シロツメ ナナシ

Open App

『消えた星図』
    〜星の図書館〜


(ガチャ)っとと、
いらっしゃいませ、すみません
危うくぶつかるところでした

ようこそ、星の図書館へ

―――ええ、
少し散歩に出ようと思いまして
確認したいこともありまして

どうぞ、「プラネタリウム」ルーム以外はどのように使ってもらって構いませんよ。……?一緒に来ますか?それは問題ありませんが……、あまり楽しいものではありませんよ?

―――いえ、わかりました
今のあなたからも、なにか
「何がわからないかわからない」と言う問いにぶつかってるんですね。では、そのヒントになるかわかりませんが、一緒に行きましょうか。行先は、以前1度一緒に歩いた、「宛名のない手紙」が流れ着く「名無しの海辺」です。
こちらの扉を出ればすぐですので


〜星の図書館―名無しの海辺〜


あなたにここは
綺麗に見えますか?

―――ええ、確かに
綺麗に見えますよね
今ここに見えるのは
以前お話した
「宛名のない手紙」です
最近、ほんの少しだけ
私にもチカラが着いたので
せめてこのように
海辺を夜空のように見えるように
世界を少しいじってみました
私の夢の世界ですからね
そして、この砂浜に光っているのは
その手紙たちです
試しにひとつ手を伸ばして
取ってみてください
大丈夫、
手紙に変化するだけですので

📨

そう、そのように
手を伸ばせば手紙に変わります

📨 :;…::;.:.: -` ̗ ̖ ´-

ぁ、
……消えちゃいましたか

それは…
そうですね……、
正直に言いましょう

それは、自分たちの知らない
まだ見ぬ誰かが……
この世を去った時に起こる現象です


今も、あそこです
見えますか?
蛍のようにゆっくりと
舞い上がってくのが
あれも、同じものです

……今日だけで、
ふたつも目にするとは

ここに見えてるのは
色んな人の星のカケラがあります
例えば 今回のような
宛名のない手紙、
誰に向けた訳でもない心の叫び声
それから、一人ひとりの
星図のひとつでもあったりするんです
それ以外にもありますが、
大抵はそれらなんですよ


―――そうですね
少しだけ語らせてくださいね

私がこの図書館を創りあげたのは
大きくふたつ
ひとつは、
私なりの小さな小さなお話を描きたかったんです。それも、読書が苦手な自分や同じ人に向けた、世界一小さな物語。本当は絵を描きたかったんですけど、壊滅的なので。オマケに書物を読むのも書くのもまっぴらゴメンな達なんですよ、実の所。
ですがそれでも、自分が好きな話や自分が理解できるお話、自分が喜ぶ話を、自分の読める範囲で、少しずつでも……そして沢山作りだしたかったんです。ただそれでも、やはり1からお話を書くことさえ苦手なものでして……。なので、この名無しの海辺を創り出しました。ここには、あらゆる「キオク」が流れてきますし、流れていきます。全てが浜にうち上がる訳ではなく、私自身も全てを手にはとれません。時間がいくらあっても足りませんし、私自身も好き嫌いや得意苦手が沢山ありますからね。
その中から少しずつ、手に取れるものを選び、さらにその中に入ってる「種」を選び出し、私がそれを育てあげて、文章や物語にしたためてるんですよ。

それをあなたが目にしてくださってて、
本当に感謝しているんですよ


―――もうひとつ、ですね
それは……
小さな小さな人助け

あなたはなにかの歌詞や物語で
「暗い部屋の隅っこで
 蹲ってるあなたを見つけた」
みたいなニュアンスのワンフレーズを見聞きしたことがありますか?
私はその1人です
そして―――
自力で立ち上がったひとりです

私は、ほんの少しでも
そんな人たちを助けられたらと思って
図書館と一緒に
「プラネタリウム」ルームを
作り出したんです
…まだまだ、あの部屋も
図書館そのものも未完成ですけどね
私も弱い、
人の荒波にのまれ、
助けたくても自分が流される
それでもできることをほんの少しでも探した結果が、今のこの世界なんです。本当に微々たるもので、人を助けるためにはまず己が完全に助からないといけなくて、……それでもできることを探して、何かを書いて飛ばすことだけでした。それに、私の助けられる人というのも、あくまで心の火が少し弱ってる人達だけで、本当に蹲ってる人の元には届かないと言う……無力さを、そして自分の弱さを改めて思い知りました。

……ですので、
それは最終到達点、究極体の理想の自分という事で、一旦置いておき、このように今の今 届く範囲の人の心だけでもやってみようと思って続けてるんですよ。


―――なので
今の私にできるのは
あなたのような、私のような、
「何が分からないか分からない」人に
ほんの少しの、ロウソク程度の光ですが、ちょっと道を案内したり、心の整理を一緒にしたりしているんです。
私の分けた心の火を、その受け取ってくれた人たちに存分に活用して使って、そこからさらに誰かを照らしてあげて欲しいんです。
私の助けた人が誰かを助けたり、なにか素敵な大きな事を成してくれたのなら、それはきっと、最高に誇らしいことだと思うので。

おっと、私としたことが
あまりに「想い」を語りすぎました
すみません、最近少なからず利用者が増えてくれたおかげか、少々お喋りになってしまいましたかね。長々と聞いていただき、ありがとうございます。流石にこの辺りで切り上げないと、あなたが夢の中でさらに夢を見かねない。

……ここまで聞いてくださったということは
あなたももしかしたら……、
自力で立ち上がったひとり
なんでしょうね、きっと―――


さて、
まだ時間はあるみたいですので
どうかお好きに過ごしてくだされば幸いです。私はもう少しだけ…誰かが星図から落とした星のカケラとか、宛名のない手紙を少しだけでも拾ってから戻りますので、先に図書館に戻られてください。なるはやに戻りますので。


―――ええ
また次回から、いつもののんびりとしたお話を、私なりの言葉で小さなお話を綴って行きますので、のんびりゆっくり、お待ちくださいね―――

では、また後で


〜シロツメ ナナシ〜

10/16/2025, 1:59:11 PM