『砂時計の音』
(コソッ)⏳
新しく買った砂時計
猫の近くに置いてみた
(ピクッ)
どんなに慎重に置いても
猫の耳はごまかせない
置いた時の微かな音を聞き分けたのか
耳がぴくっと動いた
欠伸をひとつ大きくして
伸びをひとつグッとして
砂時計に気がついて
耳がクイクイ動いてる
この子には聞こえてるんだろうか
恐る恐る手を伸ばし
最弱猫パンチをかましては逃げ
またかましては逃げる
砂時計が転がり出すと
驚きつつも追いかけ始め
あっという間に猫のおもちゃ
あっという間に猫は飽きる
また砂時計を始めると
耳が微かに動いてる
やっぱり聞こえてるらしい
そして、気になるらしい
〜シロツメ ナナシ〜
『消えた星図』
〜星の図書館〜
(ガチャ)っとと、
いらっしゃいませ、すみません
危うくぶつかるところでした
ようこそ、星の図書館へ
―――ええ、
少し散歩に出ようと思いまして
確認したいこともありまして
どうぞ、「プラネタリウム」ルーム以外はどのように使ってもらって構いませんよ。……?一緒に来ますか?それは問題ありませんが……、あまり楽しいものではありませんよ?
―――いえ、わかりました
今のあなたからも、なにか
「何がわからないかわからない」と言う問いにぶつかってるんですね。では、そのヒントになるかわかりませんが、一緒に行きましょうか。行先は、以前1度一緒に歩いた、「宛名のない手紙」が流れ着く「名無しの海辺」です。
こちらの扉を出ればすぐですので
〜星の図書館―名無しの海辺〜
あなたにここは
綺麗に見えますか?
―――ええ、確かに
綺麗に見えますよね
今ここに見えるのは
以前お話した
「宛名のない手紙」です
最近、ほんの少しだけ
私にもチカラが着いたので
せめてこのように
海辺を夜空のように見えるように
世界を少しいじってみました
私の夢の世界ですからね
そして、この砂浜に光っているのは
その手紙たちです
試しにひとつ手を伸ばして
取ってみてください
大丈夫、
手紙に変化するだけですので
📨
そう、そのように
手を伸ばせば手紙に変わります
📨 :;…::;.:.: -` ̗ ̖ ´-
ぁ、
……消えちゃいましたか
それは…
そうですね……、
正直に言いましょう
それは、自分たちの知らない
まだ見ぬ誰かが……
この世を去った時に起こる現象です
今も、あそこです
見えますか?
蛍のようにゆっくりと
舞い上がってくのが
あれも、同じものです
……今日だけで、
ふたつも目にするとは
ここに見えてるのは
色んな人の星のカケラがあります
例えば 今回のような
宛名のない手紙、
誰に向けた訳でもない心の叫び声
それから、一人ひとりの
星図のひとつでもあったりするんです
それ以外にもありますが、
大抵はそれらなんですよ
―――そうですね
少しだけ語らせてくださいね
私がこの図書館を創りあげたのは
大きくふたつ
ひとつは、
私なりの小さな小さなお話を描きたかったんです。それも、読書が苦手な自分や同じ人に向けた、世界一小さな物語。本当は絵を描きたかったんですけど、壊滅的なので。オマケに書物を読むのも書くのもまっぴらゴメンな達なんですよ、実の所。
ですがそれでも、自分が好きな話や自分が理解できるお話、自分が喜ぶ話を、自分の読める範囲で、少しずつでも……そして沢山作りだしたかったんです。ただそれでも、やはり1からお話を書くことさえ苦手なものでして……。なので、この名無しの海辺を創り出しました。ここには、あらゆる「キオク」が流れてきますし、流れていきます。全てが浜にうち上がる訳ではなく、私自身も全てを手にはとれません。時間がいくらあっても足りませんし、私自身も好き嫌いや得意苦手が沢山ありますからね。
その中から少しずつ、手に取れるものを選び、さらにその中に入ってる「種」を選び出し、私がそれを育てあげて、文章や物語にしたためてるんですよ。
それをあなたが目にしてくださってて、
本当に感謝しているんですよ
―――もうひとつ、ですね
それは……
小さな小さな人助け
あなたはなにかの歌詞や物語で
「暗い部屋の隅っこで
蹲ってるあなたを見つけた」
みたいなニュアンスのワンフレーズを見聞きしたことがありますか?
