る
幻のように

僕の心から
君の存在が
消え去ってしまったことを
君はまだ知らない

「日陰」

心焦がす太陽から
逃れるように
眩しすぎる日差しから
目を伏せるように

風に導かれた渡り鳥が
静かに羽根を休めるように
日陰は優しく
僕を包み込む

ここへ来たのは
逃げてきたわけじゃない
ただ
心休まる場所が
欲しかっただけ

そう言い聞かせるけれど
日陰の境界線から
僕はまだ
動けずにいる

「帽子かぶって」

帽子かぶって
出かけよう
あの丘まで
駆けていこう

透き通るような青空と
風に揺らめく草原へ
心弾ませ
走り出そう

お気に入りの
帽子かぶって