静かな森の
奥深くに建てられた
別荘が見える
丸太を横に積んだような
外装の平屋は
〆切の守れない作家の
言わば 軟禁小屋
否 作品を書くための
作業小屋であった
高そうな絨毯が敷かれた書斎で
今日も作家の呻き声が
聞こえてくる
〆切まであと一週間を切りました
まだ半分も進んでいないとは
どういうことですか
きっちりした声色が
別荘から響いてくる
編集者の声だ
作家と編集者は昔からの
腐れ縁であるが
どうも本作りに関しては
毎度毎度 小競り合いが絶えない
そもそもお互いに
良い歳になるのだが
果たしていつになったら
別荘が落ち着くのやら
5/11/2025, 7:39:54 AM