敬愛

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12/6/2025, 5:44:17 AM

あなたには好きなものがたくさんある。

例えば道端の猫。見かけるたびに写真を撮っては、下手な鳴き真似なんかして、どうにか撫でてみようとにじり寄っている。
それからきれいな小銭。太陽光を反射させながらひとしきり堪能した後は、「せっかくだから」とコンビニの募金箱にいつも突っ込んでいる。
他にも深夜の駐車場。前にレイトショーを見た帰りには、数えるほどしか車のないだだっ広い駐車場を見て、「鬼ごっこができそうで良い」なんて言って満足そうにしていた。

日常の些細なものに価値を見つけるのがあなたは得意なのだ。正直よくわからない時もたまにあるけれど、そのたびに嬉しそうにはしゃぐあなたがかわいいから、その目に映る街並みが、この先もずっと煌めいていればいい。


『きらめく街並み』

12/3/2025, 3:12:53 PM


最近一気に気温が落ちた。カーディガン一枚あれば十分だった通学路とは先週でおさらばしてしまった。マフラーも手袋もしているはずなのにまだまだ体は冷えていて、あなたともっとゆっくり話して帰りたいのに、吹き付ける風が冷たいせいで私達は自然と早足になっていた。
厚手のパーカーしか羽織っていないあなたはさっきから風が吹くたび寒いと言っている。そしてそのたびに、私とあなたの会話が中断されてしまうことが不服だ。

ねえ、寒いのなんてどうでもいいでしょ。今日も一緒に話したいことがいっぱいあったんだよ。指先ばっか見ないでよ。ねえ、ねえ、ねえ、

まだまだ冬の足音が聞こえてきたばかりだというのに、このままではいったいどうなることやら。
ひとまず、明日は彼女にカイロでも持ってきてやろうと思う。


『冬の足音』