『未来の記憶』
「この器(体)には、お前が行(生)きなさい」
人間の体に入れる魂の選別
この器(体)に 俺が選ばれた
「お前にはまだ
2人分の前世の罪が残っている
その罪滅ぼしを継続してもらう」
…は!?待て待て…!2人分!?
俺 それこそさっき!
生まれてすぐ即死だっただろ!?
残っててもせめて1人分だろ!?
「お前は忘れただろうが、
3つ前の人生で、あまりに殺しすぎた
先程のはそれまでの分だが、
それでも冥界の天秤は、
今だに2人分の罪は有ると判断した」
…それでももっかい聞く…
なんで俺が
今 行かなきゃいけねぇんだよ!?
他にも適してる魂あったんだろ?
それに…俺は1番適してねぇんだろ?
「ああそうだ、1番適してないが
決して合わないわけじゃない
適した魂はあったが、その器(体)には、
長生きしなきゃならん理由があるようだ」
…ようだって…わかんねぇのかよ…
「厳密にはわからん。だが…
どうやらお前以外の魂では
かえって適しすぎてるらしい」
…は?
そう言って番人は、
俺に
[他の魂が生きた場合の未来の記憶]
を 見せてきた
―――――――――…!!??
…それは一瞬だったが
その記憶は―――
―――すべて死ぬ直前の記憶だった
しかも、どれもこれも…
……かなり……若い…?
「…そうだ。この器(体)に適した魂は
およそ20近くあるのだが…
様々な理由から…殺されるのだ
それもどれも比較的 若い
それでは、その器(体)にとっての
たどり着くべき所に
たどり着けないらしい…。」
…それよりなんだよ?その…
たどり着くべき場所ってのは…?
「……それは、私にもわからん
今の私に見通せるのは死の未来
そして少なくとも、
これらの魂たちでは
その器(体)が成したい場所とやらには
どうやら通過さえしてないらしい」
…んで、少なくとも俺なら
その時間にたどり着ける…と?
「あくまで、その可能性が高い
ということだ。同時に、
お前と言う魂の罪滅ぼしにもなる
言っておくが誕生してすぐ、
お前には枷をかける
その枷は酷い不幸にはならんが
手放しに喜べる幸せも減らす」
…は!?なんだよそれ!!??
「罪滅ぼしなのだから当然だ
どうしても幸福が欲しければ、
まずはその時間にたどりつけ。
そして、罪滅ぼしとして
一人でも多くのものを幸せにしてみせろ
そうすれば、お前が幸せに
ならんことも無い。お前次第だ」
…はぁ…かったりぃ…
過去の俺、どれだけバカしたんだよ…
「準備が出来次第、行(生)きなさい
もうすぐココロが宿る。
あまり時間はないぞ?」
…は!?しかも割とすぐ!?
……ん〜あーもう!わかったよ!!
今すぐっ行く!行ってやるよ!
罪滅ぼしでも他人の幸福でも
なんでもやってやるよ!!
俺もいい加減…
ちゃんと幸せになりてぇしよ!
「…死ぬなよ?」
…はっ!
冥界の番人のセリフじゃねぇなw
―――そして俺は
程なくして生まれた
―――俺は生きた
―――あらゆる瞬間の
―――見せられた瞬間を
―――死ぬはずの瞬間を
―――ひとつ、
―――ひとつ、
――――――またひとつ、
―――超えてきた
―――……ぁ、
………………たぶん…これだ。
…………なるほど、そういう事か
まぁ〜確かに?
罪滅ぼしにもなるし?
全員が幸せかは…わかんないけど
…これもひとつの
……幸せ…だな
…わるくは、なかったぜ
俺は
この生命(いのち)を―――全うしてやった
〜シロツメ ナナシ〜
2/12/2025, 1:01:16 PM