しののめ

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7/12/2024, 10:50:42 AM

物心ついたころから好きだった

少女が変身して活躍するアニメ
作中に出てくる
玩具をねだって買ってもらったっけ

可愛いキャラクターや模様の
キラキラのシール
そのシールを貼ってコレクションする
ファンシーなシール帳
シール交換をよくしていた

ジーンズ生地の
ペンケース
生地はラメが入っていたりする
サブポケットには
同じくジーンズ生地に覆われた
小さな鏡がついていた

クラスの子に渡していた手紙は
お気に入りのメモ帳に
手紙を可愛く折る技術
カラフルなペンで
何気ないことを日々綴った

当たり前だった筈なのに

少しずつ
観なくなり
持たなくなり
やらなくなった


昨今 平成レトロと
言われているらしい 流行りで
ちらほらと また
見かけるようになった

かつての私から
これからの見知らぬあなたへ
続いていたんだね

【これまでずっと】

7/11/2024, 3:59:03 PM

「今度会えない?」と
メッセージが飛んでくる

既読にしてしまい
返信出来ないまま 今に至る


スケジュールを確認して
お互いの都合がつきそうな日時を模索

LINEは正直苦手だ
返信に焦る

日にちを返す頃には
翌日になっていた

自分のメッセージは
既読がついたまま
返信はまだ来ない

だからLINEは苦手だ

送られる側も
送る側も

【1件のLINE】

7/10/2024, 3:40:05 AM

私はどこにでもいる
オタクと呼ばれる者である
名前はあるが名乗る程ではない

年に四回放送が切り替わる
アニメをチェックし

読んでいる漫画や小説は
新刊日にすぐ購入
特典店舗や初版限定版があるかを
確認するのも忘れない

好きな作品や推しの円盤も
連動特典やイベント抽選などで
積む必要がある場合は
同じものを何枚買うのもいとわない

ゲームのガチャも
好きなキャラの
限定カードが出ようものなら
課金の誘惑に抗うも
結局抗えない

グッズを買おうとするも
立ちはだかる
ランダム商法に毎度憤るも
少ない出費で好きなキャラや推しが
来た時のドーパミンはたまらない

コラボカフェや舞台の
抽選戦争に打ち勝ち
現地で推しを摂取する喜び

こうして羅列してみると
当たり前とはと哲学したくなる

【私の当たり前】

7/8/2024, 1:03:50 PM

 眼鏡を外すと
  世界がぼやける
   輪郭が曖昧なまま
    流れる景色を追いかける
     蝋燭のように揺らぐ
      明かりがもどかしくも暖かい

        【街の明かり】

7/7/2024, 10:25:23 AM

「そういえば今日は七夕だな」

ふと向かいの席に座っている同居人が、何の脈絡なく呟いた。

「何だよ急に」
「や、今日は7月7日だなって」
「あ、今日なんだ。すっかり忘れていたわ」
「言うて俺も今気づいたんだけどな」

今日そんで晴れているし、と、横にある窓へ視線を移す。僕も同居人に倣って窓を見た。快晴も快晴。気温も三〇度を超える夏日である。

「七夕の日が晴れって珍しいよね」
「確かに。大体雨なイメージ」
「時期が梅雨と被るからねぇ」
「てかさ、彦星と織姫が一年に一度しか会えないって言う日に、俺たちはというと短冊に願いを書くとかなかなかに傲慢な日ではあるよな」
「身の蓋もないことを…」
「彦星も彦星で、会えないんだったら川を泳ぐとかガッツを見せろって感じよな。ヒロインに可哀想な思いをさすなって」
「ロマンなんだよきっと。あと織姫をヒロインって略してあげないで。まぁ二人に関しては自業自得な部分があるから。仕事そっちのけでリア充してたらしいし」
「お前もリア充とか一言で片付けんなし」

しかし折角行事を思い出したんだから、何かやっておくか、と同居人が言い出す。

「短冊とか今から用意するか?」
「いや良いよ別に。竹とかどうするの」
「お前が育てている苗木で良いじゃん」
「僕の可愛がってる苗木は七夕の木じゃありません」
「ちえ」
「まぁ、七夕にちなんだ夕飯くらいなら考えても良いかな。星型のフルーツポンチとか」
「うわ懐かしいフルーツポンチ。給食以来食ってないわ」
「今食べると甘過ぎるかな」
「まぁ偶には良いんじゃね」

今日の夕飯は素麺かな、と買い物メモを取り出しながら、僕はフルーツの果物は何にするか考えるのであった。【七夕】

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