『木漏れ日』
―――夢を見ていた
この世では無いどこかの話
俺じゃないけど
全く同じ存在の話だろう
「あの、大丈夫……ですか?」
誰かに話しかけられた
というか、
夢の中でも俺は寝ていた
気持ちよくてつい…
ー
ん?大丈夫だよ
ちょっと昼寝してただけだから
ー
町からわりとすぐ側の草原
人気も少なく日当たりもいい
町の子供たちも
ここに遊びに来るほど
この当たりは治安がいい
俺が今寝てる場所も
木漏れ日がある木の下で
とても心地よく寝ていただけ
…そんなに苦しそうに
おれは 寝てたのだろうか?
何故か夢とわかってても
割と冷静に
その出来事を受け止めていた
この夢の世界は
まるで現実世界と
すごくリンクしてるようだ
知ってる人を見つけることが多く、
もちろん知らない人もいる
まるで性格が違う人もいれば
ほんとによく似た人もいた
現実で既にあった人が
夢にも現れることもあれば
夢で先にあってから
現実で遠くないうちに会うこともある
…なんかどこかで聞いたことあるような
割とよくある展開だが
それが俺にもあるだなんて、
ちょっとこそばゆい
そんな夢を稀に見る
今 声をかけてきたその人
今までに見た事のない人
それから…
随分と俺好みの
声や雰囲気をしていた
まさに夢に出てくるような
そんな人
……おれは…この人と、
いつかどこかで会うのだろうか?
そんなことを考えていると
この非現実な、
だけどうっすらと
未来予知を含むこの夢の世界から
ゆっくりと、
意識が覚醒していく―――
現実の俺が寝ているこの場所も
整備が行き届いていて
とても綺麗な公園
仕事に疲れて
心身を癒すときには
この公園の芝生にきて
タオル1枚だけ敷いて 昼寝に来る
今日は日本晴れ
木漏れ日によって、
起こされたらしい
……はぁ
っといけない、
ついついためきいが出てしまった
……ま、
あれはさすがに居ない
まだ時間もあるっぽいし、
もう少しだけ横になり
明日からの英気を養おう……
「あの、大丈夫……ですか?」
〜シロツメ ナナシ〜
『ラブソング』
想いを伝えて
みたいけど
私はとっても口下手で
だからみんなを頼ってる
そもそも今どき プレゼントに
歌を贈るのどうなんだろ…
そう思いもしたけれど
私がいちばん伝えれる
数少ない、方法だから
伝えないよりずっといい
伝わらないよりきったいい
何もしないよりゼロじゃないから
言葉を綴り、想いを綴り
それらを音に乗せていく
音に乗った私の想い
楽しい気持ちで伝わって!
誰より何よりこの思い
どうかお願い、伝わって―――
〜シロツメ ナナシ〜
『手紙を開くと』
それは山積みになった
私の中の手紙たち
1枚の手紙には
未来からの自分の手紙
あの時あれをしておけば……
どうしてやってしまったのか…
なぜ一歩踏み出せ無かったのか……
あらゆる「後悔の気持ち」が
沢山詰まってた
けど、それがいつのどの時なのか
そこまでは分からなかった
ただ分かるのは
少しでも後悔して欲しくない
……そんな未来の自分からの
小さな贈り物だった
1枚の手紙には
過去の自分からだった
具体的には書かれてない
ただその1枚1枚が
ビリビリに破れてたり
ヒドイ色をしていたりと
中身は忘れたけど
重い思いが詰まってた
いつかわからぬ過去の自分の
ちょっと要らないタイムカプセル
けどこれこそ、
私が後回しにしてしまう
「私の本音」が、沢山詰まってた
1枚の手紙には…
これは、ちょっと綺麗
中には……
特に何も無かった
……そっか、良かったね
「何気ない幸せ」を
いっぱい考えてたんだね
中身がないんじゃなくて
何気ない幸せに
私(あなた)が気づいた時
だったんだね。
……良かった、本当に良かった
よし、
まだまだ沢山ある
私が向き合い損ねた
色んな手紙
さて、次の手紙は―――
〜シロツメ ナナシ〜
『すれ違う瞳』
それはホントに
ただの偶然だったはず―――
彼とはたまたま
廊下ですれ違った
その時 眼と眼が一瞬
見つめあった
それだけ
たったそれだけだった―――
現代国語の成績が
5段階評価の 一応4の私
これ以上の説明
私にはできない
なぜならそれ以上のことが
本当に何も無かったのだから
そのたった一瞬の出来事だけで
次に会った時に私たちは、
さも当たり前のように
ご飯を食べに行った
と言ってもファストフードだったけど
改めてその人の印象は
特別な取り柄は特に無さそうだなぁ
だった
そして 想像通りだった
……いや、それは言い過ぎか
言うなら 器用貧乏ってやつだ
気の許せる友達
ほんとにそんな感じ
特に興味は無いけど
良い奴なのは間違いなかった
分かってきたのは
こいつに裏表がすごく少ない
そんな感じだったから
長く続いたのかもしれない
私が他の人と会おうが
付き合おうが、結婚しようが
こいつは特に変わらなかった
けど反対に私は
彼に彼女でもいようものなら
めっちゃ品定めしてやったし
なんならあれこれ悪態ついて
切り離してやったりもした
……私…
…もしかして、やなやつ?
いやいや!だってあいつ
全然見る目ないもん!
実際に付き合ってたヤツなんて
ほとんどあいつの事を
都合よく見てるやつばっかりだったし!?
……ね?ね??
…って、今更ながら
余計なお世話か…
ん〜…
友達と思ってるんだけど
私……、
本当はどうしたいんだろ…?
どうなって欲しいんだろ?
言うても別に……
ホントに気は無いし、
なんなら
これ以上ない!ってぐらいの
もっと素敵な彼氏いるし!
まぁ……遅れて来た腐れ縁
みたいなものかな?
……たぶんね
なるようになっていくでしょ
〜シロツメ ナナシ〜
『青い青い』
目が覚めた
寝覚めが悪い朝だった
いやな夢を見た
それは過去の記憶
稀に見る思い出したくない光景
それはリアルにあったことだったり
それは作品のワンシーンだったり
それが現実か幻想かは問題じゃない
「私が辛い」という事実はどちらも同じ
心の傷が、酷く疼く日だった
そんな日は、空がよく見える
……いやまぁ
いつも見える空だけど
青がいつもより
なんだかとても目に止まる
そういう意味で、空がよく見える
青い……青い……、
とっても青い、綺麗な空
夢を口と肺いっぱいにためて
あの空に吐き出す
「――――――!!!!!」
……ほんの少し、「晴れた」気がする
〜シロツメ ナナシ〜