空が泣く
知らない番号からの電話だった。
だけどいたずら電話ではなかった。
出ると、電話の向こうの人の声はただひたすら冷静だった。
冷静というか、淡々と話していた。
その人とは正反対に僕は焦り、夢中で走った。
幸か不幸か、行き先の建物は近くで。
こんな近くに居たのに、何故こんな事が彼にだけ起こった?
どうして、どうして。
どうしてどうしてどうして。
せめて、せめて、最後の顔だけ見ることができたら。
彼の元へ着いた時は
彼の顔は布をよけないと見れない状態だった。
彼は、自分の知ってる彼か?
今自分に起きていることは?
声はどうやって出すんだったか?
涙はどうやって出すんだったか?
たった1つだけ分かったことは
いつの間にか空が泣いていたことだった。
Fin.
9/16/2023, 4:19:46 PM