いつまでも降り止まない、雨
サボテンを聞く日々。ままならない。謝りに来たのだという。そんなのいらない。言葉はいらないよ。コンビニまで歩く。そして帰路につく。君の孤独が君の顔をして佇んでいる。君の孤独に寄り添えない。君の孤独が君の奥へ奥へと入り込んでいく。君の顔は君の身体の中心みたいな顔をしている。ほんとうのように、そこにいる。ほしい言葉を渡せない。君の顔はほんとうのように、そこにいる。心が寄り添い合うってなんだろう。私の冷たさは私を守るために、君もそうでしょう。
逃れられない呪縛
何かが間違っているのかもしれない。伸ばした髪は君のためなんかじゃない。お金がないからだよ。あの日公園で飲んだペットボトルのジュースおいしかったね。川辺を鴨を眺めて散歩したとき笑ったね。ショッピングモールをぐるりと周るだけで楽しいね。ぜんぶ嫌になる。たまにどうしようもなく。馬鹿みたいだと蹴飛ばしたい。好きは減っていくってほんとうですか。馬鹿みたい。常套句が頭をよぎる。馬鹿みたい。
理想のあなたは理想のわたしだ、と思う。
だって君は君のままでいてほしいから。何か願うとすれば、私への望みを見つけてしまうだけだよね。
私達は助け合えるし、ずるいし、思いあえるよなって、でもぜんぶ違うよなって思う。
出会ったときから思ってるけど、君が君のなりたい君になれることを心から願っているし、私自身に対しても思う。
何かを想うとき、私から離れていく心が好きだ。
色んなところに私を預けている。
波打ち際で削られたコンクリートの影。ライブハウスの帰り道。人気の少ない山の中の広場。インターネットという宇宙。
夢中になったあの日に私を預けている。
恋でしかない。
流れついた夜。
しぶきは星々の代わりをしては消えを繰り返す。波は引いても夜は留まり、辺りの音を徐々に飲み込んでいく。
私は心の蝋燭に火を灯し、波打ち際へと向かっています。あぁ、私は温かい。きっと見失わないで帰ってこれるよ。そう、背中を押されます。
身に纏った白いオーガンジーのブラウスがはためく。襟元から胸元にかけての植物を模したレースの装飾に、しぶきがあたりきらめいている。さらさらとした砂が趾間に隙間なく触れる。汗ばんだ足も砂と同化したようにさらさらと変化した。
私に灯る蝋燭の火は、呼吸するたびに小刻みに揺れます。辺りはもう、何も見えません。呼吸の音も不確かなのに、揺れる火から音が聞こえる気がするのです。あたたかさだけが確かで、ちょうどバイオリンを糸巻するような音が聞こえる気がするのです。