夢と現実
私の推しはあるグループの中に居て
そのグループをとても愛していた
自分の仕事は、全てグループに還元するためにある。
自分の存在は、全てグループに還元するためにある。
グループに還元できない仕事はしない。
自分にとってはグループが全て。
私は推しだけをとても愛していた
自分の支えであり、癒しであり、道標であり
元気の素であり、悲しい時に慰めてくれる存在。
推しに還元できないことはしない。
自分にとっては推しだけが全て。
だけど推しがいつも言うのは
「グループのことを愛してね」
どれだけ推しだけを推しても
実は届かない
届いていない
私の夢は推しにたくさんの個人仕事が来て
俳優としても認められて
いつだかの、その人が出るドラマの時間は街から人が消える
なんて事態が起きるぐらい、人気で誰もが知る存在に
なるということ
だけど現実は
「グループで国民的な存在になる」
私の夢は叶わない。
一生、どんなに貢献したとしても、叶わない。
単推しほど
叶わず悲しいものはない。
それが夢と現実
落ちていく
真っ暗な世界を落ちていく
何も見えない世界を落ちていく
いや、自分は本当に落ちているのか
もしかしたら
何かに吸い込まれているのか
取り込まれようとしているのか
このまま落ちていったら地面に叩きつけられるのか
水の中に落ちるのか
でもその瞬間はきっと
意識なんてもうない
ほら
朦朧としてきた
最後に一瞬感じたのは
誰かの肌の温かさだった
キャンドル
キャンドルに1つ1つ火を灯して
ゆらゆらゆらめく火を眺めながら
貴方との思い出を見た。
辛かった 悲しかった
楽しかった 幸せだった
助けられた 救われた
貴方のおかげでここまで来れた
胸がしめつけられるようなこともあったけど
今はこんなに綺麗なキャンドルで揺れている
だけど
やがては蝋がとけ
火は静かに力尽きる
思い出は、おしまい。
思い出の、ままで。
もうキャンドルを灯すことはないから
火と一緒に
わたしも力尽きるの
はなればなれ
もう おわかれだね
つないでたはずのては
はずれてしまったから
だれがどうして
どうしてこうなったのかなんて
かんがえたって
てははなれていくばかりだから
もう じぶんからはなした
これいじょうあなたがくるしむなら
わたしからてをはなすの
さいごにきこえたことばは
これいじょうあなたがくるしむなら
ぼくからてをはなしたよ
さようなら
忘れたくても忘れられない
物忘れを防ぐようなアルツハイマー向けの薬があるなら
それを飲めば全て忘れることができる薬がほしい
きれいさっぱり忘れて
もう二度と思い出すことのないように
「人間は忘れる生き物」とは言われるけど
それは全くの間違いだ
「人間は忘れられない生き物」
だから何度も過ちを繰り返す
だから何度もあの人を思い出す
それが辛いと分かっているのに
忘れたくても忘れられない