『bye bye…』
ゴロン!
あー…くそ……ムカつくぜ…
そこは、あの日のままだった
この道をぶっ壊したのは俺だ
この道を塞いで
あいつを閉じ込めたのも俺だ
あいつがきらいで…
あんなヤツとは、死んでも
二度と会いたくなかったから
…なのに俺は今……
何をしている…?
ゴロン!
バキーン!!
……おれは
…この道に自ら戻って来ていた
「……ぁっ…おかえりっ」
そいつはあの日のままそこに
……いや、立ち上がっていた
ズタボロのまま…
へろへろのまま……
くっ…!!
俺は一気にムカついて
殴りかかった
「―――――――」
……そいつはビビりこそしたが
そこから動かず
踏ん張っていた
……お前の…
お前のせいだからな!!!
「………うん」
…お前が!!
こんなになりながらも!!!
またね なんていうから!!!
おれは…!おれは!!!!
「………………うん、
またねって……いった」
ふざけんな!!!
お前なんか…!!
だいっきらいだって!
言ってんだろ!!??
バキーンッ!!!
「…………うん」
責任取れよ!!??
っていうか取れんのか!!??
「…………わからない」
はぁ!!??
「でも…………チカラには……
なれると……いまもおもってる」
はっ!!
そんなボロカスみたいなおまえに!?
なにができるってんだ!!!!
「……………………ひとつ」
はっ!!??
「…………君を信じて、まってた」
―――――――!!
「……………………おかえり」
―――――――くそが!!
あーもういいよ!!
負けだよ!!俺の負けだ!!
「……………………そう
でも、ひとつだけ…訂正」
あ!?
「君は……まだ、
…………負けてないよ」
…………!!
「…………………一緒に…?」
……………………………………
(スッ…)
「―――――――!」
俺は……そいつに、
黙って手を伸ばした―――
「……うんっ」
二度と握りたくないと思ってた
こいつの手なんか……
それを今……
もう一度――――――
「……ごめんね?」
……はっ。ばかやろう……
…………俺のセリフだ。
「……にへへ」
それやめれ
「んっ」
そのあとのことは
あんまり覚えてない
ただ、ひとつだけ……
俺は今
ひとりじゃなかった―――
〜シロツメ ナナシ〜
『君と見た景色』
〜黄昏時〜
道に迷ったら、
いつもここに来ていた―――
「ぁ、今日も来た?」
――――――
「ん〜、今日は聞こえない日か
それとも、喋りたくないかな?」
………………
「うん、
どっちでも大丈夫
それにしても、
相変わらず綺麗だね
夕日ってさ?」
静かに夕日を眺める
「まだ迷ってる?
同じこと?違うこと?
……自分もなんだよね」
…………―――――
「そりゃぁ悩むよ〜
それも種類も量も
そして質も上がってくると来たもんだ
悩みに悩んでいくつ投げ出したか!」
…………………………
「んでも……今日は
来てくれてよかった
来てくれたってことは
まだ…
諦めてないってことだよね?
生きることも、
今君がめざしてる何かも」
――――――――……!
「だから、自分もちょっとね?
………………安心したよ。
まだ……良いんだって
まだもう少し、進んでいんだって」
…………………………?
「それがわかっただけで
自分はまだ進んでいいんだって
行きたい方に行けないけど
行ける所までは行けるってこと
……君が来てくれたおかげで
それが少し……ほんの少しだけ
わかった気がするよ」
―――――――――――!
「……っふふ、よくわかんない
わかんないけど……ありがと
…よし!んじゃ、そろそろかな?
じゃ、ずっと先で
先に待ってるからね?
それと……
私を抜くつもりで生きろ!
―――『私』!」
……ゆっくり、
気持ちが戻ってきた
私は―――
ゆっくり……進み出す
そう決めた
未来の『私』に向かって
〜シロツメ ナナシ〜
『手を繋いで』
「いやだいやだいやだ!!」
だだをこねている
「だって負けたくないもん
だっていやでしょ?
だって……、
もう十分頑張ったんだよ?
もう自分たち完璧でしょ?
あんなに大変なのを乗り越えたんだよ?
なのになんで……
こんな無理なことさせられるの?
自分で自分を虐めないでよ!?
いじわるしないでよ!?
まだがんばらなきゃいけないの!?
ひどい!ひどいよ!!」
その言葉を黙って聞いた
時々相槌を打ちながら
ただそれだけ
この子が少し……ほんの少し
前に進めることを信じて
この子が手を伸ばすことを信じて
だからこそ……
だからこそ、そこから―――
「……どうして?
