別れ際に
世の中にはどうしようもないことがある
そんなことの方がきっと多い
自分がどれだけ声を出し
叫び
喚いても
誰一人耳も傾けず
希望と反対の方向へ進んでしまうこと
別れ際にあなたは言った
「君の思い出の中に
人生の中に
少しでも僕が居たのなら
それ以上幸せなことはない」
“いつの日にか 僕のことを 思い出すがいい”
昔流行った曲の歌詞が頭を過ぎる
さようなら
通り雨
ある晴れた日の空から
急にぽつりと雫が落ちて
それが次第に増えていって
雨が降り出した
周りは慌てて
鞄や上着で濡れないように身を守り、雨宿りを探す
ほとんどの人がしかめっ面をしてる
だけど私には
その雨がきっと救いだった
一時の雨は、辺りを湿らし
潤いを与え
やがて虹を見せたのを覚えている
でもきっと、その虹は誰も知らない
私しか知らない
あの通り雨はあなた
私にくれた
唯一の光
空が泣く
知らない番号からの電話だった。
だけどいたずら電話ではなかった。
出ると、電話の向こうの人の声はただひたすら冷静だった。
冷静というか、淡々と話していた。
その人とは正反対に僕は焦り、夢中で走った。
幸か不幸か、行き先の建物は近くで。
こんな近くに居たのに、何故こんな事が彼にだけ起こった?
どうして、どうして。
どうしてどうしてどうして。
せめて、せめて、最後の顔だけ見ることができたら。
彼の元へ着いた時は
彼の顔は布をよけないと見れない状態だった。
彼は、自分の知ってる彼か?
今自分に起きていることは?
声はどうやって出すんだったか?
涙はどうやって出すんだったか?
たった1つだけ分かったことは
いつの間にか空が泣いていたことだった。
Fin.
カレンダー
気づけば、もう9月。
ついこないだ年が明けて、それから春が来て夏が来て
あと3ヶ月で今年は終わり、また年が明ける。
いつもそう感じるのは、ふとカレンダーを眺めた時。
もう月末か。
こないだ月が変わったばかりと思ったのに。
時々思うのは
カレンダーという月日を表すものを、いつ一体誰が考えて
作り上げたのかということ。
もちろん調べたら分かることなんだろうけど、もし誰も
そんなものを作らなかったら
自分たちはどんな日々をおくるのか。
月も日にちもないから、ただだらだらと生きるのか。
それとも時間を無限にあると思い、喜ぶのか。
それともいつ終わりが来るか分からなくて、怯えるのか。
このカレンダーという存在によって、自分たちは何かに
管理され、良くも悪くも生きているのかもしれない。
喪失感
「元気でいてくれれば、それでいいよ」
彼が自分に求めるものは、それだけだった。
料理が失敗しても、
待ち合わせに遅刻しても、
くだらないことで怒ったりしても、
不機嫌でいても、
情緒不安定になっても、
嫌いだ、なんて言い放っても、
彼が自分に、ここを直して欲しいなんて一切言わなかった。
「健康で、元気に笑っていてくれるなら
それでいいんだよ」
「だって、人はいつ死ぬか分からないんだから」
「ただ、生きてくれれば、それでいい」
その言葉、そっくり今あなたに返すよ。
この喪失感と一緒に
Fin.