狼星

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テーマ:誰よりも #96

「誰よりもあなたを愛している」
そう言われたとき、素直に嬉しかった。
あぁ、やっと僕にも運命の人に出会えたんだって。

でも、幸せはずっとは続かない。

『奥さんと仲いいですね〜』
『羨ましいですよ〜。私の夫なんか、私のこと本当に愛しているんだか…』
娘の保育園の迎えに行くといつも言われる、ママさんたちの愚痴。
家だってそんなに仲良くない。なんて言えなかった。
妻は僕と最近、口を聞いてくれない。娘もいるから、あまり喧嘩はしたくない。
だから僕は、口をつぐんでいるのだが…。

急なことだった。
「あのさ、私たち別れない?」
僕の手から箸が落ちる。
「ぱーぱ! おちた」
娘の春(はる)が僕を見ていった。でも、それどころじゃなかった。
「…え?」
いま、なんて…。
「だから。私たち別れましょ?」
「え…。なんで…」
「分からなくなったの。あなたを本当に愛しているのか」
僕の視界は真っ白になった。
『誰よりもあなたを愛している』
その言葉は嘘だったのかなんて、怒って言うべきだったのかもしれない。言えなかった。
それは、僕が君のことを愛せていなかったからだろうか…。

素直に君が愛をくれたように 
僕も君に愛を伝えていれば
この未来は変えられた……?

♡1300ありがとうございますm(_ _)m

2/16/2023, 11:57:24 AM