愛し合う二人を、好きなだけ

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プレゼント

「ん」

「え?」

突然目の前に差し出された右手を見て、俺は驚きを隠さず声に含ませた。右手には小ぶりの布袋が握られている。

「千空ちゃん、これなに?」

「...ん」

頑なに詳しくは話そうとしない彼はいつもとは少し違う様子だ。どうしたのだろうか。
手を差し出すとその上に布袋が置かれる。以外に重量が合って落としそうになるのを何とか堪える。

「見ていいの?」

「ん」

先程から「ん」しか発してない千空ちゃんは、どこか恥ずかしそうに、居心地が悪そうにしている。本当にどうしたのだろう。いつもの千空ちゃんらしくない。布袋を開くと、懐かしい形状の物が目に入る。

「......これ...」

それはトランプだった。1枚1枚手書きのマークに数字、ジョーカーもしっかりとついていた。

「なんで...」

「てめぇ前に欲しいって言ってただろ。...クリスマスプレゼントだ。ありがたく受け取りやがれ」

そっぽを向く千空ちゃんの耳が少しだけ赤くなっている。俺の心が温かいもので満たされる。

「...千空ちゃん耳真っ赤。赤鼻のトナカイじゃなくて赤耳の千空ちゃんだ」

「なんだそれ」

二人で目を合わせ、小さく声を上げて笑う。

明日の夜は、村の子供達のために一緒にプレゼントを用意しよう。約束だよ、千空ちゃん。

12/23/2024, 1:13:23 PM