シロツメ ナナシ

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『君と見た景色』


〜黄昏時〜
道に迷ったら、
いつもここに来ていた―――

「ぁ、今日も来た?」

――――――

「ん〜、今日は聞こえない日か
 それとも、喋りたくないかな?」


………………


「うん、
 どっちでも大丈夫
 それにしても、
 相変わらず綺麗だね
 夕日ってさ?」


静かに夕日を眺める


「まだ迷ってる?
 同じこと?違うこと?
 ……自分もなんだよね」


…………―――――


「そりゃぁ悩むよ〜
 それも種類も量も
 そして質も上がってくると来たもんだ
 悩みに悩んでいくつ投げ出したか!」


…………………………


「んでも……今日は
 来てくれてよかった
 来てくれたってことは
 まだ…
 諦めてないってことだよね?
 生きることも、
 今君がめざしてる何かも」


――――――――……!


「だから、自分もちょっとね?
 ………………安心したよ。
 まだ……良いんだって
 まだもう少し、進んでいんだって」


…………………………?


「それがわかっただけで
 自分はまだ進んでいいんだって
 行きたい方に行けないけど
 行ける所までは行けるってこと
 ……君が来てくれたおかげで
 それが少し……ほんの少しだけ
 わかった気がするよ」


―――――――――――!


「……っふふ、よくわかんない
 わかんないけど……ありがと


 …よし!んじゃ、そろそろかな?
 じゃ、ずっと先で
 先に待ってるからね?
 それと……
 私を抜くつもりで生きろ!
        ―――『私』!」


……ゆっくり、
気持ちが戻ってきた


私は―――
ゆっくり……進み出す
そう決めた
未来の『私』に向かって


〜シロツメ ナナシ〜

3/22/2025, 6:50:11 AM