狼星

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4/8/2023, 12:55:36 PM

テーマ:これからも、ずっと #147

私には4つ年の離れた妹がいる。
年の差もあって小さい頃は喧嘩ばかりしていたが、
最近は一緒に買い物する仲だ。

最近妹が友達や先輩関係で上手くいっていないみたい。
私も妹くらいのときは、止んだ時期だなぁ。
とか思っていた。
部活動で怪我をしていた。
妹は思うように部活動に打ち込めず、
それを期に虐められると怖がっていた。
私はそれを見て、自分を重ねた。
私が体験したのと同じだった。
いや、まだいじめられていないから
未遂と言ったら未遂だが。

私はこれからも、ずっと妹の姉だ。
なにかしようというのなら、
体を張って守るまで。
妹よりも身長は低くなってしまったけれど
舐められては困る。
私はこれからも、ずっと妹を守り続ける。

4/7/2023, 12:00:52 PM

テーマ:沈む夕日 #146

沈む夕日を見ていると、
好きだった人のことを思い出した。
私が初めて、真面目に告白された人。
私はその人を振った。
私は彼のことが好きだったから。
後悔はしていない。
後悔は……。

あの人の告白があったから、
今彼のことを大切にできている。
私には彼と結婚してできた、子供がいる。
あの告白の答えが違っていたら
この未来はなかったかもしれない。

沈む夕日を、ふと見て思った。
夕日に照らされている私のオレンジ色に染まった頬に
涙が落ちる。
どうして私は泣いているの?

4/6/2023, 12:21:05 PM

テーマ:君の目を見つめると #145

君の目を見つめると不思議な感覚がした。
心を見透かされているような、そんな感覚。
今思うと、その僕の直感は正しかったのかもしれない。
君と出会ったのは、高校の入学式のとき。
満開で咲き誇る桜の木の下、
白い肌と黒い髪、紺色のブレザーがよく映えていた。

「今日から担任をします。水原です」
元気な女の先生だった。めんどくさいなぁとか思って適当に視線を流していると、さっき見た女子生徒がいた。
その子は前を向いていた。顔は見えない。
「おーい、そこの子! 聞いてるー?」
水原と名乗った先生の声。
「君、初日からよそ見とは、なかなかやるなぁ」
どんどんその声が近づいてくるなと思いながら、視線は彼女から離れなかった。先生が僕の前に立ったことにより我に返る。
「え、あ、はい」
僕がそう答えると、静かだった教室にドッと笑いが起きた。そしてやらかしたと気がつくと、冷や汗をかいた。
僕は俯くが先生は僕の席から離れない。
「はい、みんな静かに!」
そう言うとみんなピタリと笑いが止まる。
「君、名前は?」
「……光です」
「え?」
「蒲田光(かまたひかる)です」
僕がそう言うと、
「そうか、蒲田くん。これからよろしく」
「はい……よろしくお願いします…」
目立ちたくない陰キャの僕が、
目立ってしまう最悪な入学式だった。



♡2000ありがとうございますm(_ _)m

4/5/2023, 12:14:04 PM

テーマ:星空の下で #144

この満天の星空を
いくつの人が見ているのだろう
大きな黒いキャンパスに
スパッタリングしたように散りばめられたような星空

この星空の下で
いくつの人がいるだろうか
寝ているのだろうか
天体観測しているのだろうか
日常生活をしているのだろうか
働いているのだろうか
働いている人の中には
望まぬ残業をしている人もいるかもしれない

星の分だけ人がいるなら
幸せな人もいれば
不幸な人もいる
この夜が早く明けてほしいという人も
いるかもしれない

スマホや街が明るい光が
私達を照らす
ふと空を見上げても
星や月が見えないこともあるかもしれない

でもいつだってあるのだ 
目に見えないだけで
私達は同じ星空の下を
生きているのだから

4/4/2023, 1:29:52 PM

テーマ:それでいい #143

それでいいんだって思ったんだ。
僕は僕のまま、君の中にいてもいいんだって。

私は気がつくと一人じゃなかった。
私の中にはカゲロウという、私ではない人格者がいた。
カゲロウは、滅多に私と話すことはなかった。
中学の時、孤独を感じるまでは。

『僕はね、君の中にいるんだ』
カゲロウは私に言った。いや、言ったというか、脳に直接語りかけているというか……。
『君が望まないと言うなら、またいつものように息を潜めているけど、孤独の時間が必要なときだってあるし』
その時の私は、孤独の時間が怖かった。
自分が自分で制御できなくなってしまうような気がして。私は気がつくと声が出ていた。
「行かないで」
と。カゲロウは私に話をした。
それはカゲロウについてだった。嘘か本当かは知らないが、私は前世でカゲロウと一緒に旅をしていたらしい。カゲロウは、前世の私に行ったらしい。
後世でも一緒にいたい…と。
カゲロウは前世の記憶をもったまま、私の前に現れた。
幼い私には、カゲロウといた時間をすべて忘れていた。今だってそうだった。
カゲロウは少しの間、私の中で生き続けることにした。
息を潜めて、いつか気がついてくる日が来るのではないかと。でも、待ち望んでいた日は来なかった。
今、この時話しかけていなかったら、まだ認識すらされていなかっただろうとカゲロウは言った。
「カゲロウは、私の中にいて嫌じゃないの?」
私は話し終わったカゲロウに聞く。
『嫌なわけないさ、愛していた人の中にいるのだから。今だってそうだ。今だって愛しているよ、君のことを』
カゲロウの姿は私に見えるものじゃない。前世の記憶だって無い。でも、私の中でカゲロウが微笑んだ気がした。
「カゲロウが嫌じゃないなら、私の中にいてほしい。嫌じゃないなら、話をしてほしい。今の私は、孤独の時間が怖いの」
そう口にして、ハッとした。
ずっと私に気が付かれなかったカゲロウはずっと寂しい思いをしていたのではないか、と。
カゲロウは私の思考を読むように言った。
『寂しくなんてなかったさ。いつも近くにいたんだから。でも、本当にいいのかい? 僕のこと気味が悪いだろう? 姿だって見えないし、僕が本当のことを言っているかもわからないのに』
カゲロウは私の答えに戸惑っていた。
そんな人が嘘をつくとは思えなかった。だから私は
「えぇ、もちろん。それでいいの。前世のことを思い出せなくてごめんなさい」
そういった。目の前にいるわけじゃないのに頭を下げた。あたかもカゲロウがいるかのように。
『ありがとう。こんな僕を受け入れてくれて』
カゲロウはそう言った。

それからカゲロウと過ごした日々は長く続いた。
『ねぇ、僕ってこのままでいいの?』
カゲロウは私に聞いた。何を今更、とは思ったがカゲロウに取っては深刻な問題らしい。だから私はあの時言ったように、言った。
「えぇ、もちろん。それでいいの」

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