なんで……こんな……
違うの…………」
ひとつずつ―――
「………ひどい
なんで……、だめなの…?」
ひとつずつ――――――
「…………いやだ……
……いやだ………………
いやだよぉ…!!!」
ひとつずつ―――――――――
向き合っていく
……………自分の未熟と――――
自分のプライド、弱さ、拘り、
人の弱さと言われてしまうものを
この子は全部もっていた
だから、
知って欲しかった―――
どんなにつらくても
この世界と自分の
今の現実を、見せて行った
苦しみながらも、
自分も一緒に、見て行った
そして―――
自分も同じぐらい辛かった
それでも知って欲しかった
弱さを受け入れる事こそが
無限の強さの秘訣ということを
「………………………………どうしても」
?
「…………………………………
……………………………………
……………………………
………どうしても………………
……負けなきゃ…………………………
………………………だめ……?」
絞り出すように言ったその言葉
不安、不満、怯え、恐怖、
苛立ち、惨め、情なさ、プライド、
考えうる全ての負の感情を
かき分けかき分け……
そして絞りに搾って
ようやく いえるようになった
そんな――――――言葉だった
負けなきゃダメじゃないよ
負けて欲しいんだ
もちろん勝って欲しいよ?
だけどね
それでも負けて欲しい
覚えてて欲しいことがある
負けには…強さが隠れてる
負けには、成長が隠れてる
だけど、今の自分では
負けがひどい毒になる
勝ちもひどい毒になる
弱さや未熟を受け入れると…
毒は薬に変わるんだ
ずっと強くなってける
完璧を辞めるその時から
一生成長できるんだ
今までの水や肥料もとても大切
だけどこれからは
更に新しい水や肥料を
もっともっと使って欲しい
すごく成長することもある
急にかれることもある
だけどホントは気づいてるんだろ?
君の完璧が
君を苦しめてることを
いつの間にか
声なく、泣いていた―――
今でもキミはすごい
けどそのままだと
今よりもっと苦しくなる
なり続ける一方なんだ
だからこそ
どんどん負けて
時々勝って
まだまだ成長して欲しい
いつの間にか
2人、手を握っていた―――
「いやだけど……
こわい………けど…
こ……こわがるのを……
…………………………ゆるして……?」
もちろん
「…………
……………………なくのも…
……………………………ゆるして?」
もちろん
「…………………………」
いつの間にか
2人でゆっくり歩いてた―――
声なく泣いてるその姿
いったいどれだけ長いこと
一人(独り)でずっと
頑張っていたのだろうか
ゆっくり歩いて行くと
だんだん光に包まれて
次第に闇に溶けて行き
つないだ手が消えていくのか
それとも自分が消えて行ってるのか
よく分からなかったけど
目が覚めた時
私は―――
大声を出して、泣いていた
〜シロツメ ナナシ〜
『どこ?』
私はずっと探してた
どこだどこだと、
「自分探しの旅」に出て―――
あれも違うこれも違うと
見つけた自分を捨てていく
見つけて見つけて、またみつけ
捨てて捨てて、また捨てて
ホンモノどれだ?と探してる
私はずっとわからず屋
捨ててる全ても自分だと
見つけた自分は全て自分
捨てていいもの無いのだと
散々捨てて気がついた―――
どこだどこだと探す旅
新たに見つけた自分達
捨ててしまった自分達
どちらも探す旅に出る
自分探しだけじゃなく
知らないなにかも探す旅
人生はきっと
あらゆる全てを探す旅
今日も求めて、旅に出る―――
〜シロツメ ナナシ〜
『大好き』
言えるようで
言えないようで…
言ってるようで
言ってなくて…
最初は言葉で伝えてて
気がつけばもう態度にも出なくて…
身近な人や近所の子どもに言う
飼ってる猫や犬にも言う
なんなら推しにも言ってる
……なのに、
好きな人へは…どうしてこんなに
言うのが難しいんだろ?
割とよく言ってるのに
大事な時だけ言ってない
…なんなら態度は天邪鬼
気がつけばなんかケンカ気味
これ…私が悪いと認めたくない
…なんて変なプライド沸くし……
私の気持ちの裏返し
なんて、ただの甘えすぎ…
……その人にしか出来ないから
その人になら、できるから
甘えたくて、甘えてるから
自分にも相手にも周りにも
なんかキツくなる私
…この天邪鬼め
あなたにいじわるするのは
愛情の裏返しなんです♡
……なんて言ってる場合じゃないわよ
ちゃんとしないと…
油断してるとほんとに取られるぞ?
無くしてからじゃ遅いんだぞ?
わたし―――
〜シロツメ ナナシ〜