私はその1人です
そして―――
自力で立ち上がったひとりです
私は、ほんの少しでも
そんな人たちを助けられたらと思って
図書館と一緒に
「プラネタリウム」ルームを
作り出したんです
…まだまだ、あの部屋も
図書館そのものも未完成ですけどね
私も弱い、
人の荒波にのまれ、
助けたくても自分が流される
それでもできることをほんの少しでも探した結果が、今のこの世界なんです。本当に微々たるもので、人を助けるためにはまず己が完全に助からないといけなくて、……それでもできることを探して、何かを書いて飛ばすことだけでした。それに、私の助けられる人というのも、あくまで心の火が少し弱ってる人達だけで、本当に蹲ってる人の元には届かないと言う……無力さを、そして自分の弱さを改めて思い知りました。
……ですので、
それは最終到達点、究極体の理想の自分という事で、一旦置いておき、このように今の今 届く範囲の人の心だけでもやってみようと思って続けてるんですよ。
―――なので
今の私にできるのは
あなたのような、私のような、
「何が分からないか分からない」人に
ほんの少しの、ロウソク程度の光ですが、ちょっと道を案内したり、心の整理を一緒にしたりしているんです。
私の分けた心の火を、その受け取ってくれた人たちに存分に活用して使って、そこからさらに誰かを照らしてあげて欲しいんです。
私の助けた人が誰かを助けたり、なにか素敵な大きな事を成してくれたのなら、それはきっと、最高に誇らしいことだと思うので。
おっと、私としたことが
あまりに「想い」を語りすぎました
すみません、最近少なからず利用者が増えてくれたおかげか、少々お喋りになってしまいましたかね。長々と聞いていただき、ありがとうございます。流石にこの辺りで切り上げないと、あなたが夢の中でさらに夢を見かねない。
……ここまで聞いてくださったということは
あなたももしかしたら……、
自力で立ち上がったひとり
なんでしょうね、きっと―――
さて、
まだ時間はあるみたいですので
どうかお好きに過ごしてくだされば幸いです。私はもう少しだけ…誰かが星図から落とした星のカケラとか、宛名のない手紙を少しだけでも拾ってから戻りますので、先に図書館に戻られてください。なるはやに戻りますので。
―――ええ
また次回から、いつもののんびりとしたお話を、私なりの言葉で小さなお話を綴って行きますので、のんびりゆっくり、お待ちくださいね―――
では、また後で
〜シロツメ ナナシ〜
「いよっしゃー!私の出番!!!」
まってまってまって!!
「止めるな!
もうでた以上このまま進む!」
進んでいいから待って!
まだタイトル書いてないの!!
「ならさっさと書け!」
理不尽!!!
『愛-恋=?』
〜シロツメクロツメ雑談会〜
「応えは「友」だ!」
結論早くない!?
「会話上手な人間はな?
結論から出すのがコツなのぜ」
のぜって…
んでも、なんで「友」?
「字面的な直感!あと雰囲気!」
ほんとに直感……
「けどあながち間違いじゃないっしょ?
愛の上部分が恋に見えなくもない
だから、した部分のよく似た「友」の字!」
恋心が無くなる?
「ノンノンノン
確かにそれはなくなるけど
そんな冷たい話じゃなくて、
私は友ほどいい関係は無いと思ってんのよ
だから、1番いい関係になるんだよ!」
ん〜なるほど?
「んで、甘えるんだよ」
話が飛んだねぇ
「飛んでないつもりだが?
まぁ甘えるってのは
相手の優しさやら愛が
慣れてしまうんだよ
こいつにアレコレいえば
当たり前に貰えるーって
貰えなかったら頭ごなしに叩けば
出てくるやん!ばしばし!って」
心当たりがある……
(特に叩かれる側)
「だしょ?
だから、忘れちゃダメなんだよ
わがままや甘えられる相手がある幸せ
それから
恩は受けたら恩で返す!
人はそれが出来て
初めて永く仲が持つんだヨ
男女の前に、
そもそもそれが「人」なんだから!」
はーい
「まぁあれだ
私にこれ言わせるってことは?」
偉そうなこと言うつもりもないし
もっと大変なことな人多いから
言うなら
まぁ 戒めみたいなことでっす
「正拳突き!」
ぐはっ!!なんで!?
〜シロツメ ナナシ〜 (オチ迷子)
『梨』
いただきまーす!!
学校から帰り
すぐに目に入ったのは
カットされたそれは
「あ!リンゴだ!!」
リンゴ大好きな私は
そう思い速攻で手を洗いうがいして
学校道具の片付けもそこそこに
走ってテーブルお皿に手を伸ばし
ガブッ!!!
シャクッ
「――――――!?」
なんか違う!!
リンゴ前提で口にしたそれは
『梨』という存在を
初めて知った瞬間だった
なぜ!?なぜ!?なぜ!?
カットされたそれは
見た感じはまるでおなじ
なのに、食感といい香りといい
なんか……なんか違う!!
あの時の私は
特にリンゴという思い込みの元
盛大にひとくち食べたのもあり、
人生初めての「こんらん」と言うのを
味わったんじゃなかろうか
よく似た見た目なのに
こんなに味が違う食べもの
特にそう言う果物が
存在するんだということに対する
衝撃を受けた
まぁ一応…
いやではなかったので
とりあえず食べ進めるが
子どもながらにハテナマークを
頭にいっぱい飛ばしながら
黙々と食べていた
これが
私の梨の
初めての出会い🍐
〜シロツメ ナナシ〜
『LaLaLa GoodBye』
〜♪
―――ぁ
鼻歌を歌ってた
気が付かなかった
こんなこと、何年ぶりだろ?
気分……いや、機嫌がいいなんて
子どもの頃以来だろうか…?
次に会うのが楽しみな日が
また訪れてくれるなんて
「またね」……なんて、
久方ぶりに言った気がする
〜♪
〜シロツメ ナナシ〜