手を繋いだ彼がそっと呟く。
「あたたかいね」
私は一言。
「ほんとね」
苦手な冬が少しだけ好きになった一日。
未来への鍵
迅さんからしたらオッサムの事なのかね。死なないでよ覚悟ガンギマリオッサム
Ring Ring…
書けないってば!だって英語の評価2だもん!!
小説
迅嵐
「今、何て?」
追い風が俺の背を少しだけ押す。目の前には、顔をリンゴのように真っ赤に染めた迅。右手で顔を覆っているが、隠しきれていない羞恥に染まった瞳をこちらに向けている。
「…今日くらい聞き逃せよ」
彼の口からは風でかき消されてしまいそうな程小さな声が漏れ出た。
未だに追い風が俺の背中を押している。
今だ、行けと。
「…いいや、聞き逃さない。答え合わせをさせてくれ」
俺は迅の目の前に立つ。友人の距離を超えて、けれども恋人の距離よりも離れて。
「お前…俺の事、好きなのか?」
一際大きな風が吹く。答えは俺にしか聞こえなかった。
小説
迅嵐
玉狛支部でのんびりしていると、扉から小南が入ってくる。うんうん視えた通り。
「ん~?誰だろ」
ふと、小南の未来の中で、羽っ気のある黒髪をもつ少年がボーダーに入るのが視えた。
「小南~、これ誰?」
彼女に事細かく説明してみると、何故だか少し誇らしげに少年の名を口にする。
「准よ」
大きくなったボーダー基地をうろついてみる。
「嵐山准、かぁ」
なんかすごくイケメンだな。性格も良さそうだし、広報担当とか合ってそう。仲良くなれたら推薦するのもアリだなぁ。
まだ会ってすら居ないというのにおれは未来に考えを馳せる。その中で、視界の中に飛び込んできたのは、''赤''。
「えっ」
考えを中断し顔を上げると、そこには今し方頭の中を占拠していた嵐山准が立っていた。
「わっ、すみません」
曲がり角でぶつかりかけていたらしい。形のいい眉を下げ申し訳なさそうにする彼は、そこに居るだけでキラキラして見えた。
「君…嵐山准、くんだよね」
「え!俺の事知ってるのか!」
「なんたっておれは、未来が視えるサイドエフェクトを持っているからね」
「えぇ!?」
なんだこいつ。おもしろい。
一挙一動が素直で可愛らしい。…?可愛い?こいつ男だぞ!!しっかりしろおれ!!
「未来が視えるって…もしかして迅くんって君のことか?」
「え?なんでおれの名前知ってるの?」
「ふっふ…なんたって俺は桐絵の従兄弟だからな!」
「小南の従兄弟!?」
初耳だった。あいつ、先に言っとけよ…。
「…なら話は早いな。おれ迅悠一。よろしく」
「俺は嵐山准だ!よろしく!君と一緒に戦えるなんて光栄だ!」
ふわりと笑う彼に手を握られる。その笑顔を見た瞬間、何かがカチリと噛み合い、動き出した。
4年後
「…あの時がおれの初恋だったとはなぁ」
「ん?何か言ったか?」
横を歩く嵐山に目をやりながら通路の角を曲る。あーあーこんなにイケメンに育っちゃって。おれって面食いだったんだなぁ。
「なーんも。ほら、早くしないと会議遅れるよ」
「ほんとだ、ちょっと走るか!」
おれは、はいよーと間の抜けた返事を恋人に返しながら、小走りで会議室に向かった。