狼星

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2/17/2023, 1:43:58 PM

テーマ:お気に入り #97

お気に入りの服を着て
お気に入りの靴を履いて
お気に入りの香水つけて
今日は彼とのお出かけ

最近はあまり一緒に出かけることがなかったから
いつも以上にワクワクしている

今日は最高の日にしよう
いつも考える重い話は置いておいて
何も考えずに楽しもう
彼の前だけは素直な自分になれるように

2/16/2023, 11:57:24 AM

テーマ:誰よりも #96

「誰よりもあなたを愛している」
そう言われたとき、素直に嬉しかった。
あぁ、やっと僕にも運命の人に出会えたんだって。

でも、幸せはずっとは続かない。

『奥さんと仲いいですね〜』
『羨ましいですよ〜。私の夫なんか、私のこと本当に愛しているんだか…』
娘の保育園の迎えに行くといつも言われる、ママさんたちの愚痴。
家だってそんなに仲良くない。なんて言えなかった。
妻は僕と最近、口を聞いてくれない。娘もいるから、あまり喧嘩はしたくない。
だから僕は、口をつぐんでいるのだが…。

急なことだった。
「あのさ、私たち別れない?」
僕の手から箸が落ちる。
「ぱーぱ! おちた」
娘の春(はる)が僕を見ていった。でも、それどころじゃなかった。
「…え?」
いま、なんて…。
「だから。私たち別れましょ?」
「え…。なんで…」
「分からなくなったの。あなたを本当に愛しているのか」
僕の視界は真っ白になった。
『誰よりもあなたを愛している』
その言葉は嘘だったのかなんて、怒って言うべきだったのかもしれない。言えなかった。
それは、僕が君のことを愛せていなかったからだろうか…。

素直に君が愛をくれたように 
僕も君に愛を伝えていれば
この未来は変えられた……?

♡1300ありがとうございますm(_ _)m

2/15/2023, 11:57:00 AM

テーマ:10年後の私から届いた手紙 #95

『10年後の私へ』
私はそんな手紙を見つけた。
なんだろう? こんなもの書いたっけ?
そう思いながらも封を開ける。
『10年後の私へ。きっと貴方は、これを書いていることすら忘れていることでしょう。』
一文目からまるで今の自分を見透かすかのように始まった手紙は、全部で5枚あった。

私は記憶喪失になることが時々ある。
いや、少なくて年に一度くらいの頻度である。
最初は記憶を失ったことにあまり自覚はない。ただ、忘れっぽくなって、自分が誰なのかわからなくなって、どうやって生きていたのかわからなくなって…という感じだ。
親にもそのことを言うことができなかった。
記憶喪失が始まったのは中1と日記に書いてあった気がする。記憶が曖昧なので鮮明には思い出せないが、クラスみんなの名前と顔を忘れ、位置から覚え直した。
その時はまだ、なにかストレスや負荷をかけすぎたのだろうと親に言われ、母はひどく心配していた。
母は私が怪我や病気をするとすごく心配する。私よりも私の体を大切にしてくれている。それは嬉しいのだが、それが過保護に繋がっている気がして、私は自然と記憶が無くなることを母に言えなくなった。
かと言って、父に言えるわけではない。だから私は日記を書くことにした。日記であれば自分がその日したこと、あった出来事などがわかるからだ。
私は日記と並行して未来の自分へ手紙を書くことがあるらしい。
それが今回見つけた手紙も一部。
私はこの手紙以外にも何枚も見つけているらしく、これを私は『未来への手紙』と呼んでいる。
いつ記憶がなくなっても困らないように、対策はしているつもりだが、自分が書いた手紙が親や妹に見られるのは恥ずかしい。だから、見つからない場所にしているのだろう。
この手紙も本のページの間に挟まっていた。
『未来への手紙』は溜まっていったため箱に入れて保存している。

これで何通目なんだろう。そう思いながら箱を漁る。
それにしても『10年後の私へ』なんて書かなくても、明日記憶がなくなるかもしれないのに、おかしな手紙だなぁと思った。
10年後の私から届いた手紙を見つけたこと、日記に書いておくか。なんて思いながら今日も日記を開いた。

2/14/2023, 11:57:21 AM

テーマ:バレンタイン #94

あげるべきか、あげないでいいのか……。
私の中でそんな思考がグルグルとしている。
あげたら迷惑になるかな…。
あげなかったら私は後悔するな…。
私はずっと悩んでいた。時間は刻一刻と過ぎていく。

私は今、気になっている人がいる。
好きとか、恋とかはわからない。
でもその人のことを見てしまう。私はわからないと言って逃げているだけなのだろうか。
今日も私はその人のことを目で追う。
昨日早退したけど、今日は来れたんだ。よかった。という気持ちもあり、それが今私を悩ませている原因でもある。
声をかけようとした。でも彼の周りには、たくさんの男友達がいた。渡したら、冷やかされるかな…。私は別に気にしないけど、彼が傷ついたら嫌だしな…。
そう思って開いた口を閉じる。
それの繰り返しだった。
バレンタインで渡すか、渡さないかに、こんなに悩むのは初めてだ。好きなわけじゃないのに渡すなんておかしいかな、とか。
ただ、あげたくなったからあげる、とか。そういう理由付けも考えたがうまくいきそうになくて…。

彼は代議員だ。
沢山の人達のためにいつも頑張ってくれている。私にも話しかけてくれる。彼は優しい。だから、他の人より惹かれたものがあったのかもしれない。
最近、視線を感じる。見ると、彼がこっちを見ていて目が合うときがある。
私は寝癖がついているんじゃないか。また、おかしなことをしているんじゃないかと、恥ずかしくなって目を逸らす。
私はすぐに何かをやらかす。プールのときもササッと髪をタオルで拭いたせいで彼に
「髪の毛、すごいことになってる」
そう言われた。その時は男子に言われてしまったという恥ずかしさから、トイレの洗面台に逃げるように走っていった。それ以外にも、私はよく怪我をしてしまったりする。だから、そういうことをまたやってしまっているのではないかと思って。
それなのに。目があって嬉しいとすら思ってしまう。
人はこれを『恋』と呼ぶのかもしれない。
でも私はまだ、知らないフリをしていたい。
傷つくのが怖いから。勘違いだったら怖いから。

結局渡せなかった。
今日はマラソン大会の追試もあって、タイミングを逃した。と思っておきたかった。
私の中には、渡せなかったという後悔がやっぱり残った。追試中もそのことばかりが頭に浮かぶ。
渡していれば変わったのかな。それとも渡しても後悔していたのかな…。
今となってはわからない。
この選択が本当に正しかったのか、は……。

2/13/2023, 1:07:06 PM

テーマ:待ってて #93

待ってて
あなたはそう言って帰ってこなかった。
待っていたのに。
ずっと、ずっと…

『今どこにいるのですか? 元気にいますか? 
 会いたいです。』 
そう便箋に書いては丸めた。
本当に会いたいのか、わからない。
自分のことを捨てた人に。
本当に会ったら何を話せばいいか、わからないくせに。
でも道を歩く親子を見ると、あぁ、自分は普通じゃないんだなと思う。
なんで僕が。なんでこんな目に。
中学くらいのときはそう思っていたが、気がつくと高校を卒業していた。
施設の人は僕に優しくしてくれる。
それは、僕が『可哀想』だから…?
そう言われるのが怖くて聞けない。

時々便箋に書くのだ。届かないとわかっている手紙を。
切手を貼って出さないのに。
書いてすぐ丸めてしまうのに。
こんなことをしていても僕に空いている穴は、塞がりそうにない。

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