『風景』
歳を重ねるごとに
変わる風景
…と言うと少し大袈裟?
でもそう言いたくなるぐらいには
ゆっくり ゆっくりと
変わっていってる事に―――
視線が、その高さが違うから
例えば家の玄関を出た時
そこから見える遠くの山の
その見え方が違う
小さい頃は
柵の隙間から除くような感じに見る山
少し成長すると
柵を超えて次は草木の隙間から見る山
また大きくなると
草木も超えて自然体で見る山
その少しずつ超える中
季節によっても変わるから
自分の心によって見え方も変わるから
気がつけば毎日見てた
毎日見てても飽きなかった
…こんな事に気づいた俺は
ちょっとは…ちゃんと心も
成長してんのかな?
それとも心も老け出した…?
…いかんいかんと 顔をあげ
毎日違う見慣れた風景
見慣れたけど見飽きない景色
そう感じながら
今日も自分の一日が始まる
〜シロツメ ナナシ〜
『君と僕』
このこえが届くかな?
この手紙が届くかな?
せっかくの情報社会なんだから
この声も誰かに届くといいな
だけど僕の声や手紙は
僕の活動や人気だけだと
世界中には届かないから
僕のこえが届いた君に
僕の手紙が届いた君に
どうしてもお願いするしかなくてね
…これ、呪いの手紙とかと
間違えられないかな???
急に心配になってきたけど…
…まぁ、なんとかなるかな!…たぶん
ぁ、それでね?
何が伝えたいかって言うと、
【君はよく頑張ってるよ】
って事を言いたくてさ
僕も僕なりの大変な道を
歩いてきたつもり
だけど
世間を知れば知るほど
今を歩けば歩くほど
僕の歩いてきた道は
そんなに大変じゃないなぁって
どうしても感じてしまうこと
すごくすごくあったんだ
今も結構そう思ってる
きっと君の道を僕が歩いたら
きっとここにまでやって来ることは
出来なかったんじゃないかな?って
すごく思うの
自分をいっぱい責めた
出来なくて、情けなくて、
自分め!このやろう!って
…どれぐらい自分を怒ったか
もう分からないぐらい怒った
もしも
君にも…そんな経験があったら
ちょっと僕は救われる
だけど、
それこそが良くなかった
僕の最大の味方は
僕であるしか無かった
僕の最大の推しは
僕である必要があった
弱さや情けなさも含めて
僕であることを受け入れる
善し悪しは一旦置いといて
僕を包み込む必要があった
だからきっと
僕以上の道を歩いてきた君は
とっても大変だったんだろうなぁって
君のすごさを、僕は褒めたい
…僕なんかに褒められても
嬉しくないかもしれないけど
それでも僕は君を褒めたい
すごく、すごく、
すごいね、キミは――――
僕?…ん〜どうだろ?
僕は多分、
僕自身に問題があるのかもね?
ここまで結構、
道そのものは平坦だったんだ
その平坦で真っ直ぐな道なのにさ?
蛇行したり、後ろ向いたり、
何も無いようなところでつまづいたり、
そんなふうになりながらじゃないと、
僕はここまでの道を
進むことさえ大変だった
そんな僕だけどさ?
それでも、僕は僕なりの
「大変だった」を乗り越えたんだって
自分に…少しぐらいなら…
言っても良い……のかな…?
なんて―――思ってね
…だから、
君はすごいよ?頑張ってるよ!
っていうのを君に届けたい
それから、
もし気が向いたらでいいから
君の手の届く範囲の一人でいいから
この手紙を届けてくれたらなぁって
言葉でもいいし
この手紙を見せてもいいからさ
僕の、ささやかな夢かな?
じゃ、僕は行くね?
君に届いて嬉しかった!
がんばってね! またね!!
あ、よかったら
その手紙の事よろしくね!
〜シロツメ ナナシ〜
『夢へ!』
いざ!
夢の中へ!!
今日は寝るって決めたんだ!
もう寝る!
寝まくって楽しい夢も見まくる!
おやすみ〜
…………
………………
…………………………ん?
……………………………………眠れん…
なぜ?何故??どうして…???
疲れすぎ?
それとも
生活リズム不規則すぎ!?
まさか…
せっかく寝たいのに
眠れない…だと……?
…ハッ!
思い出した…
なんか最近、つい…
コーヒー飲むようになったんだ…
まさか、その影響……?
やっちまった…!?
そんな!俺の…
惰眠を貪るという
至高の時間がーー!!!???
〜シロツメ ナナシ〜
『元気かな』
あのことお別れしてから
もう十年ぐらいたった
あっちの世界で幸せかな?
それとも
違う何かに転生して
こっちの世界で幸せかな?
具体的な生き物に
生まれ変わってないと
正直分かりづらいよね
もしかしたら
植物かもしれないし
虫かもしれないし
なにかの生き物でも
全然会えないような場所かもしれない
ただ私が願うはひとつ
どんな姿やかたちでも良いから
あなたが幸せであることを
とっても願ってます
〜シロツメ ナナシ〜
『遠い約束』
―猫は九つの魂を持つ―
「私がバイバイする日まで
ずーっと一緒にいてね!」
そういわれたから
なんとなくだけど…
そうしようかな?って思っちゃった
私の寿命と
ニンゲンの寿命は
多分全然違う
一緒に遊んで
一緒に寝て
一緒に追いかけっこして
一緒にかくれんぼして
一緒にご飯食べて
一緒にお風呂…
は、きらいだから見てるだけ
そんな嬉しい毎日を過ごしてた
だけど私の方が
だんだんきつくなってきた…
私はもうきついのに…
ニンゲンはまだまだ元気だった
どうしよう…
このままだと、
…約束が守れない
そうだ、私には
まだ魂がある
私は、1度ここを去ることにした
「待って!どこ行くの!?」
ニンゲンが大声で探しに来る
だけど私は振り返らない
そして―――
どうやって死んだか忘れたけど
苦しかったのは覚えてる
私は……?
…良かった、覚えてる
確か…こんな形……
あった、ここだ
お家の形もそうだけど
懐かしい匂いがする
遠かったけど、この家だ
私はしばらく窓をウロウロ
「…あれ?ネコ?」
気づいてくれた
今の私は、
見た目も大きさも違っても
ニンゲンは受け入れてくれた
これで一緒にバイバイ出来る
――――――…と
思ってたのに、
ニンゲンはまだ元気なんだけど…!?
つぎこそは…!
と思ってたけど、出口までが頑丈
…仕方ない…、
せめて、ニンゲンの目が
一切止まらないところを探して……
…………………
………
けど、それでもまだ
ニンゲンは元気だったから
そんなことを、
私は、何回したっけ?
もう一度、出会い―――
もう一度、出会い――――――
あれ?ニンゲン…?
…元気ない………?
いよいよこのニンゲンと、
バイバイしなきゃいけない日が
来たみたいだった
やっと……
やっと、約束を守れる
私は喜んで、
ずーっとそばにいた
ずーっとくっついていたかったから
やっと約束を守れるよ………
バイバイする日も一緒にいるって
ちょっと…
いや…
すごく疲れたかも…
………あれ?
でもどうしよう…
わたし…
たましいが……あと…二個…余って……
これ…約束…を……
守れてるのかな…?
そうだ………
…じゃぁ……
……………1コ…は…
「「ニャー」」
〜シロツメ ナナシ〜