しののめ

Open App

「助けてください」
「何で?というかどういう状況」

 俺はいまいち今しがた起きたことが理解できない。

 つい数秒前、俺は神社の賽銭前で小銭を入れ、手を合わせ祈りを済ませた後だ。なんか面白いことがありますように、的なことをお願いしたら急に境内が光りだし、気がついたら目の前に和装の若い男が現れたのだ。

「私は神です」
「頭大丈夫か」
「貴方が呼んだんでしょう。面白いことがありますようにって」
「いや確かにお願いしたけども、何あんた俺の願いの内容が分かるんだよ。怖」
「私はここの神ですから」
「仮にあんたが神様だとしても全然面白くはないから、何なのこの状況」
「それはこちらの台詞ですよ、おとなしく学業成就とか恋愛成就とか祈っておけば良いものの」
「え?これ俺のせいなの」
「貴方以外誰もいないでしょう、この神社に人間が」
「……ちなみに学業成就を祈ったら何してくれるの」
「私が全力でカンニングします」
「シンプルに不正かよ」
「大丈夫ですよ。私は願いを唱えた人間以外見えませんから」
「そういう問題じゃねーわ!じゃあ恋愛成就は」
「私が恋人になります」
「力技過ぎるだろ」
「全く、面白いことって何ですか無茶降りが過ぎますよ」
「な、なんかわりーな…(何で俺が謝っているんだよ)」
「とにかく、貴方の願いが叶うまでは責任とってもらいますからね」

 ただ小旅行で見つけた神社でお祈りをしただけなのに、どうしてこうなった。

 ちなみに俺の訪れた神社の街が、リアルに神様や妖怪が「いる」ということを知るのはずっと先のことである。

【神様が舞い降りてきて、こう言った】

7/27/2024, 11:02:47 AM