シロツメ ナナシ

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2/16/2025, 12:40:58 PM

『時間よ止まれ』


レ「なぁチーユ」

チ「レイさん、どうしました?」

レ「いや、お前のスキルを
 もっかい確認しときたくてさ
 確か…時魔術も習得してるんだよな?」

チ「えぇ、そうですよ。
 と言っても 白魔道士の派生系なので
 大抵の人はちょっと頑張ればなれますよ?」

レ「いや〜…、戦士系以上に
 魔術向いてないからいいわ…」

チ「そうですか?白・時魔道士には
 簡単な補助魔法だけでも損は無いですが…
 そしたら何が知りたくて?」

レ「ぁーそうそう、さっき知ったんだけど
 時魔術の中に、『ミドストプ』って
 術があるのを聞いてさ。
 どんなんか知っときたくて」

チ「ミドストプですね!使えますよ〜
 でも、ご存知の通り
 この世界の時間魔法は
 あくまで自他のすばやさを調整するもの。
 ミドストプも、実際には
 「術者以外が全て止まる」って言うもので、
 レイから見たら、私が瞬間移動を
 してるように感じるだけなの」

レ「へぇ〜…なんかそれはそれでいいな!」

チ「ただ残念ながら、
 対象を叩いてもダメージにもならず
 私が触れても、人でもなんでも
 ほとんどロウみたいにしか感じないんです
 ほかの魔法も
 極々一部しか使えなくなります
 ちなみに、一定の魔力と合わせて
 魔力を消費することで
 その時間を伸ばすこともできますよ。
 一般的にはおよそ30秒ぐらいですね
 上位魔術師になると
 もっと伸ばせるらしいですけど
 私はそれが精一杯ですね〜」

レ「ちょい残念…
 とはいえ…ちょっと興味湧いてきた…
 せっかくだからちょこっとでいいから
 見せてくれよ!瞬間移動!」

チ「んー構いませんけど…
 そうですね…では、条件!
 ここのお店の
 エールミール(魔力回復ドリンク)を
 奢ってください。そしたらいいですよ?」

レ「エールミール?
 まぁ…魔力使うわけだし…
 よし、それぐらいならいいぜ!」

チ「言質いただきました!
 では行きますね?
 〜時魔術『ミドストプ』〜!」
☆〜

 〜☆
レ「…!?消えた!?まじか!?」

チ「さぁ、私はどこでしょう〜?」

レ「!?…〜〜〜〜!
 そこだ!後ろ!…あれ?いない?」

チ「わっ の、テーブルの下でした〜」

レ「チーユ…たまに意外と
  子供っぽいことするな?」

チ「も、もぅ!子どもっぽいって
 言わないでください!
 というわけで奢ってもらいますね!
 すみませーん!
 ハイエールミールひとつくださーい!」

レ「な!?ミドル 飛ばして ハイ!?」

チ「エールミールには
 変わりませんもーん♪いただきマース!」

レ「そ、そんなに魔力使うんかなぁ…?
 …はぁ、使うタイミング考えた方が
 いいのかもしれないなぁ〜…」



☆〜
チ「…さて、…魔力最大でやっちゃった…
 この時間だけ…
 (ギュッ…)
 ごめんなさい レイさん…
 …ズルい女で…。
 私…まだ臆病で…
 けどあの子たちには負けたくない…
 誰よりもあなたの役に立ちたい…
 勇気が出た時は必ず…私から…
 もしくは…もしあるって言われてる、
 もっと上の時魔法が使えたら…
 でも、今はこれが限界…

 この時だけでも…2人…
 この時間のまま…
 止まればいいのに…

 ―――っ

 …あっ、いけない!魔力が尽きる!?
 え、えーっと…あ!ここにしましょ!」

〜☆


〜シロツメ ナナシ〜
60

2/16/2025, 4:21:57 AM

『君の声がする』


色んな場所から

君の声がする

朝の目覚まし時計と一緒に

作ってくれたご飯から

持たせてくれるお弁当から

過去の記憶から

君の背中や心から

僕の傷にそっと触れるその手から

一緒がいい との願いから

ハグした時の全身から

ひとつひとつに応えてく

届いてるか分からないけど

伝わってると信じてみる

君が返す、満面の笑みを――――


〜シロツメ ナナシ〜
59

2/14/2025, 1:08:10 PM

『ありがとう』


「あにだよう!」
…ん?

「かにだぞぅ!」
…はい??

「さい噛もう!」
ん!?

「ん〜っと…他には〜…」

ごめんちょっとまってね!?

「え?なに?一緒にやる?」

やんないよ!?
…いやなんかやってたの!?

「ほらほら、今日のお題が「ありがとう」
 だったから、これに似た言い方?
 を探してたの!」

…前もって言おうな?
読者が混乱するから……

「読者?誰か見てるの?」

ごめんメタ発言だったわ
聞かなかったことにして

「それよりアンタはなんかない?」

え?俺もやる流れ!?

「なんか一個でいいから探してよ〜」

え〜…え〜っと?
要は…ありがとう(あいあおう)…
に聞こえるようなものを探せばいいんか?

「そうそう!作っていいから!」

ん〜…じゃ、タイかそう!

「…燃やすの?物騒だね…」

火じゃねぇ!貸し借りのほうだ!

「ニホンゴッテムズカシイアルヨ」

言い出しっぺが何を言うか…

「んじゃね〜…、はにかもう〜!」

笑いそうだな。
んなら…、抱き合おう!

