『静かなる森へ』
あなたの森はどんな森?
森林で緑の生い茂った場所
全てが枯れ果てた寂しい場所
真っ暗で先が見えない深いところ
まるで手入れが行き届いた庭園
野生動物が住む自然豊かな環境
どんな森でどんな環境でも
あなたの森はあなたの環境
時にゆるりと、時に暗く
時に寂しく、時に強く
あなたの森は静かに変わる
あなたの森はあなたのために
あなたの森は成長する
あなたの森は
いま、どんな森?
〜シロツメ ナナシ〜
『夢を描け』
そんなのやめときなさい
そう言って、私の目の前で
私の描いた夢の絵を
破り捨てられた
……親の手によって
今ならわかる
例え世間がわかってない子どもでも
やっていい事とよくない事が
あるのではなかろうかと
ましてや自由に自分を
人生を思い描くだけの時間でさえ
間違いがないにもかかわらず
真っ向から、
そしてそれも否定から入ったのだ
…今も、あの日の衝撃を
時々思い出しては怖くなる
私の好きは…、否定されるの?と…。
自分の好きを
自分で肯定できなくなって
それなりの月日が流れると
その「しこり」は 禍根となって
徐々に現れてきた
私の否定されてきた「好き」を
世間の人達は堂々と行ってるのだ
…私のされた否定はなんだったの?
…私の今日までの我慢はなんだったの?
その気持ちを抑えることで精一杯で
今日までの我慢が馬鹿らしく思えて
私はだんだん…
自分の全てが分からなくなっていく…
【―――では
もう一度、描いてみますか?】
……ハッとした
どこ!?ここ!?
―おっと、すみません
驚かせてしまいましたか?
……だ、だれ!?
―ぁ~大丈夫ですよ
ここは夢の世界【星の図書館】です
いつでもお帰しすることは出来ますし
わりといつでも来ることもできます
私は、ここの管理人です
は、はぁ……
―さて、ほんの少しだけ
心の声を聞かせてもらってました
もし良かったら…
描いてみませんか?
……はい?
―色鉛筆などはありませんが
自由に描ける星空がありますよ
…え?星空?描ける?
……夢ってホントに
なんでもありなんだね…
―はい、なんでもありです
ですので、描いてみませんか?
…でも…それは……
―私に否定されるかも、と?
………―――!
―そうですね…
肯定する理由か、
はたまた
否定しない理由か
どちらになるかは分かりませんが
こちらの本を
ちょっと覗いて見ませんか?
…?なにこれ?
アルバム?いや…スケッチブック?
―どちらでもあります
さらに言えばそうですね…
「星の自由ノート」とでも言いましょう
そちら、自由に見て見てください
名前などは上手くふせてありますし
その相手様たちからも了承は得てます
…はい。(ペラッ)
…え?なにこれ??
―それはどなたが書いたと思いますか?
そちらはつい先日40代ぐらいの人が
自由気ままに描きたい!
との事でしたので、
とにかく自由に描いたものです
…なにかわかりますか?
…これは……?
ん〜…か、かがみもち?
―わかりますか?
それ、「帽子をかぶった白猫」
だそうですよ?
…なっ…!?
―ちなみにその人の夢は
世界一の画伯だそうです
…ちょ!?こ、これは…!
―っふふ。
ね?面白いでしょ?
ちなみに今は
鉛筆1本でちゃんと猫だと
わかる程度の絵をお描きになって
少しは人気が出始めてるそうですよ?
…え?
―(パチンッ)
このタブレットをどうぞ
そのページに進んでますので
…ぁ、可愛い
え?あの…これ…
同じ人…ですか…?
―ええ、同じ人ですよ
まぁそこに至るまでに
その人なりの努力が
沢山あったようですけどね
…………。
―それもひとつひとつは
はたから見たらほんとに些細な
小さな小石でつまづいてるような
それぐらいその人には
絵を描く才能と言うのが
少なかったみたいですね
そのせいで、沢山の
心無い言葉もその方には届いてたようで
……………っ
―ですが、長い時間をかけて
ようやくその域まで達しました
形や人数はどうあれ
その人もその人を知る人の声も
とても楽しそうでしょ
…どうして、続けることが
出来たんでしょうか…?
―それはその人に聞かないと
正確には私にも分かりませんが…
ただそうですね…
私にも言えることがあるとするなら
ただ「楽しそう」でしたよ?
…楽しそう……?
―ええ、楽しそうでした
これはあくまで所感ですが
「楽しむは 才能のひとつ」
だと思ってます
………………
―あなたは、その大切なものを
誰かによって捨てられてしまった
…のでは無いですか?
………………っ
―そこで、私の出番かな?と
少々居眠りしているあなたに
こうやってしゃしゃり出てみました
気を悪くしたらすみませんね
……………いえ
……あの、わたし……
―……どうぞ
お好きに喋ってくださいな
…私の「楽しい」は…
私の「夢」は…、元に…戻りますか?
―そうですね…
あなたの場合、
元に戻ると言うよりは
これから新たに「育て始める」
と言った感じかもしれません
…育て…始める……?
