8/5/2025, 3:12:10 PM
山奥の川辺にて
冷水に浸かり
腕と足を脱力させて
ぷかぷかと 漂う
滝の音が どどど と
すぐそばで 音を立てながら
源水が落ちていく
木々の掠れる気配と
水流の音を聞きながら
ただひたすらに
浮遊して 漂流して
【泡になりたい】
8/5/2025, 9:32:34 AM
背中や首 全身から
滝のように流れる汗
ぬぐいながら 慌てて
エアコンの電源をつけ
何か冷たいものを
冷蔵庫からさがす
これだ これ
【ただいま、夏】
7/7/2025, 3:44:00 PM
笹の葉に結ばれた
たくさんの願いごと
ひとつ ひとつ
眺める時間が楽しい
平和を願うもの
何かしらの目標
誰それとのご縁
さて 何を書こうか
短冊をもらい ペンに握る
これが意外にも難しく
結局 毎回
こう書いてしまう
「天の川」
【願いごと】
7/3/2025, 11:14:21 PM
モノクロの海獣が
深い水底の水槽で
水飛沫を飛ばす
全体重と勢いをのせ
何メートルも先へ飛んでいく
水平線が直近に見える水槽で
泳ぎ回る彼らには
どう映るのだろうと考えながら
足元に掠った水飛沫をみた
【遠くへ行きたい】
5/11/2025, 7:39:54 AM
静かな森の
奥深くに建てられた
別荘が見える
丸太を横に積んだような
外装の平屋は
〆切の守れない作家の
言わば 軟禁小屋
否 作品を書くための
作業小屋であった
高そうな絨毯が敷かれた書斎で
今日も作家の呻き声が
聞こえてくる
〆切まであと一週間を切りました
まだ半分も進んでいないとは
どういうことですか
きっちりした声色が
別荘から響いてくる
編集者の声だ
作家と編集者は昔からの
腐れ縁であるが
どうも本作りに関しては
毎度毎度 小競り合いが絶えない
そもそもお互いに
良い歳になるのだが
果たしていつになったら
別荘が落ち着くのやら