5/11/2025, 7:39:54 AM
静かな森の
奥深くに建てられた
別荘が見える
丸太を横に積んだような
外装の平屋は
〆切の守れない作家の
言わば 軟禁小屋
否 作品を書くための
作業小屋であった
高そうな絨毯が敷かれた書斎で
今日も作家の呻き声が
聞こえてくる
〆切まであと一週間を切りました
まだ半分も進んでいないとは
どういうことですか
きっちりした声色が
別荘から響いてくる
編集者の声だ
作家と編集者は昔からの
腐れ縁であるが
どうも本作りに関しては
毎度毎度 小競り合いが絶えない
そもそもお互いに
良い歳になるのだが
果たしていつになったら
別荘が落ち着くのやら
4/2/2025, 3:01:43 PM
雲がまばらに広がり
水色と白が織りなす
コントラストを
横切るように
飛行機が飛んでいる
遠い遠い 僕の下を
ありえないけれど
もしかしたら
飛行機の乗客が
気づくかもと思い
両腕を大きく動かして
手を振ってみた
よい空の旅を と
【空に向かって】
4/2/2025, 10:03:39 AM
薄紅色のあの花が
春を告げるために
雨と風に打たれて
今年もはなひらく
花の下ではきっと
あらたな出会いが
【はじめまして】
3/31/2025, 2:02:16 PM
春の天気は気まぐれで
初夏のような暑さが
続いたかと思えば
真冬のような冷たい風が
強く吹き込むこともある
今日は真冬のような日で
風がびゅう と吹いたから
両手を慌ててコートのポッケへ
仕舞い込む
ふと 子供の叫ぶ声がした
握られた風船が風で
飛んでしまった
子供は泣きながらも
大きな声で
遠くなる風船へ手を振った
【またね!】
3/24/2025, 11:05:48 PM
振り返らずに
走って 走って 走って
やるせない感情を
振り払うように
走り続けた
もう泣かない
もう立ち止まらない
もう諦めない
【もう二度と】