「…エッチ」

ハグだからな!?

「しーらな〜い」

だめだ、収集つかねぇ…

「ほーら、置いて帰るよー
 帰りながらでもできるでしょ〜」

ぁ。まだ続ける感じ?

「あんたが負けたから奢ってね〜?」

は!?勝ち負けあんの!?

「エッチな表現した方が負け〜」

聞いてねぇし酷くね!?

「あ、そだ」(クルッ)

(ギュ…) …!?


「――よし!んじゃ
 先に行って 注文しとくね〜」

…って ぁーもう!ずりぃって!

「(…ありがとう)」


〜シロツメ ナナシ〜
58

2/13/2025, 12:55:11 PM

『そっと伝えたい』


あ〜めんどくさ…

なんでこんなの書かなきゃいけないの…
 なんでこんなの渡したのかって?
ただの私の罰ゲーム!本気にしないで?
 誰でもいいってことだったから
のーてんきなあんたを選んだだけよ
 あんたとそんな事ならないわよ
こんなんで喜ぶようならだめよ?
 ちゃんと読み解く練習よ!
とにかく読み終わったらこれ捨てといて!
 それより明日!
がっこうの購買でパンでも買ってよ!
 それが罰ゲームの報酬ってことで♪
すぐ来なさいよ?朝は!
 購買部の入口で待ってるから!
きてなかったたりしたら
 本気で蹴るからね?
よろしくー!


〜翌朝・早朝〜


―――早くに来てる
ん……、来てるってことは…
……流石に…あんたでも
伝わったわよね…?

――――――この ノーテンキ


〜シロツメ ナナシ〜
57

2/12/2025, 1:01:16 PM

『未来の記憶』


「この器(体)には、お前が行(生)きなさい」

人間の体に入れる魂の選別
この器(体)に 俺が選ばれた

「お前にはまだ
 2人分の前世の罪が残っている
 その罪滅ぼしを継続してもらう」

…は!?待て待て…!2人分!?
俺 それこそさっき!
生まれてすぐ即死だっただろ!?
残っててもせめて1人分だろ!?

「お前は忘れただろうが、
 3つ前の人生で、あまりに殺しすぎた
 先程のはそれまでの分だが、
 それでも冥界の天秤は、
 今だに2人分の罪は有ると判断した」

…それでももっかい聞く…
なんで俺が
今 行かなきゃいけねぇんだよ!?
他にも適してる魂あったんだろ?
それに…俺は1番適してねぇんだろ?

「ああそうだ、1番適してないが
 決して合わないわけじゃない
 適した魂はあったが、その器(体)には、
 長生きしなきゃならん理由があるようだ」

…ようだって…わかんねぇのかよ…

「厳密にはわからん。だが…
 どうやらお前以外の魂では
 かえって適しすぎてるらしい」

…は?

そう言って番人は、
俺に
[他の魂が生きた場合の未来の記憶]
を 見せてきた

―――――――――…!!??

…それは一瞬だったが
その記憶は―――
―――すべて死ぬ直前の記憶だった
しかも、どれもこれも…

……かなり……若い…?

「…そうだ。この器(体)に適した魂は
 およそ20近くあるのだが…
 様々な理由から…殺されるのだ
 それもどれも比較的 若い
 それでは、その器(体)にとっての
 たどり着くべき所に
 たどり着けないらしい…。」

…それよりなんだよ?その…
たどり着くべき場所ってのは…?

「……それは、私にもわからん
 今の私に見通せるのは死の未来
 そして少なくとも、
 これらの魂たちでは
 その器(体)が成したい場所とやらには
 どうやら通過さえしてないらしい」

…んで、少なくとも俺なら
その時間にたどり着ける…と?

「あくまで、その可能性が高い
 ということだ。同時に、
 お前と言う魂の罪滅ぼしにもなる
 言っておくが誕生してすぐ、
 お前には枷をかける
 その枷は酷い不幸にはならんが
 手放しに喜べる幸せも減らす」

…は!?なんだよそれ!!??

「罪滅ぼしなのだから当然だ
 どうしても幸福が欲しければ、
 まずはその時間にたどりつけ。
 そして、罪滅ぼしとして
  一人でも多くのものを幸せにしてみせろ
 そうすれば、お前が幸せに
 ならんことも無い。お前次第だ」

…はぁ…かったりぃ…
過去の俺、どれだけバカしたんだよ…

「準備が出来次第、行(生)きなさい
 もうすぐココロが宿る。
 あまり時間はないぞ?」

…は!?しかも割とすぐ!?
……ん〜あーもう!わかったよ!!
今すぐっ行く!行ってやるよ!
罪滅ぼしでも他人の幸福でも
なんでもやってやるよ!!
俺もいい加減…
ちゃんと幸せになりてぇしよ!


「…死ぬなよ?」

…はっ!
冥界の番人のセリフじゃねぇなw


―――そして俺は
   程なくして生まれた

―――俺は生きた


―――あらゆる瞬間の


―――見せられた瞬間を


―――死ぬはずの瞬間を


―――ひとつ、



―――ひとつ、




――――――またひとつ、



―――超えてきた



―――……ぁ、

………………たぶん…これだ。

…………なるほど、そういう事か


まぁ〜確かに?
罪滅ぼしにもなるし?
全員が幸せかは…わかんないけど

…これもひとつの
……幸せ…だな

…わるくは、なかったぜ


俺は
この生命(いのち)を―――全うしてやった


〜シロツメ ナナシ〜
56

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