しののめ

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7/31/2024, 3:59:39 PM

人間は一人では生きていけない
ヒトは支え合って生きているんだ
人という字はヒトが支え合って
うんだらかんだら

このようなことを
大人から 学校から
あるいは 世間から
はたまた ドラマなどから
少しずつ そういうことを
植え付けられる

逆にこうも 植え付けられる
一人でいるのは寂しい
一人でいるのは自分に難がある
一人でいるのは駄目なこと
みんな はっきりとは言わないけれど
知らぬ間に よくないことと
認識させられている

物事つく頃から
人付き合いが苦手だった
人と話すより
一人で空想遊びや 本を読むことが
好きだったから
でも一人でいると
冷ややかな視線を感じるから
必死になって 気の合いそうな
友人を探した

そう考えると 大人になった今は
大分気軽で良い
連むということをしなくてよい
職場は仕事だけの関係だから
無理して仲良くなろうとかは考えなくて良い

大人になれば
一人は嫌になるかと思ったが
蓋を開けて見たら 全くの逆だ
自分の時間や空間が
快適で仕方ない

【だから、一人でいたい。】

7/30/2024, 3:03:19 PM

 僕は今、酷く動揺している。まずいちょっと脈も上がってきたかも。

 放課後。行きつけの猫カフェにやってきた。

 入店の案内や手荷物をロッカーに入れるなどを終え、猫たちの待つ室内へ入るや否や、目に飛び込んできたのは、クラスの陽キャグループだ。髪を染めたりピアスを開けたりなど、とにかく派手なので、部屋の遠くにいても目立つ。

 何で…あいつらがここに。僕の貴重な癒しスポットなのに。

 友人にすらも教えていない趣味なのに。とにかく、ここはやつらに僕だとバレないように過ごさなくては。全く、何で癒されに来たのにビクビクしなくてはいけないのか。

 …と、最初のうちは僕の身バレを恐れていたけど、意外にも陽キャ達には気づかれていないみたいで。各々、好きな猫を愛でたり観察していたりしている。
 それはそうだ、学生にとって決して安くない料金を払っているのだから、一秒でも猫を愛でていたい。彼らとは分かり合えないだろうと思っていたが、愛猫家という点だけは同志と呼んで良いだろう。

 特に僕の隣の陽キャの玩具捌きはえげつない。普段から使い慣れているのか、玩具の動きがまるで本当に生命が宿っているのかというくらい、自然で滑らかに床を素早く動いている。狩猟本能を刺激されたのか、近くの猫が次々と陽キャの動かす玩具に引き寄せられる。

 曇りなき目で表情の柔らかい陽キャ。

 これは敵わないかもしれないな、と僕は膝上でうとうとしている猫を撫でながら、そっと溜息をついたのだった。

【澄んだ瞳】

7/29/2024, 11:09:15 AM

絶対に
絶対に
絶対に
散歩に行く
と言わんばかりに
玄関前で自身の尻尾を
追いかけながら
くるくると回る白い綿毛
ポメラニアン

だから
今日は大雨だから
散歩なんてできないんだって

絶対に分かってないね
この子は

【嵐が来ようとも】

7/28/2024, 10:58:07 AM

熱気と活気で満たされている
屋台を歩く

カキ氷のシロップで
君の舌は緑色で
自分は青色になる

焼きそばもたこ焼きも食べたくて
二人で分け合いながら頬張る

わたあめでベタベタになって
りんご飴の赤みにうっとりする

水に浮かぶスーパーボール
当たるかどうかも怪しい射的
光るおもちゃ
子供たちが真剣に選んでいるのを見て
かつての自分たちだと
お互いに微笑ましくなる

花火を見ようと
喧騒から離れた
神社の鳥居で座り
有名なあの歌を思い出す
勿論 原曲の方
今 まさに
あの歌詞と同じ心境だ
線香花火とマッチは
持っていないけれど

肝心なあの言葉が出ないまま
空には大きな華が咲いて
消えていった

【お祭り】

7/27/2024, 11:02:47 AM

「助けてください」
「何で?というかどういう状況」

 俺はいまいち今しがた起きたことが理解できない。

 つい数秒前、俺は神社の賽銭前で小銭を入れ、手を合わせ祈りを済ませた後だ。なんか面白いことがありますように、的なことをお願いしたら急に境内が光りだし、気がついたら目の前に和装の若い男が現れたのだ。

「私は神です」
「頭大丈夫か」
「貴方が呼んだんでしょう。面白いことがありますようにって」
「いや確かにお願いしたけども、何あんた俺の願いの内容が分かるんだよ。怖」
「私はここの神ですから」
「仮にあんたが神様だとしても全然面白くはないから、何なのこの状況」
「それはこちらの台詞ですよ、おとなしく学業成就とか恋愛成就とか祈っておけば良いものの」
「え?これ俺のせいなの」
「貴方以外誰もいないでしょう、この神社に人間が」
「……ちなみに学業成就を祈ったら何してくれるの」
「私が全力でカンニングします」
「シンプルに不正かよ」
「大丈夫ですよ。私は願いを唱えた人間以外見えませんから」
「そういう問題じゃねーわ!じゃあ恋愛成就は」
「私が恋人になります」
「力技過ぎるだろ」
「全く、面白いことって何ですか無茶降りが過ぎますよ」
「な、なんかわりーな…(何で俺が謝っているんだよ)」
「とにかく、貴方の願いが叶うまでは責任とってもらいますからね」

 ただ小旅行で見つけた神社でお祈りをしただけなのに、どうしてこうなった。

 ちなみに俺の訪れた神社の街が、リアルに神様や妖怪が「いる」ということを知るのはずっと先のことである。

【神様が舞い降りてきて、こう言った】

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