狼星

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テーマ:君の目を見つめると #145

君の目を見つめると不思議な感覚がした。
心を見透かされているような、そんな感覚。
今思うと、その僕の直感は正しかったのかもしれない。
君と出会ったのは、高校の入学式のとき。
満開で咲き誇る桜の木の下、
白い肌と黒い髪、紺色のブレザーがよく映えていた。

「今日から担任をします。水原です」
元気な女の先生だった。めんどくさいなぁとか思って適当に視線を流していると、さっき見た女子生徒がいた。
その子は前を向いていた。顔は見えない。
「おーい、そこの子! 聞いてるー?」
水原と名乗った先生の声。
「君、初日からよそ見とは、なかなかやるなぁ」
どんどんその声が近づいてくるなと思いながら、視線は彼女から離れなかった。先生が僕の前に立ったことにより我に返る。
「え、あ、はい」
僕がそう答えると、静かだった教室にドッと笑いが起きた。そしてやらかしたと気がつくと、冷や汗をかいた。
僕は俯くが先生は僕の席から離れない。
「はい、みんな静かに!」
そう言うとみんなピタリと笑いが止まる。
「君、名前は?」
「……光です」
「え?」
「蒲田光(かまたひかる)です」
僕がそう言うと、
「そうか、蒲田くん。これからよろしく」
「はい……よろしくお願いします…」
目立ちたくない陰キャの僕が、
目立ってしまう最悪な入学式だった。



♡2000ありがとうございますm(_ _)m

4/6/2023, 12:21:05 PM