―ええ。
実は本来「夢」や「楽しい」など
好奇心などにまつわるものは
確かに幼少から基本は備わってます
しかし、
あなたのように誰かによって
捨てられてしまったり
あるいは上手く育たなかったり
そういったことはたまにあるのです
…悲しいことですけど
………そう…ですか…
―もっとも、
他にもそういう人がいるからと言って
あなたが納得できるかどうかは
間違いなく別問題でしょうから
まずは、あなたのその心を
少しでも良く育つ環境に
してあげることが肝心かとり。
………でき……ますか?
あなたには…
―私は…そうですね、
あくまで、あなたを
可能な範囲で
支えてあげる程度です
ですが、あなたが望めば
その手伝いは いつでもしますよ
やってみますか?
………はい、お願いします
―いい返事です
とても…とっても、
勇気をもってらっしゃる
では、部屋を変えましょう
「プラネタリウム」という部屋へ
ご案内しましょう
〜シロツメ ナナシ〜
『届かない……』
届かない思いを
したことがあるだろうか
それは物理的にも
それは精神的にも
ご多分にもれず
私も往々にしてあるわけで
背が低いから
ものは届きづらい
特に冷蔵庫の上の奥とか!
背伸びして片付けるはいいとして
出すためには椅子がいる
…親は高いのに
じいちゃんばあちゃんの覚醒遺伝?
いい迷惑だ…
何より
精神的な届かぬ思い
これは、
好きな人への気持ちもそうだし
夢に対する距離もそう
こんなに追いかけても届かない
自分の気持ちがどんなに本気でも
相手に届くかどうかなんて
それは相手だけにわかること
私は心底、痛感した
どんなに仕方ないと思っても
どれだけ相手の理想になっても
それで相手が気に入るかどうかは
また別の話なんだなぁって
私はそこから
よく立ち上がったよ
自分で自分を褒めたげたい
どんなに失意のどん底に
どれだけ落ちていこうとも
私の人生終わらない
今も続きを綴ってる
どれだけ理想と遠くとも
理想と現実 その狭間の
中間地点を探しつつ
そこよりたったひとつだけ
より良い私に なりたくて
あなたも山を超えてきた?
あなたの山を越えてきた?
なんかそんな気がしたの
よく似た匂いを感じたから
たくさん超えた涙の匂い
〜シロツメ ナナシ〜
『木漏れ日』
―――夢を見ていた
この世では無いどこかの話
俺じゃないけど
全く同じ存在の話だろう
「あの、大丈夫……ですか?」
誰かに話しかけられた
というか、
夢の中でも俺は寝ていた
気持ちよくてつい…
ー
ん?大丈夫だよ
ちょっと昼寝してただけだから
ー
町からわりとすぐ側の草原
人気も少なく日当たりもいい
町の子供たちも
ここに遊びに来るほど
この当たりは治安がいい
俺が今寝てる場所も
木漏れ日がある木の下で
とても心地よく寝ていただけ
…そんなに苦しそうに
おれは 寝てたのだろうか?
何故か夢とわかってても
割と冷静に
その出来事を受け止めていた
この夢の世界は
まるで現実世界と
すごくリンクしてるようだ
知ってる人を見つけることが多く、
もちろん知らない人もいる
まるで性格が違う人もいれば
ほんとによく似た人もいた
現実で既にあった人が
夢にも現れることもあれば
夢で先にあってから
現実で遠くないうちに会うこともある
…なんかどこかで聞いたことあるような
割とよくある展開だが
それが俺にもあるだなんて、
ちょっとこそばゆい
そんな夢を稀に見る
今 声をかけてきたその人
今までに見た事のない人
それから…
随分と俺好みの
声や雰囲気をしていた
まさに夢に出てくるような
そんな人
……おれは…この人と、
いつかどこかで会うのだろうか?
そんなことを考えていると
この非現実な、
だけどうっすらと
未来予知を含むこの夢の世界から
ゆっくりと、
意識が覚醒していく―――
現実の俺が寝ているこの場所も
整備が行き届いていて
とても綺麗な公園
仕事に疲れて
心身を癒すときには
この公園の芝生にきて
タオル1枚だけ敷いて 昼寝に来る
今日は日本晴れ
木漏れ日によって、
起こされたらしい
……はぁ
っといけない、
ついついためきいが出てしまった
……ま、
あれはさすがに居ない
まだ時間もあるっぽいし、
もう少しだけ横になり
明日からの英気を養おう……
「あの、大丈夫……ですか?」
〜シロツメ ナナシ〜
『ラブソング』
想いを伝えて
みたいけど
私はとっても口下手で
だからみんなを頼ってる
そもそも今どき プレゼントに
歌を贈るのどうなんだろ…
そう思いもしたけれど
私がいちばん伝えれる
数少ない、方法だから
伝えないよりずっといい
伝わらないよりきったいい
何もしないよりゼロじゃないから
言葉を綴り、想いを綴り
それらを音に乗せていく
音に乗った私の想い
楽しい気持ちで伝わって!
誰より何よりこの思い
どうかお願い、伝わって―――
〜シロツメ ナナシ〜