愛し合う二人を、好きなだけ

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12/27/2024, 12:07:21 PM

小説
おばみつ※転生if



かじかむ手に息をふきかけながら暖を取る。長時間寒さに晒された手は赤みを帯び、感覚を殆ど失っていた。

「やっぱり今時期は手袋ないと辛いな…」

彼女である甘露寺蜜璃とのデートを楽しみにしすぎて、手ぶくろという冬限定最強装備をすっかり忘れていた。しかも今日に限ってポケットの無い服。約束の30分前に着いて、今現在約束の時間約10分前。20分間寒さに耐えてきた俺の手は、今日のMVPを与えたいほど頑張っていた。

「伊黒さーん!ごめんなさい!待ったかしら?」

ぜぇぜぇ息を吐きながら走ってきた甘露寺の姿を見て俺は笑みを漏らす。

「まだ時間まで10分もある。そんなに急がなくても良かったのに」

「ううん、私が伊黒さんに早く会いたかったの」

どうしてこの子はこんなにも可愛らしいことを言ってくれるのだろう。彼女に触れようと手を出すが思いとどまる。今の俺の手はとても冷たいのだった。
その様子を見た甘露寺は慌ててカバンの中を探る。そこから出てきたのは、紺色の毛糸の手ぶくろだった。

「丁度良かった!あのね、私、手ぶくろを編んでみたの。サイズが合うかちょっと心配だけど…」

彼女の手から受け取りはめてみると、厚手の毛糸で編んである手ぶくろは俺の手にピッタリだった。じんわりと温かくなる手と心に、俺は世界一の幸せ者だと心の中で呟いた。

「世界一だなんて。伊黒さん、大袈裟よ!」

甘露寺が鈴を転がすように笑う。どうやら声に出ていたらしい。

「いいや、世界一だ。ありがとう。大切に使うよ」

「うん!」

どちらともなく手を繋ぎ、俺たちは薄く雪の積もった道を歩き出した。

12/25/2024, 2:07:53 PM

クリスマスの過ごし方

自分用に初めてキャラ香水なるもの買ってみたんだけどさ、ほんとに最高。
ちなみに嵐山さんの買いました。
普通に結婚したくなるいい香りです。
この匂いの嵐山さんの隣で迅さん何考えてるん??
だいぶ興奮しますよこの匂い。さわやかさの中に少しの甘さがある。これは嵐山家の匂いなのか、わざわざ嵐山さんが選んで買った香水の匂いなのか。はたまた迅さんがこれ付けてって渡した独占欲の象徴なのか。

こうやって妄想するのが私流のクリスマスの過ごし方ですね。

12/24/2024, 12:22:02 PM

イブの夜


伊黒さんと蜜璃ちゃんは素敵な夜景が見えるレストランで過ごすと思うんだよね。シャンパン片手にめちゃくちゃ可愛く着飾った蜜璃ちゃんを見て幸せそうに笑う伊黒さん。そんな伊黒さんを見て嬉しそうに笑う蜜璃ちゃん。見える...私には見えるぞ...(確信)それで夜は暖かいベッドで二人仲良く寝て、朝起きると枕元に蜜璃ちゃん用のプレゼントが置いてある。(ちなみにプレゼントは伊黒サンタが用意しました)プレゼントに驚いて喜ぶ蜜璃ちゃんを見て、伊黒さんはまた更に幸せそうな顔するんだよな。感涙。アニメで見せてくれよ!!!おれたちの夢をさ!!!!!!!!

千空ちゃんとゲちは天文台で星見てるのかな。千空ちゃんはしっかり数数えてるからイブの日って分かってて。だからゲちと二人で星見たいって思って、絶対遠回しに回りくどく天文台に誘ってるはず。それに気づいたゲちは笑いながら下手くそな誘い文句に乗るんだろな...。寒いからってくっつくんだろな...。知ってる知ってる。それが合理的だもんね!

迅さんと嵐山さんは19歳らしくデートしろ。二人とも忙しくて中々日中会えないから、帰り時間だけ合わせて、夜遅くに短い帰り道を手繋ぎながら歩く。多分基地から玉狛の方が近いから迅さんの方が先に帰るわけで。もう玉狛着いちゃったな、とか寂しそうに嵐山さんが言うもんだから、迅さんが繋いでた手引っ張って可愛い嵐山さんにちゅーしちゃうんだよな。そんでそのまま玉狛に帰らずホテルルートへGO!だって健全な19歳!!!!まだまだお若いね!!!!!!ひゅー!!!、!、!!


きっと千ゲンは衛生環境良くないからそーゆー雰囲気にはならないと予想。

ごめんね脳内ピンク色で!?これが人生の旨みなもんでね!!!!!

愛し合う二人、イブの夜って口実でイチャイチャしろ!

12/23/2024, 1:13:23 PM

プレゼント

「ん」

「え?」

突然目の前に差し出された右手を見て、俺は驚きを隠さず声に含ませた。右手には小ぶりの布袋が握られている。

「千空ちゃん、これなに?」

「...ん」

頑なに詳しくは話そうとしない彼はいつもとは少し違う様子だ。どうしたのだろうか。
手を差し出すとその上に布袋が置かれる。以外に重量が合って落としそうになるのを何とか堪える。

「見ていいの?」

「ん」

先程から「ん」しか発してない千空ちゃんは、どこか恥ずかしそうに、居心地が悪そうにしている。本当にどうしたのだろう。いつもの千空ちゃんらしくない。布袋を開くと、懐かしい形状の物が目に入る。

「......これ...」

それはトランプだった。1枚1枚手書きのマークに数字、ジョーカーもしっかりとついていた。

「なんで...」

「てめぇ前に欲しいって言ってただろ。...クリスマスプレゼントだ。ありがたく受け取りやがれ」

そっぽを向く千空ちゃんの耳が少しだけ赤くなっている。俺の心が温かいもので満たされる。

「...千空ちゃん耳真っ赤。赤鼻のトナカイじゃなくて赤耳の千空ちゃんだ」

「なんだそれ」

二人で目を合わせ、小さく声を上げて笑う。

明日の夜は、村の子供達のために一緒にプレゼントを用意しよう。約束だよ、千空ちゃん。

12/22/2024, 1:05:37 PM

小説
迅嵐



「...疲れた...」

玄関のドアを開け中に入った途端、おれの口からは弱々しい声が漏れ出す。
今日は特に疲れた気がする。いつも通り町中を歩くと沢山の人の未来が視えた。
あ、あの人怪我するな。あ、あの人病気になるな。
ふと立ち寄ったコンビニで働いていた店員さんを視てしまった。
あ、この人近いうちに死んじゃう。
積み重なって積み重なって、疲れた。
視たくない。
でも視なければならない。

「......嵐山」

明るい太陽を求めた。靴を脱ぎ短い廊下を歩くと、リビングのドアが開く。

「迅、おかえり」

嵐山はおれの顔を見るとふわりと笑う。未来の中でも嵐山は笑っていた。笑顔で、楽しそうで、綺麗だった。

おれは無言で嵐山を抱きしめる。温かさを感じながら、めいいっぱい息を吸った。ほんのりとゆずの香りがして、今日の入浴剤はゆずだな、とぼんやり思う。

「......何か視えたか?」

「....うん」

「そうか」

そこから嵐山は何も言わずに頭を撫でた。髪の間を指が優しく通る度に疲れが癒えるようだった。未来の中の嵐山は変わらず笑う。その変えようのない事実がおれを少しだけ救ってくれる。

おれはしばらく温かな嵐山を抱きしめ、柔らかな指の感触を感じていた。

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