エムジリ

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8/20/2022, 1:32:17 AM

遠距離恋愛のあなたと、
一日一回しようねと約束した電話。

最初は待ち遠しかったけど、だんだん、
お互い気分じゃない日もでてくる。
でもこの約束を取消すのは、
私達の恋が距離に負けた気がして嫌だった。

そんな時、さらっとできるのが天気の話。

「こっちは土砂降りだよ、そっちは?」
「まじ?めっちゃ晴れてる」
「えー、ズルくない?」
「はは、天気にズルいもなにもないだろ」

なぁんの中身も無いけど、自然と笑顔になれる。
それからちょこっとだけ話して通話を切ると、
すぐに、明日はどんな空かなぁと
期待しちゃうんだから不思議だ。

全然違う空なら、楽しくなる。
全く同じ空なら、嬉しくなる。

離れていると思わされても、空の話なら悲しくならない。
ホント、不思議。


▼空模様

8/18/2022, 4:09:13 PM

『まばたきしないで鏡を見続けると、
自分がドロドロに溶けた姿が映るんだって』

噂好きの級友は、私が怖がりだと知りながら、
別れ際にそんな話をしてきた。

(サイアク、お父さん、お母さん、早く帰ってきてよ)

よりにもよって、今日は両親揃って帰りの遅い日。
手を洗うときも、化粧を落とすときも、
結った髪をほどいて梳かすときも、
どうしたって鏡を見る気にはなれなかった。

(お風呂、入らなくちゃ…)

備え付けの大きな鏡は絶対に見ない。
そう決めて、目をぎゅうっと瞑ってシャンプーして、
リンスして、悪戦苦闘しながら体の泡をすすぐ。

良かった。今日は鏡を見なくて済みそう。
湯船に浸かると安心して、気晴らしに持ち込んだ、
スマホをいじる指の動きも鈍くなる。
つい、ぼーっと液晶画面を眺めてしまった。

あ、失敗した。
暗転したガラスに映った、
ジブンの、…カオ 、ガ ………


▼鏡

8/17/2022, 10:33:18 AM

「くよくよしたって始まらないよ!」

いったい何度自分に言っただろう。
辛い事があるたび、立ち直らなきゃって思うたび、
弱い心を捨てようとしたのだけれど…

けれど、その必要はないんだね。

下を向いた顔をどうにか上げて、
もう一回前に進もうとした時、
弱かった心が少しだけ成長している。
ほんのちょっぴり、ひとまわり強くなっている。

だから、これからもどうぞよろしく。
私のへなちょこ心。


▼いつまでも捨てられないもの

8/16/2022, 1:46:35 PM

人生まだまだ道半ば。
それでも振り返ってみれば、
どうやらずいぶん長い道を歩いて来たみたい。

飛び上がるほど嬉しいこともあった、
震えるほど悔しいこともあった、
挫折と諦めを知り、自らの過ちによって
失意のどん底に落ちたこともある。

昔、とっても羨ましく見えたあの人なら、
もっとスマートに生きられたのかな?

…でもね、
『この人生を乗りこなせるのは、
やっぱり自分しかいない!』
と、思ったり…

これって誇らしさ?


▼誇らしさ

8/15/2022, 12:19:53 PM

今夜、僕らが出会ったあの海に行くことは、
ふたりだけの秘密だった。

波打ち際で君と佇む。
目の前に広がる真っ黒な海は、まるで墨を垂らしたよう。
沖から吹く生暖かい潮風が、頬を撫で、髪を梳かす。
握りあった手の温もりだけが、僕にとってのすべてだった。

「どうして、一緒にいちゃいけないのかな」

足下でさらさらと砂がさらわていく。
俯いた君の顔は見えない。

「このまま溶けてしまえたらいいのに」

届かぬ願いは波にかき消され、闇夜の空に吸い込まれた。


▼夜の海

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